Twilight of midnight

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ささげもの

セズクさんのかっこいいお話

「~♪」

青く輝く大空の下、一人の歌が響いた。
少し高めの声が少し外れた音を奏でている。
微妙に音痴なセズク・KT・ナスカルークはのんびりのほほんと今日も街を闊歩していた。
ぽかぽかと太陽も真上に上るお昼二時。
真夏の日差しをまともに受け、光る金髪をきらきらと輝かせて足取りも軽く先へと進んでゆく。
右手にはついさっき買ったスーパーの袋がぶら下がっていた。
ちなみに中には波音達の今晩のごはんの素材がたっぷりと詰まっている。
街を抜け、少し人通りの少ない公園のそばに差し掛かった時

「にゃー」

彼はふと立ち止まり、やれやれと植木の茂みを優しく見た。

「毛の模様が波音みたいなんだよね……」

言われてみるとなるほど……。
微妙に毛の模様が似ている一匹の子猫だった。

「また君かい?」

飛ぶようにセズクのところまでやってきた子猫は額を足に擦り付け甘えてくる。
少し表情をこわばらせつつも彼は足元の猫を抱き上げた。
つい最近、セズクは猫アレルギーを克服したのだ。
とは言っても……。

「ふ、ふふふふふ。
 ね、ね、ね、猫……だだだね……」

まだかなり恐れているのに変わりはないようだ。
いつも変わらぬ笑みを携えているはずの顔には恐怖の色が少し差し込んでいる。
動きもロボットのようにたどたどしい。

「にゃー」

疑問に思わず猫はセズクに抱かれたまま口を開けて鳴いた。
短い牙が生えているこの猫、まだ子猫でとっても小さい。
親に捨てられたであろう子猫に餌をあげたのをきっかけに子猫はセズクになついてしまった。
家ではとても飼えないので毎日セズクは買い物の後に餌を上げることを日課としていた。

「よ、よし、よよよし、いいい今あげるかかかからねーっ」

右手に持ったスーパーの袋から買ったばかりの牛乳のパックを取り出し、ふたを開ける。
家で毎回洗っている銀の皿を取り出して、セズクはその中にミルクを注いでやった。
地面に皿を置くと

「にゃっ」

子猫はセズクの右手にじゃれついてきて、いくつかのネコパンチを叩き込む。
指で適当にその遊びに付き合ってやると皿を目の前に移動させてやった。

「やれやれ……」

毎回、言葉がおかしくなるのは出会って少しの間だけのようだ。
餌を上げる、この時になるともういつもの調子に戻っているのもまた不思議といえた。

「よしよし、おいしいかい?」

追加の牛乳を注ぎながら訪ねる。
子猫は言葉がわかるのか、わからないのか、首をかしげると

「うにゃー」

と、セズクを見て鳴いた。
しばらくセズクは子猫がミルクをなめるのをずっと眺めていた。
五分ほどするといつもはここでそろりと離れ、セズクは帰路につく。
子猫は大体ミルクに夢中だからセズクが帰ってゆくのに気が付かないのだが
何度も何度も置いて行かれて学習したのか今日はセズクが立ち去るのと同時にセズクに向かって鳴いた。

「にゃ?」

「な……!」

思わずびくんとセズクの体が反応する。
帰るところを見られたらずっと子猫は後ろをついてくるに決まっていた。
まずいことになった、と心に呟く。
しばらくどうしようか、という悩みセズクの頭の中を駆け回った。
餌をまた出すか?
マタタビで酔っぱらわせるか?
論理的に考えつつも出た結論は

「それっ」

ダッシュで逃げることだった。
ものすごい勢いで。
つまり猫からセズクが見えないぐらいの速さで逃げれば大丈夫なのだ。

「にゃっ」

当然猫は動くものを追う習性があるため追いかける。
今、猫とセズクさんの鬼ごっこが開始された。

「ちょ、猫、おちつくんだっ」

「にゃーおっ」

最終兵器モドキであるセズクさんが猫なんかに引けを取るわけがない。
焦って逃げつつもぐんぐんと距離を引き離してゆく。
やがて住宅街から抜け、車通りもなかなかの道に出てきた。
それでもセズクは足を緩めない。
後ろから鳴きながらついてくる子猫がいるためだ。
風のように赤い標識を超え、白い交差点を一気に賭け渡った。

「ねこーっ、ダメだよっ、こっちに来たら!」

そして事件は起こった。
宅配便であろう一台のトラックが猛スピードで交差点へと突っ込んできたのだ。
すでに渡ってしまっているセズクには当たるわけがない。
だがセズクにじゃれつこうと必死の猫は……当然信号など読めないので赤だというのに横断歩道へと飛び出した。

