Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第二六話

「シエラ!?メイナ!?」

最終兵器のはずの二人は地面にひざをついて苦しんでいた。


「な、なんなんだよいったい!?」

俺は今自分が置かれている状況をまったく理解できずにいる。
最終兵器だぞ?
超古代文明の最終兵器がどうして―?
地面に膝をついて苦しんでいる二人は顔が真っ赤で歯を食いしばっている。
見ているだけでもあの元気な二人とは大違いだ。

「ふふふ…予想以上に効くもんだな……
 これだよ、レルバル君。
 この手に持っているリモコンが原因さ」

男は手に持っている『何か』を俺の目の前に持ってくる。
角が取れた四角い黒光りする薄い板のようなものとしか言いようがないものだ。
しいてむりやりいうならば……i○honeに似ている。
ボタンはいっさいついていないが人体を簡略化したような模様は見て取れた。

「我々はタルワナルカ家の末裔の協力を得てこのリモコンをてに入れた。
 そしてこのリモコンの真の恐ろしさは……」

男はリモコンの模様の上に指を乗せた。

「今見せてやる」

そしてゆっくりと指スライドさせた。

「それでなにが出来るっていう………え?」

俺は皮肉を言おうと口を開いたがすぐに口を閉じた。
急にシエラの背中の皮や服を突き破って鋼鉄の翼が姿をあらわした。

「うっ!?な、何…なんだ?」

シエラの背中から赤いしぶきが飛び散り地面に模様をつける。
前回翼を出したときにはあんなにはならなかったはずだ。
つまり、あのリモコンに操作された翼が無理やり出てきているということなのか?

「うぅっ…ああっ!!」

背中から血に染まった四つの翼が露出する。
そのうち右の補助翼がギリギリと悲鳴をあげはじめる。
体を引き裂かれても叫び続ける獣のような悲鳴を出しながら。

「な…お、おい!やめろ!!」

俺は困惑してリモコンを奪い取ろうと男に立ち向かった。
だがすぐに兵士達によって抑えられてしまう。

「やめろ!!」

洞窟内は獣の悲鳴と俺の声で満たされている。
そして

「い…いや…」

シエラの顔に最終兵器が感じてはならないはずの恐怖の色が浮かびあがり
痛みの元の右の補助翼の根が見えはじめる。
そして二枚で構成されているシエラの右翼の補助翼はゴトン……と鈍い音をたてて背中から剥がれ落ちた。

「うぁあああああっ!!!!!」

激痛だろう。
シエラの補助翼は地面で薄く青く光りながらピクピクと痙攣している。

「うぅ……」

シエラの目からは涙が溢れ出し、艦隊を叩き潰したあのときの強さは微塵のかけらとなって散っていった。
男はそれを見て何を納得しなかったのか再び俺が止めるまもなく指をスライドさせた。

「うっ!!!
 いやだぁあ!!!」

残った右の主翼もギリギリと悲鳴を上げはじめ涙を流しながらそれをとめようと意識を集中している
シエラの努力を振り切ってゴトリと落下した。

「うぐぅ……」

シエラの激痛に耐える声と床に落ちてもなお生きているかのようにピクピクと痙攣している翼。
左翼だけ残った哀れな鳥は突っ伏し波となって襲い掛かる痛みと戦いを繰り広げているその横では
メイナがぶるぶると震えながら次はわが身と覚悟して目をつぶっていた。
血の池の中にあわれな鳥は沈み目からは塩水が流れ出ていた。

「これで分かってくれたかね?レルバル君。
 最終兵器二人と今君が狙っている獲物を我々に『プレゼント』してくれないか?
 もっとも最終兵器は今ここで使用不可能にしてもかまわないんだがね」

さっきのをまともに見て冷静でいられるわけがない。
万事休す、ここでこいつらの圧力に屈したほうがいいのかもしれない。

「この中にあるんだろう?
 なら自分達で探したらいいじゃないか!」

そんな空気に合わない声が俺の後ろから響く。
仁だ。
仁は二人の男に抵抗していたが一人に鳩尾をなぐられ黙りこんでしまった。

「我々は見たことがないからどんな形なのか知らないのだよ。
 それに…」

男は二人の最終兵器をチラッと見て

「今の君はこの条件を断れるはずがないと思うのだが?」

男はクックック…と静かに笑い

「しかし愉快だ。
 愉快だよ、レルバル君。
 世界から追われている身の君が今は無きベルカ帝国の最終兵器とともにいるとはな。
 ルドルフや最終兵器モドキの野朗から聞いたときは嘘だと思っていたのだが。
 そして、今お前達の命は私が握っているも当然だ」

