Twilight of midnight

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いただきもの

trick trick trick!

 今日も授業が終わった。
 さあ帰ろうもう帰ろういま帰ろうと、波音はカバンを掴んで立ち上がる。
「おーい、波音」
「よぉ、どした」
「お前んとこの子さぁ」
「は? 誰?」
「だからさ」

 空月・N・蒼はウキウキと大塔高校の廊下を歩いていた。
 いつもの軍服姿ではなく、フリルのついた黒いブラウスに、黒いカボチャパンツと黒いブーツ。黒ずくめの全身の背中からはコウモリの羽が生えている。先のとがった長いしっぽまで供えたその姿は、まさに小さな悪魔であった。
(ハロウィンって言うんですよねー♪)
 スキップしそうな足取りの蒼。
(仮装もできてお菓子ももらえるなんて、なんて素敵な行事なんでしょう!)
 浮かれた彼女は失念していた。
(波音さんとこに行って、お菓子もらいましょーっと!)
 その高校には、彼らがいることを。

 ガラガラ、ピシャン!
「波音さーん! とりっくおあとりーとぉッ!」
 勢いよく教室のドアを開く蒼。
 ぴょこん、と飛び跳ねて登場する姿はまさに小悪魔的に可愛らしい。
「お菓子くれなきゃ、いたずらしちゃいますよ!」
 そして彼女は凍りつく。
「おー、蒼さんじゃん。どした? って、今日ハロウィンかー、そっか。かわいいじゃん、その格好。で、お菓子だよな。飴ちゃんが確かどっかに……って、蒼? 何で固まってんの?」
 首を傾げる波音。
 蒼はあわあわと口を戦慄かせ、震える指で波音の横にいる人物を指した。
「え、俺?」
 首を傾げたのはパーカーを着た人物。
「あ、あ、あああああ、悪魔の手先がぁッ!」
 ささ、と波音の後ろに隠れる蒼。
 彼女を庇う形になった波音は苦笑い。
「おま、その姿で言っても説得力ねぇよ」
 だが蒼はそんな言葉に耳も貸さない。
「あ……あの、白い、白い悪魔は……」
「トラウマってるっスねぇ」
 その姿を見た後輩(もちろん、放課後に波音を訪ねてきたのは後輩だ)は、ため息をついた。
「まあ、想像はしてたんスけどね。すっかり怯えちゃって」
 ごそごそと懐を探る後輩。
「こんなこともあろうかと、用意しておいて良かったっス」
 びくびくとその様子を伺っていた蒼だが、そこから取り出されたものを見て、再び動きを止めた。
「……肉球ぅ……」
 それは、猫の手を模した飴細工だった。
 にゅっ、と伸びた猫の手が棒の先に刺さっている。リアルに肉球まで再現されていた。
 若干リアルすぎて波音は
(うわぁ……)
 と思わないでもない。だが、肉球をこよなく愛する蒼にとってはそうでもないらしい。
「イベント事には波音のとこにくると思って用意しといたんス。お詫びのしるしと、仲直りも兼ねて」
「あ……あぁ……」
 そろそろと手を伸ばす蒼に、後輩は肉球飴を差し出した。
「はい、どうぞ」
「あ、りがとう、ございますッ! 後輩さん!」
 飴を掴む蒼の手は、かなり力強かった。

