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Twilight of midnight

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しゃくでば! (短編)

しゃくでば!~嗚呼血に染まりし我が資本よ~ 

前回のあらすじ。
美鶴、バイトをスタートさせる。
以上。



美鶴がバイトを始めて五日目。
だんだんとこのバイトにも慣れてきたようだ。
まぁ相変わらず物凄い勢いで
罪無き子供たちに日々トラウマを植えつけているみたいだが。
バイトの人たちも彼女ができたとか
今日の占いがラッキーだったとか
そんな続く幸運でぽつぽつと戻ってきたようだ。
店長の使う胃薬もゆっくりと使用回数が減りつつあるこの頃……。

「美鶴、今日もバイトか」

俺はうきうき気分の美鶴に話しかけたのだった。

「そうしゃくよぉん♪
 いやぁ~毎日忙しいしゃくよぉ~?
 どっかの働いてない誰かさんと違って。
 働かざるもの食うべからずしゃくね!
 しゃっしゃっしゃっ!」

俺をみてにやける美鶴。

「おい。
 それ俺にいってんのか……?」

ぴきっといらっとした。

「いんやぁ~?
 どうしゃくかねぇ~?
 しゃくふふふぅ~」

「滅せよ」

俺は美鶴に大きく右からのパンチを食らわした。
まともにくらった美鶴は飛んで行きゴミ箱の中にダストイン。
上から乗って詰めてやった。

「じゃぐぅ……」

上から蓋もする。
ボケが。

「ん?
 シエラ、メイナ、お前らもバイト始めたのか?」

その横をすたすたと歩く二人。
ポスターをもってわくわくした表情だ。

「そだよ。
 いやぁ~毎日大変だよ。
 どっかの働いてない誰かさんと違って!」

シエラがにっこり笑ってそういった。
メイナは言いすぎだよ、それは。と言った目を向けている。

「お前、今夜飯なし」

俺はシエラに冷たく言うとその場を離れた。

「波音、ごめんっ!
 ごめんって、ごめんなさいっ!!」

「働いてるお前は大変なんだから飯も食う時間もないんだろ?
 じゃあ今夜はご飯なしでいいよね?
 ん?
 嫌なの?」

「……ごめんなさい」

「謝るぐらいなら初めから言うな、ボケ」

「……うぅ……」

最終兵器を言い負かしてやった。
調子に乗るんじゃない。
ってか、俺は俺で帝国郡のために働いたりしてるからな。

(場所は変わって美鶴バイト現場)