嫌味にしか聞えない言葉を吐き出した。
当然といったら当然のことなのだが。
この男は俺や最終兵器姉妹のせいで辛酸を舐めてきたのだろう。
そしてその借りが返せてうれしい、そういうことか。

「これも全部お前のおかげだな」

男は後ろを振り返り両手を大きく広げた。

「我が忠実なる部下――セズク・KT・ナスカルークよ?」

カッと頭に血が昇り熱くなる。
セズク…やはりあのホモ野朗はスパイだったのか。

「………」

男の傍らにはすらりと背が高いおなじみの姿をしたセズクが黙って立っていた。
帝国郡の軍服を着て帽子をかぶっている。

「てめぇ…やっぱり…」

俺は怒りで体中が沸騰していた。
いまやかんに水をいれ頭に置いたら沸騰するに違いない。
それぐらい怒りでいっぱいだった。
――信じていたのに――
あの十日間は地獄のようだったがどこか面白かった。
銃の扱いを教えてくれたりセクハラしたりといろいろあったがいろんな意味であいつは
俺の師とよんでもさしつかえなく絶対に裏切らないものと思っていた。
だが。やはりあいつは初めから連合郡のスパイだったのだ。
腐ってもスパイ…か。
そんなことを心にぼやきながらも敵意がこもった目を俺を掴んでいる男に向ける。
よほど鋭い目をしていたのか男の力が少し緩んだ隙に麻酔銃を投げ捨て

「死ね!」

実弾が入っている銃を取り出して引き金を引いた。
閃光と音が走り焼けた薬莢が排出され地面に落ちる。
弾はセズクが指の間で掴んでいた。
セズクが弾を地面に落とした瞬間俺の銃はもち手から上が綺麗になくなっていた。
いや、切れていた。

「こんな危なっかしいもの僕に向けないで欲しいな、波音?」

急に俺の目の前に現れたセズクが右手を開くと
ばらばらになり金属の塊と化した俺の銃だったものが地面に散らばった。
にっこりと笑いながら一瞬のうちにそれをやりとげた男が目の前にいる…。
唖然としてセズクの全体を眺め、そして思い出す。
こいつは最終兵器モドキ。
左腕が鉄さえもを切り裂く刃となっていても不思議ではない。

「まさか、波音忘れてたわけじゃないよね?
 僕が最終兵器としてつくられた出来損ないだってこと」

セズクがにこっと俺に極上の笑顔で微笑む。
まさかここまですごいとは思わなかった。
まさか、ここまで――

「ククク…さて、レルバル君。
 最終兵器二人を渡してもらうか?」

男が笑いながら俺に話しかけてきた。

「その前に教えて欲しい。
 あのリモコンのようなものはいったい?」

それだけは聞きたかった。
あれはなんなのか。
なぜシエラを苦しめることが出来たのか。
男はポケットに手を入れるとあの角が取れた直方体のようなものを取り出した。
裏表をじっくりと俺に見せ付けて

「これを献上してくれたタルワナルカ家によると
 最終兵器が万が一、帝国を裏切ったり、暴走したりした時用の緊急停止装置だったようだ。
 この画面にそいつら…最終兵器の簡略化された絵がかいてあるだろう?
 この絵にタッチしてスライドするだけであら不思議。
 このリモコンから出る特別な電波によって最終兵器を構成している細胞…
 可変式鋼鉄細胞の結合を外すことが出来るようになる。
 つまり、破壊することができるというわけだ」

なるほどな。
あの装置のせいで二人はおかしくなってしまったのか。
特にシエラなんて…
あんな目も当てられないような状態になってしまった。
万が一あの恐怖に屈した最終兵器が連合郡にわたってしまったら…
本腰を入れて連合郡は帝国郡を滅ぼしにかかるに違いない。
今は装備などの差がありながらも物量の差で帝国郡が勝っているから連合郡は攻めないが
最終兵器が二体もあれば物量など関係ない。
一瞬で戦車が二十台蒸発なんてこともありえる。
だから俺はここで屈するわけにはいかない。
変な正義感だな…
思わずニヤリとしてしまう。

