Twilight of midnight

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いただきもの

九九、壱百話の裏話 (セズクさん)

  祭り舞台の裏側で。

 街が攻撃を受けてボロボロになったというのに、住民は逞しい。
 波音の高校で三日間連続でお祭をやるときいて、セズクは思わず苦笑した。
「すごいねぇ」
「まあ、いまこんな状況だからな。みんなで頑張ろうってことだろ」
 大して興味なさそうな口ぶりだったけれど、波音がとてもうきうきしているのは容易に見て取れた。
 だからセズクも楽しくなってくる。
「あ、波音?
 今日は僕も一緒に学校へ行くよ?
 お祭って聞いたし……ね?」
 何気なく言った言葉だったが、波音の口をあんぐり開かせるには十分だった。
「来るの……?」
 そんなに意外かなぁ。
 セズクは少しだけ眉をひそめ、いつもの笑顔を曇らせる。
「いやかな?」
「いや……そんなことないけど」
「じゃあ行くね?」
(なんだかんだ言っても、優しいなぁ、ハニーは♪)
 普段着に着替えたセズクは、踊るような足取りで波音の横を歩いて高校へと向かっていた。波音の反対側の隣には、歩くたびに揺れる金色のポニーテールの少女。
(まあまあお似合いの二人かも知れないけど、マイハニーの方がかわいいね)
 連れて歩くなら断然波音だなぁ、などと考えながら波音の隣を堪能していると、瓦礫が詰まれた道にはちらほらと歩行者が現れてくる。先に進むほどに増える歩行者の女性たちのほぼ全員から好奇の視線を受けながらも、セズクはにこにこと笑っていた。
 向けられた視線や声に笑顔と会釈と手を振ることで答えると、ますます増していく黄色い歓声。
 大塔高校に着く頃には、セズクら三人の周囲はぐるりと野次馬に囲まれていた。
(まいったな)
 今日はのんびりハニーとお祭堪能したかったのに。
「じゃ、俺とアリルはここで教室行かなきゃいけないから……」
 ここぞとばかりに逃げ出そうとする波音。一瞬引きとめようかとも思ったけれど、
「ん?
 分かったよ、マイハニー」
「ばっ、ここでその呼び方はやめろ!」
 顔を赤くして言う波音。
(そんな顔するってわかってたから言ったんだよ、マイハニー)


 波音たちと別れたセズクは、のんびりぷらぷらと祭りを散策していた。
 なぜだか大量の女性をエスコートすることになってしまったけれど、それを苦にするセズクではない。
「お手をどうぞ、レディ」
「その段差は危ないよ。おちびちゃん」
「あぁ、ほっぺたにケチャップがついちゃったね。……ほら、とれた」
「泣かないで、ディア。僕が採った金魚じゃ、キミの心の穴を埋めるには不十分かな」
 今日一日だけで一年分の黄色い声援を浴びたセズク。だが彼は、夜の帳が降りる頃にはひとりきりで給水塔の上に腰掛けていた。
 もうすぐ花火が始まるらしい。
 一緒に見よう、という数多の女性の誘いを断ってセズクはひとりだった。
「ごめんね、レディたち。花火は僕の一番大切な人と見たいんだ」
 崩れかけた給水塔だというのに、危なげなくセズクはその上でぷらぷらと足を揺らしている。
 涼しい風が彼の柔らかな金色の髪を掬い上げていった。
 屋上の上にある給水塔。屋上で、金髪の少女と二人並んで机の上に腰掛けた波音は、その背中をセズクが見つめていることを知らない。
 すっかり日が落ちた校庭では、白と赤の電球が灯り、それを見つめる屋上の二人を幻想的に浮かび上がらせていた。
 セズクはひとりきり、それを見ている。
 涙が出そうなぐらい、綺麗な光景だった。
(僕は、なにをしてるんだろうな)
(誰かに誰かを重ねて、未練がましく、まだ想い続けてるのか)
(もういないのに)
 彼の側には誰もいない。
 漆黒の夜空に花火が開き始めた。
 弾ける光と、遠くに香る火薬の匂い。
 嗅ぎ慣れた匂いだ。
 セズクは片膝を抱えた。
(もう失くすのは嫌だよ)
 膝を抱えて目を閉じた彼の前で、波音は少女と唇を重ねようとし……。


