Twilight of midnight

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ショートの集い (短編集)

無限増殖

「おや、これはどうしたことだ」

探険家の男は声をあげました。
ひとり、大きな荷物を背負い深い熱帯雨林の中をばっさばっさ歩いてきた男。
その男の目の前には大量の茸が生えていました。

「なんということだ。
 こんなにたくさん」

男はその中の一本を手に取り、全体から眺め回しました。
思い出したように腰からごそごそと茸の図鑑を取り出し眺めました。
しかしこの茸は載っていませんでした。

「食べれるのなら食べてみたいものだ……」

何を隠そう、男は茸が大好きでした。
しいたけ、エリンギ、まいたけ……。
思い出すだけで喉がなり、おなかが鳴きます。

「しかし、食べても大丈夫な物なのか?」

男は口にその茸を入れかけてふと思いとどまりました。
毒などがあったら大変です。
ひとりでこの山奥まで入ってきた男を助けてくれる人はいません。
と、奥からごそりと一頭の鹿が現れました。
その鹿は茸の山に近づくと一口、また一口とかじります。
男はその様子をじっと見ていました。
鹿はずっとずっと、茸を食べ続けました。
それをみて男は

「鹿が大丈夫なら俺も大丈夫だろう」

と、思い、一口かじりました。

「これはうまい!!」

男はその瞬間に叫んでいました。
とてつもなくおいしかったからです。
男は鹿と一緒にそこに生えている茸をむさぼり始めました。
一本、また一本とちぎっているうちに男は気がつきました。
茸が生えている場所が変に盛り上がっているのです。
ある場所は馬の形に……。
ある場所は、熊などの大型動物のように……。

「まさか……」

男は人が重なって倒れたような場所まで歩いていくと茸をちぎりました。
下から出てきたのは錆びたハンマーなどの探検道具が入った鞄。
その鞄の下には動物には存在しない明らかに鋭利な骨が横たわっていました。
男の背中を冷たいものが駆け巡りました。
と、男の横で悲鳴がありました。
あわてて目を向けると、鹿がふらふらと地面に倒れるところでした。
その倒れた鹿の体を突き破るようにあの茸が生えてきているではありませんか。

「っつ――!」

男の右目に痛みが走りました。
そして右目が見えなくなりました。

「そんな――!」

次は右腕でした。
残された左目で男は自分の右腕を見ました。
鮮血がたらたらと垂れる右腕から一本、また一本と茸が姿を現し始めていました。

「嘘だ――!」

男はがくんと、地面に倒れました。
左足に茸が生えてきたためです。

「俺は……俺は……!」

男は全身から痛みがこみ上げてくるのを必死で絶えていました。
が、頭の中でぶちぶちっ、と何かが切れるのを聞いたのを最後に
意識をぷつりと失ってしまいました。





      ・
      ・
      ・




「お、こんなところに茸があるじゃないか」

ある冒険家は茸の大群を見つけました。
手に取り、臭いをかぎます。
その隣に横たわる人の形のように生える茸の大群が静かにその行為を見ていました。
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~ Comment ~


ポールさんへ

おうぅ……、深い。
深い話ですね、これは。

ドラゴンボールのなんかすごい水みたいなかんじでしょうか。
打ち勝つとすごい力を手に入れるみたいな。
#2361[2012/02/19 22:53]  るる(レルバルの略称)  URL 

矢端兄さんへ

残念ながらw

またんご……?
#2360[2012/02/19 22:52]  るる(レルバルの略称)  URL 

白土三平先生の忍者ものにあったなあ、不老不死の「冬虫夏草」を探していた忍者が、群生地にでくわし、「おおっ、こっちにもある、あっちにもある、おお、あそこにあるのはひときわ見事な……」と掘ってみたら、かつて忍者が旅の途中、冬虫夏草について話したことがある少年の死体から生えていたことを知り、忍者は、この世にほんとうに不老不死の薬があるのか、と悩む、という……。なんてタイトルだったっけ。
#2344[2012/02/15 20:40]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]

No title

鹿が食べるところで落語の「蛇含草」を連想しましたが。

・・・そうではなく、「マタンゴ」だったか!(←ちがう)
#2343[2012/02/14 19:10]  矢端想  URL  [Edit]














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