 * * *

「しかし、よく出来てるよなぁ」
 嬉しそうに飴を眺める(食べる気はないらしい)蒼を見ながら波音。
「波音も欲しいなら、作るけど」
「え、お前が作ったの?」
「飴細工の練習したんで」
「練習したって、あれほどの再現率は出せねぇと思うぞ。もうフィギュアじゃん、あれ」
「あんまり誉めんな」
「誉めてねぇよ。呆れてんだよ」
「肉球ぅ~」
 そんなやりとりをしている三人の前に、次に現れたのは猫だった。またしても。
 着ぐるみではあるのだが。
 すっかりリラックスしていた蒼はすかさずそれに反応する。
「猫さん!」
 たたた、と駆けていき、ばふっ、と抱きつく。
「肉球ぅ~! 大っきい肉球ぅ~!」
 それを見た波音が呟く。
「……蒼さんは、あれか」
「?」
「肉球があれば、実は猫じゃなくても良いのか?」
「さぁ」
 しばらく無抵抗でもふもふもきゅもきゅされていた猫の着ぐるみは、どこからともなくスケッチブックを取り出した。
 ぺらり、とページを捲る。そこに書かれていたのは、
「……」
「……」
「……?」
「読めねぇ」
 首を傾げる蒼と波音。
 それは文字とは言いかねる線の集合体。もはや模様だった。瀕死のミミズを何匹かスケッチしました、と言った方が納得できる代物。
 その模様を一瞥した後輩は、しかしさらりとこう言った。
「『トリック・オア・トリートだにゃ』だそうっスよ」
「読めんの!?」
「一応」
 猫の着ぐるみにそう言われた蒼は焦った。
「え!? どうしましょう。お菓子なんて持ってませんし」
 猫の着ぐるみは、蒼が断固として握り締める肉球飴を指すが、
「これは差し上げられません! 絶対無理ですッ!」
 断固として拒否する蒼。
 すると、ページがまたぺらりと捲られる。
「……」
「……」
「……読めん!」
「『じゃあイタズラしちゃうにゃ』だそうっス」
「猫さんからイタズラ……ちょっとカワイイかも知れませんね」
「おいおい」
 再びページが捲られる。
「通訳!」
「『じゃあ研究室に移動だにゃ』だ、そうっス」
「けん……?」
「……え?」
 波音と蒼が揃って首を傾げる前で、またもページは捲られる。
「『CTスキャンに脳波測定にサンプル採取に……ネメシエルの核を丸裸にひん剥いてやるにゃ! ふははははー!』」
 そこまで通訳して、後輩は大きくため息をついた。
「何やってんスか、先輩」
 ぎくり、となる猫の着ぐるみ。
 蒼もぎくりと体を硬直させ、一歩、二歩、三歩と着ぐるみから遠ざかる。
 そして波音の背後というある意味定位置に落ち着いた。
 その間にも猫の着ぐるみは必死に首を振り手を振り、『違うにゃ、ただの猫なんだにゃ!』とアピールするものの、後輩はそれに全く応じない。
「そんな悪筆、先輩以外にいるわけないじゃないっスか。……『にゃんだと!』じゃないっスよ。バレバレっス」
 あのっスねぇ、と後輩は言葉を重ねる。
「これ以上ベルカ帝国にちょっかい出すと、マジで身の危険を心配しないとマズいっスよ? 俺とこうして自由に合うのも難しい境遇になるかも知れないっスね」
 うぅ、と俯いた着ぐるみだが、すぐに『そんなことないにゃ!』といやいやと体を振るわせる。
「仕方ないっスね」
 後輩は何度目かのため息。
「先輩」
 『にゃんだ?』と顔を向けてきた猫の着ぐるみに、後輩は言い放った。
「Trick or treat?」
 驚くほど流暢な発音で発せられた言葉に、『はにゃ?』と首を傾げる猫の着ぐるみ。
「だから、お菓子くれなきゃイタズラするっスよ?」
 いい笑顔の後輩。
 猫の着ぐるみは慌ててお菓子を探すが、そんなものを持っているわけもなく。
「ないんスね」
 こっくり、と頷く着ぐるみ。
「では、イタズラということで」
 後輩は、がっしりと猫の着ぐるみの腕を掴んだ。
「じゃ波音。俺、この人に思う存分イタズラしてくるんで。蒼ちゃんのフォローよろしく」
 後輩は一点の曇りもない澄んだ笑顔でそう言った。
「構ないっつーか、いつものことっつーか。……お前も大変だなぁ」
「いつものこと」
「つーか、イタズラすんのになんで場所変えんの?」
「聞きたい?」
「……いや、いいです。すみませんでした」
 嫌がる猫の着ぐるみを引きずって教室を出て行く後輩の背中を見送りながら、
(なんか、あの二人のやりとりに巻き込まれただけのような気がすんなぁ)
 と、波音は胸中で苦笑い。
(いつものことだけど)
「なんだかなぁ。あ、おい蒼さん、大丈夫か?」
 さっきから背後で固まったままの蒼に声をかける。
「大丈夫……じゃ、なさそうだな」
「……また、悪魔に魂を売り渡すところでした」
 肉球飴をしっかりと握り締めたままの蒼の心に、またひとつトラウマが出来たとか、出来なかったとか。



        後輩は、波音さん相手だと語尾に「ス」がつかなくなる仕様です。了。






どんだけ猫が好きなんですか、蒼さんwww
以下、オマケという名の本編もういっちょ!