「っ!」

猫とトラックの距離がスローモーションで縮んでゆく。
セズクは頭でトラックへの危険を感じる間もなく足を真逆にひねり、ばねを生かして一気に三メートルほど飛んだ。
クラクションが高い空に鳴り響き、おびえた子猫がその場にすくみ上る。
時間にしてゼロコンマ二秒ほど。
ひかれる……!
目の前で消えようとしている命をセズクは見捨てることはできなかった。
すぐに視界いっぱいに広がるにトラック一台と小さい猫を認識した。
走りながら一瞬で右手を思いつく武器に変えた。
すらっとした刃渡り八十センチほどの長い刃が現れ、光り輝く。
日本刀と非常によく似た形の刀の中でギアがかみ合い、火花を散らす。
黒い刃先がトラックのボンネットに垂直に突き刺さった。
紙のように鉄板に穴が打たれ、セズクの右腕がめり込んでゆく。
タイヤがきしみ、ブレーキがかけられる長く尾を引く音とともに、金属と金属がこすれあう音も混ざりこんだ。
ボンネットに突き刺さった刀の先からセズクはレーザーを発射することにした。
長い光がトラックを貫通してついでに電柱の電線をもたたききる。
宅配便のはほとんどスピードを落とすことなく通り過ぎていった。
ただし、二つに割れて――だが。
トラックはど真ん中からきれいに縦に切り離されていた。
溶けてどろどろになった金属が道に広がり、アスファルトが煙を上げる。
切られた半分のトラックはしばらく二輪で走っていたが後ろの家の塀に突っ込んだ。

「大丈夫だったかい?」

にこっと笑ってセズクは右手を刃から普通の手に戻すとすくんで動けない猫をだっこした。
もぞもぞと動くと子猫はセズクのシャツの中にもぐりこむ。

「まったく……。
 よしよし」

セズクは子猫をシャツの上から何度も何度もなでなでした。
嬉しそうに子猫は「にゃー」と何度も鳴いた。




                   おわり。


ミズマねーさん誕生日おめでとうございますっ。
いやぁ30ですね←
ごめんなさい、いたいっ、たたかないでっ。
本当におめでとうございますっ。
この小説をプレゼントにささげますっ。
もらってやってくださいっ。

朔ねーちゃんもお誕生日おめでとうございますっ。
すこし遅れてごめんなさいっ。
お待たせいたしました、セズクさんのお話ですっ。
すこしカッコよさを出してみましたっ。

まとめて祝う形式でごめんなさいっ。
涙出ます。
本当にごめんなさい。

ついでに思うのが運転手はどうしたってことですよね。
大丈夫、いきてますよ、たぶん。
あとつっこまれた家の人。
大丈夫だったんでしょうか……w
心配です。
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~ Comment ~


ミズマねーさんへ

なんですかこのPSw
おもしろすぎます、さすがです。
波音いぢめに定評のあるミズマねーさん←

でもカタカナだと違うよ、波音。
うん。
安心して。

「いや、安心とか無理だろ。 
 あほだろ、おい。
 頭にきのこ群生してるだろ」

何やら不機嫌ですよ、彼。
#2508[2012/04/16 00:31]  レルバル  URL 

猫を助けたセズクさんは、成り行き上、そのまま連れて帰ることにしました。
「猫、猫くん……なにか名前がないと、不便かな」
「にゃー」
「名前、ねぇ」
セズクは考えます。
「じゃあ、ハノンにしようか?」
「にゃー!」
「気に入ったみたいだね」
「みたいだね、じゃねぇよ!」
にっこり笑って猫と見つめあったセズクさんの背中に蹴りを入れたのは波音くんでした。なにやら随分と不機嫌そうです。
「なんで俺の名前付けるんだよ」
「ハニーとは違うよ。だってカタカナだし」
「わかるか、そんなもん!」
「良い名前じゃないかハノンって、ねぇ」
「にゃー」
「ほらほらハノン、ゴロゴロゴロー」
「にゃにゃー♪」
「……おまえ、猫アレルギーはどこいったんだ?」
「いやだなぁ、この子は猫じゃなくてハノンだよ♪」
「にゃー!」
「……いい加減にしてくれ」

ってわけで、ありがたく頂戴いたします!
三十路って言うなぁッ!!(ノ=゚ロ゚)ノ ⌒┫:・’.::ヤッテラレルカニャアアアァァァァァ!!!!
#2495[2012/04/12 23:28]  ミズマ。  URL 














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