 それは宙を劈く音によって遮られた。
 視界を塗りつぶすほどの悪意。
 セズクは咄嗟に空を仰ぎ見、歯軋りする。
(迂闊だった……!)
 夜空に広がるのはもはや花火ではなく、死の火を運ぶ爆撃機たち。
(僕としたことが……!)
 爆撃機は腹に抱えた爆弾を落とした。
 重力に引かれたその爆弾は、セズクの髪を乱暴にかき回す風を伴って校庭へと落下した。
 今の今まで泣きたいほどに綺麗な光景を見せていたそこは、その瞬間に沸騰した。
 ごう、と衝撃が屋上にいるセズクをも襲う。
 いくつもの火柱が上がり、ガラスの割れる音、誰かの悲鳴、怒号が爆音にかき消される。
 爆弾のひとつがこちら目掛けて落ちてくる。
 波音は少女の手を引いて、彼女だけ校舎の中へと逃がした。自分は屋上の扉の前。自分の身を挺して、彼女を守ろうというのか。
(ダメだよ波音)
 セズクは跳んだ。
(そんな扉じゃ、爆弾は防げないよ)
 コンクリートの屋上に足型が残るほどに踏みしめ、今まさに波音の命を刈り取ろうとしていた爆弾の横っ面を蹴り飛ばした。
 セズクが蹴り飛ばした爆弾は、遠くの山に被弾。そこで大きな火柱が上がる。
 それを見届けたセズクは、扉の前にいる波音へと向き直った。
「――大丈夫かい、ハニー?」
 声をかけられた波音はほんの数秒惚けたようにこちらを見ていたが、すぐに気を取り直してしまった。
「あ、ありがとう……!
 そうだ、アリル!」
 扉の内側に庇った少女は無事だった。
 だが、その後すぐに鬼灯のビルから弾道レーザーが空を切り裂き、爆撃機を撃ち落したり、そのビルが焼け落ちたり……。
 戦況は刻一刻と変化していく。
 できることなら、セズクはすぐにでも波音を安全な場所へと連れていきたかった。シエラとメイナが合流したいまでは、それは不可能ではないだろう。
 だが、波音は迷わない。
「メイナはアリルを頼む!
 俺はシエラとおっさんのビルに行ってくるから!
 セズクはシンファクシに報告をっ――!」
 矢継ぎ早に指示を飛ばす。
 セズクは足を踏み出しかけた。シンファクシにではない、波音に、だ。
 昔、失ってしまった彼女と瓜二つの彼。
 もう二度と失いたくない相手。
 でも、彼女は彼ではないし、彼女はこんな表情もこんな決断もしなかった。
 自分を押し隠している人だったけれど、自分の恐怖を押し隠して笑うような強さはなかった。
 側で支えていたい弱さを、波音は持っていない。
 だからこそ。
(僕はまた、好きになったのか)
(人を)
「俺は死なないから。
 な?
 ほら、行け!」
 その波音の言葉はポニーテールの少女に向けられたものだったが、セズクの胸にもしっかりと刻み込まれる。
 彼は波音へ向けた足を引き戻し、彼の望むべく方向へと顔を向けた。


                      ストーカー、ダメ、絶対! 了




Q,どうしてセズクさんが屋上に先回りできたんでしょうか?
A.愛ゆえ、です。←

と、いうわけでルルさま、「怪盗な季節」100話目おめでとうございまーす!ヽ(*´∀`)ノ
と、いうわけでセズクさんストーカー話でした(違)。
ルルさまが書かれた99話から100話にかけて、セズクさん主点で書かせていただきました。だってセズクさんが好きなんだもん!
まあしかし、彼が本当にこんなこと考えているのかどうかはるるさまのみぞ知る、というやつなので、「違うわーッ!」というところは、まあアレです。アレしてください。←
作中の台詞の一部はルルさまが実際に喋らせたものであります。だって読みながら書いたもの!←

「ちゅーしようとしたら爆弾が飛んできて、それをセズクが蹴り飛ばしたんだぜぃ☆」という話を読んですぐに、「じゃあセズクさんはどこにいたの? どこでスタンバってたの???」と思い、書き上げてしまいました。
ほんとはもっと、「ちゅー」に対してアクティブに邪魔する気満々だったんですけれど^^;
「マイハニーが僕のものになって一番幸せならそれがホントは一番良いんだけど、まあ、とにかくマイハニーが笑顔でいられる選択をするよ」……と、私の脳内イメージのセズクさんは言ってます。

超かっこよくない?←

ええと、色々すみませんでした、レルバルさま<(_ _*)>
またよろしくお願いします。 






いや、本当にありがとうございます、ミズマ姉さん!

セズクかっこいいよ、誰だよこいつ俺のセズクなのかっ。

すごい、姉さんすごいよっ、誰だよこのセズク俺のっ!?

……とまあ、セズクさんはこんな感じにイケメンだったのだよ!←



とにかく、本当にありがとうございました!

こちらこそまたよろしくお願いします←
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~ Comment ~


ミズマ姉さんへ

ありがとうございます、本当に。
セズクさんはイケメン……なんでしょうかw
残念なイケメン……ww

もらいうけました、あれは残念でしたw
#2087[2011/11/02 00:27]  るる  URL 

もらっていただいてありがとうございますm(__)m

セズクさんはイケメンですよッ!
イケメンですとも!

でも「残念なイケメン」なはずなので(酷)、次回はその辺りを重点的に書きたいと思……あ、もう次の話書いたんだった(宣伝)。
#2072[2011/10/27 07:52]  ミズマ。  URL 














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