「トリック・アンド・トリート! マイハニー♪」
 動揺する蒼さんをどうにか帰した後、やってきたのはセズクだった。
 金髪碧眼超美男子の彼は、吸血鬼の扮装が素晴らしくよく似合っている。
(つーか、やっぱしカッコイイんだよなぁ、コイツ)
 のだが。
「アンド……?」
 そこは『オア』だろう。
「お菓子とイタズラ、両方がイイってことさ、ハニー♪」
「は?」
「つーまーりー」
 セズクは電光石火の勢いで、波音を机に押し倒した。
 すんでのところで押さえ込んでくる両手を掴み、完全に組み敷かれるのを防げた自分の反射神経に、波音は自分で自分を誉めてあげたいと心底思う。
(グッジョブ、俺ぇッ!)
 だが、ぐぐぐ、と上からの圧力は今にも波音を押し切ってしまいそう。
「僕にとっては文字通りハニーなキミに、イタズラをしたいなぁ、って」
「待て! 落ち着けッ!」
「落ち着いてるし冷静だよ、僕は。……冷静に興奮してるわけで」
 ざぁっ、と波音は自分の血の気が引いた音を聞いた。ぶつぶつとサブイボが立ってくるのもわかる。
「ちょっと前に『波音の笑顔の為に自分は身を引く』みたいなこと言ってたろーが!」
「過去にこだわるのは、イイ男のすることじゃないよ、ハニー」
「そこは是非ともこだわってくれッ!」
 悲壮感漂う悲鳴が響く中、いままさに波音のちゅーが奪われようとしていた。
 そこへ。
「トリック・オア・トリート! 波音くん!」
 弾むような明るい声の主が教室へ現れた。
 金の長い髪を赤い頭巾の中に押し込めた彼女は、赤ずきんの扮装をしたアリルだった。
 赤い頭巾から零れ落ちる金の髪とか、白いブラウスとか、フリルたっぷりのスカートとか、それはそれは可愛らしい姿だったのだが。
 机に組み敷かれ(ようとし)ている波音と、組み敷こうとしているセズクの様子を見て、アリルの手に持ったバスケットが床に落ちた。
 大きな瞳を更に大きくして、こちらを凝視している。
「あの……アリル、さん?」
 堪らず声をかける波音。アリルはたっぷり数秒、彼らを凝視した後、
「波音くんの、浮気ものーッ!」
 叫んで走り去ってしまう。
「ちょッ! どこ見たらそーゆう結論になるんですかアリルさんッ! ちょっと! 誤解だーッ!」
 遠ざかる背中に叫ぶも、彼女は遠くへ消えてしまった。
 それを見届けたセズクは優しく微笑む。
「邪魔者は消えたね、ハニー♪」
「お前が邪魔物だろーが!!」
 波音の胃が解ける日も近い。







アリルさんは魔女っ子でも良い。
でも彼女が赤ずきんの理由は、波音さんを狼さんにしたいからです(マテ)。
その場合、セズクは猟師さんがいい。「僕が波音のハートを撃ち抜く役ってことだね☆」「おまえ、黙れ」
なのですが、セズクさんにはあんまりにも吸血鬼がぴったりなので吸血鬼ということで。

先輩が猫なら後輩は……ネズミとかやっときますかね? 猫のお世話を焼くネズミ。和むわぁ。
遂に飴細工の習得しました後輩です。どこを目指そうというのか……。

蒼さんはお察しの通り、ネリーちゃんの羽と尻尾をつける扮装をしております。

と、いうわけで9054hit「蒼と先輩たちでほのぼの」でしたぁ。……ほのぼの?
季節的にハロウィンだったので、「ついでに一緒にやっちまえ!」とか思ってないですよ←

おまけのセズクさんは、前回カッコよさのメーターが振り切れたので、次はこっち方向に振り切らせてみました。まだセズクさんと先輩後輩で話を書ける気がしない。
そしてアリルさんが波音くんを呼ぶときは「波音くん」でOKだったかしらん?←調べろ。
アリルさんが腐ってる方の女子だったら、色々とウマウマなんだけどなぁ、と思わないでもなかったりしなかったり。ウソです。←どっちが?


ここまでお付き合いありがとうございました<(_ _*)>
るるさまのリクエストに沿えていればよいのですが……!




ミズマ姉さんからいただきました。
ありがたや、ありがたや。
やっぱりほのぼのとは少し遠い感じにw
先輩は最強だからなぁ……。

もし絵がうまかったら先輩と後輩を描いて差し上げたいのにへたくそだというorz

本当にミズマ姉さん、ありがとうございました!
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~ Comment ~


ミズマ姉さんへ

イラスト、出来る限りがんばります。
うまく出来るかどうかわかりませんが……w

ほっこり……?
確かに←オイ
#2123[2011/11/14 00:55]  るる(レルバルの略称)  URL 

もらっていただいて、ありがとうございましたm(__)m

先輩後輩イラスト!いまだ誰も手掛けたことのない禁断の領域に踏み込みますか!やったーヽ(´▽`)/
ぜひぜひ、描いていただけると私が嬉しいです^^

あれ、これほのぼのじゃないですかwww
すごいほのぼのじゃないですかwww
心がほっこりしてくるじゃないですかwwwwww

……すみませんでしたorz
#2114[2011/11/09 07:55]  ミズマ。  URL 














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