「セズク、レルバルを始末しろ」

男の冷徹な声が俺の背筋をなぞる。
ここで俺は死ぬわけにはいかない。

「それは…できません」

セズクは俺をちらりと見て目を伏せた。

「もう一度言う。
 セズク、レルバルを始末しろ」

「残念ですが少佐。
 僕はその命令には従うわけには参りません」

その言葉がイラッと来たのだろうか。
急に男は逆上して俺を蹴飛ばした。
俺は一気に浮遊感が増した体を勢いよく地面に叩きつけられる。
鈍痛が背中を伝いうまく受身を取れたことに安堵する。

「情でも移ったのか、セズクよ。
 お前がやらないなら…」

男は自動小銃を取り出して俺に向けた。
ぴったりと俺の脳漿をふきとばせる距離だ。
どうあがいてもよけられはしない。

「私がやる」

男の指が引き金を引こうと少し曲がる。
だがそれからの動作が出来なかった。
刃から恐ろしいほどの殺気を放ったセズクは一直線に男の首を切断した。
それは一瞬だった。
男は首から上が無くなり首は俺を殺そうとしたあのままの顔でセズクの左手の上に乗っていた。
盛大な赤い噴水が噴出してセズクを赤く染め上げる。

「ふん」

頬についた赤い血液を指にすくって舐めとる。
そしてセズクは兵士達のほうへと向きなおした。

「ひっ!?」

男の首を兵士達の方へと放り投げ男の手に握りっぱなしになっているリモコンを拾い上げる。
スイッチのようなものを押して電源を切った後セズクはそれに弾を何発も撃ち込んだ。
小さな部品があちこちに散らばり紫の光の中にとける。

「あ、ありがとう…なのか?」

セズクは黙ったまま綺麗な右手を差し伸べ俺を助け起こしてくれた。
まるで赤ちゃんを抱く親のような優しさで、だ。

「なんで裏切ったんだ?」

「今はその話をしているときじゃないよね、波音?
 兵士達が怒ってるんだ」

セズクはふふっと俺に笑いかけると二十人ほどの兵士達へと襲い掛かった。
あちこちから血の噴水が上がり、地獄の血の池地獄がこの世に再生される。
飛んできた弾を見事に避け、兵士達のライフルを切り裂き体を切り裂く。
首を切られ絶命する者、心臓を切り裂かれ絶命する者。

「うっ?」

それを見ている俺に一瞬だがデジャヴが走る。
なんか、この光景見たことがある…
だが思い出そうとするが思い出せない。
夢で見たのだろうと勝手に納得して最後の一人を殺したセズクに歩み寄る。

「改めて聞くぞ?
 なんで裏切ったんだ?」

セズクは顔についている血液を指で綺麗にそぎ落とし左手の血を払った。

「裏切ったって言うのは、僕が波音達を裏切ったほうかな?
 それともこの連合郡を裏切ったほうかな?」

「後者のほうだ。
 あのまま行けばお前は自分の存在価値というのを見出せたのかもしらないんだぞ?
 それをなんでわざわざ棒に振ったんだ?」

セズクはちょっと声を赤くして

「あいつは…波音を…蹴りやがった。
 ただそれだけのことだよ」

ぷいと顔を背けて、今度は最終兵器二人のところへ行って「大丈夫か?」と声を掛けている。
俺が男に蹴られたからセズクは男を裏切ってまで助けてくれた―か。


………………。


意味分からん。
なんでそこまで俺に尽くしてくれるのかが分からん。
愛してるからとかいいそうだけどな、あいつは。

「いてて…」

シエラが顔をしかめながら立ち上がる。
そういえば右翼がとれてしまったが大丈夫なのだろうか。

「翼、大丈夫なのか?」

「これぐらいならすぐ…じゃないけど治るから。
 心配はいらないよ、ね、シエラ」

メイナがセズクに支えられながら立ち上がる。

「まぁな。
 それよりも―」

シエラは瞬間的にセズクとの距離をつめセズクの喉に対人レーザーを突きつけた。

「僕達はこいつをみかたとして認識してもいいのか?」

あの物腰柔らかな話し方は吹き飛び、ぞっとするぐらい恐ろしい声がシエラから発せられ
空気の温度が一気に下がる感じが俺を襲う。

「殺したほうがいいなら、今僕はこいつを殺す」

にやりと笑いレーザーの銃口を喉元につきつけいつでも発射できる体勢に入る。
そのシエラの耳元にセズクは何かをボソボソと呟く。
と……パッと顔を赤くしたシエラはあわててセズクから離れた。

「何?
 どうしたの、シエラ?」

メイナが不思議そうにシエラに問いかける。
確かに不思議だ。

「い、い、今…こいつ……ぼ、僕のこと……」

シエラをここまでうろたえさせる言葉―知りたい。
ぜひ教えて欲しい、教えてくれセズク。

「別に、怪しいことは言ってませんよ。
 ただ、犯しますよお嬢さん☆
 って言っただけです」

いやいやいやいや。
そりゃ驚くわな。
遺跡から出て来たときは本当に機械のようだったシエラにそんなジョークがもう通じるのか。
ってことは、これからは

下ネタ解禁!?

いやまて、落ち着け。
いいか、波音。
下ネタは厳禁だぞ?
なんでだ、俺だって男だ。
下ネタのひとつや二つぐらい。
―なんで自問自答してるんだ、俺。

「さて、僕はもう許してもらえたようですし。
 そろそろ本命のものにご対面しては?」

セズクは涼しい顔で俺達にそういった。
今回は大変だったが、何とかこれで終わりだな。
まだ問題がある。
扉が重すぎて開かん。

「これは重いな、波音」

仁がだめだこりゃという顔で俺に言った。

「シエラ、頼むぜ」

「あぅ…あんなこと言われるなんて…」

「…メイナ」

「あいあい、了解です」

メイナは両手を大きく変形させてバズーカ砲みたいにして
扉を吹っ飛ばすため力を蓄え始めた。




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~ Comment ~


そのリモコンぜひゆずってください(爆)。

セズクくんってもしかしたらねずみ男的キャラクター?(笑)
#479[2010/01/29 17:10]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]

グッドな展開♪

こんにちは♪

さっそく読ませていただきましたよ♪
シェラ・・・酷い眼に合いましたね。読んでいる方までその痛みが伝わってくるように感じました。
まさに迫真の描写・・・素晴らしかったです。

途中からの、予想外なセズクの登場もグッドでした♪
波音くんたちを裏切ったと見せかけて、連合軍を裏切る。そしてその理由に、男が波音くんを蹴ったから、と言わせるあたり、かなりの萌えでしたよ(笑)
セズクの愛は本物です。波音くん、こうなったらもう諦めて・・・(爆)

どこまでもハラハラさせて読者を惹きつける展開に息を呑みました。描写も実に丁寧でとても読みやすいです。素晴らしかったですよ。このままの勢いで、続きの執筆をがんばってくださいね!続きを読ませていただくのを心待ちにしております☆
#477[2010/01/29 12:26]  三宅千鶴  URL 

い、痛い、痛いよぅ。
最終兵器をイジメないでー、と。
ふと思ったのだけども、作品が最初の頃よりすっごく読みやすくなってる気がします!
あ、以前は読みにくかったとか、そうゆうわけじゃなくてですよ!
#476[2010/01/29 01:45]  ババノヘソ子  URL  [Edit]

シエラが大変なことにぃ――――――――――っ。・゚・(pゝД;`q)・゚・
こういう時真っ先に痛い目を見るのはヒロインのつらいとこですね;; 痛いよう。+゚(ノД`)゚+。
恐るべしリモコン。
量産されてなければいいですけども…あ、でも、そもそも今の科学力では作れないのかな?
できても劣化版とか? ていうことは、最終兵器もどき用のリモコンとかあるんじゃないかと、今ちょっと不安に…; それはそれで美味しい展開を期待できそうですけどねっ!(爆)
ともあれ、卯月としてはセズクがみんなもっていっちゃった感じ!
あいかわらず。いつもどおり途中からセズクばっかり追いかけていたという(笑)
ネミエルさまはハラハラ読ませるのが上手だなー♪ 
#475[2010/01/28 21:35]  卯月 朔  URL  [Edit]














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