「あ!
 いかん、しまった!!」

店長が何かを思い出したように右頬を叩いた。

「ど、どうしたんです?」

『健康野菜じうす』と書かれたダンボールを運びながら
バイトが心配そうにたずねた。
店長は手の甲に張り付いた割引のシールをめくりながら

「今日な?
 サプライズイベントでうちの店でヒーローショーやるんだよ。
 で、ウチの店の着ぐるみが悪役やることになってたんだが……」

「はあ」

「まだ悪役のメンバーが決まってないんだよね」

店長は壁にもたれかかった状態の着ぐるみを顎で指した。
バイトは目線をたどり

「ご丁寧にちゃんと額のとこに『悪』って書いてあるじゃないですか……」

そんなの見た目で分かるだろと、ため息をついた。

「で、さ。
 あの悪役なんだが美鶴君なんか適任だと思うんだ。
 みんなどう思う?」

いつの間にか倉庫の全社員に話しかける形になっていた。
店長の意見を聞いた全員から歓声が上がる。

『みんなー、今日はカイセンジャー(ヒーロー名)のショーに
 やってきてくれてありがとー!! 
 そこにいる大きなお友達もねー!!』

「むっ!
 いかん、もう始まってしまう」

振り向いた店長の前に

「ちょりーっすしゃくぅー!
 今日もバリバリ働くしゃくよぉー!!」

やっとゴミ箱から抜け出した美鶴が立っていた。

「おおグッドタイミング。
 唐突で悪いがこれ着てあのショーに出てくれないか?」

「しゃく?
 なんしゃく、これはぁ?」

「実はかくかくしかじかでこうこうというわけなんだ。
 頼む。
 上手くやれば給料上げとくから!」

美鶴の目が¥に変わる。
いや本当に変わってる。

「まあぁぁぁかせるしゃあぁぁぁぁくっ!!!
 ハリウッド並のボクの演技力にひれ伏すしゃくっ!!!」

美鶴は鼻息も荒く金の力に負け引き受けたのである。

「おお!!
 ちょっといかんせんこめかみの血管が浮き出そうになったけど頼もしい!!
 よろしく頼むよ!」

美鶴と店長が手を握り合っている後ろでは

「てかなんも練習なしにぶっつけ本番ですか……」

「まさにサプライズっすね……」

バイトの人や社員の人がひそひそと話し合っていた。

      ・
      ・
      ・

だるい学校が終わりぶらぶらと仁と男二人で
虚しくウィンドウショッピングに来ていた俺らの目の端に
一枚のポスターが入ってきた。

「ん?
 ヒーローショー……?」

だっさい戦闘員とかに星人が描かれている。

「しかもあの顎のバイトのとこじゃねえか」

仁が欠伸をしながら場所を指で指した。

「暇だし行ってみるか」

仁にどうする?と首を傾げる。
と、俺達の間に入ってくる人が一人。

「それはいいこと聞いたでっぱ!!」

先輩じゃないですか。
あいからわずどこから出てきたんだあんた。

「なんであんたまで……」

仁の呟きを聞かなかったように出刃先輩は

「まぁいいじゃないかでっぱ。
 行ってみようでっぱ」

俺達二人の背中を押して進む、進む。
結構会場は近くにあった。

「おぉ結構な人じゃねえか」

思わず仁が声を漏らす。

「もう始まってるでっぱか」

とりあえず空いている場所を見つけて座る。
ぼけーと時間を潰すには丁度良い暇つぶしだ。

「観念しろ、この大悪党め!
 その子から手を離せ!」

赤のきんきら衣装に身を包んだ若い男の人の声が会場にこだまする。
それをあざ笑うがごとく

「しゃーっしゃっしゃっしゃっ!
 観念するぅ?
 このボクがぁ?
 ハッ!
 無理しゃくね!
 それにこの子はボクのモノしゃくよ!」

美鶴は赤い全身タイツに蟹の頭を被っていた。
顔も赤くペンキで塗られ、顎が蟹と一体化している。
いったいどうやって被ったんだろうか。
っと、高笑い――というか馬鹿笑いをしながら美鶴は観客席に乱入して
適当に捕まえた幼女の尻などをチロチロと触りまくりはじめた。
すいませんここに犯罪者がいます。

「くそっ、人質とは汚いぞ!
 男なら正々堂々と勝負だ!!」

青のきんきらの衣装を着た男の人が美鶴に人差し指を突きつけた。

「な、なぁんしゃくかぁ!?
 僕とやるしゃくかぁ!?」

威嚇に出る美鶴。
てかこのセリフ前に聴いたことが有るような。
てかはやくやめさせろよ。
人質の女の子もう震えて泣いてるじゃないかよ。
あれ絶対別の恐怖以外の何者でもないだろ。
青に威嚇をしながら

「いいしゃくよぉ?
 全員まとめてかかってこいしゃく!!」

美鶴はしぇーとよくわからない憲法のポーズをとった。
お、なんかリアル。

「よし、みんな行くぞ!!
 フォーメーションΩ!!」

なんでそこだけ無駄にかっこいいんだよ。
レッドが後ろに控えるカイセンレンジャー全員に指示を出した。
どうでも良いがこのカイセンレンジャーの全員の名前だけでも紹介しておこうと思う。
赤き海鮮クラブレッド。
必殺の後ろ回し蹴りは半端じゃない。
青き怒りスカイブルー。
海鮮なのになぜか空だ。
綺麗なものにはとげがあるウニイエロー。
いじめられるに違いない名前である。
鋼の石で敵をも破るサンゴピンクコンブラック。
石と意志をかけているらしい。
サンゴは生き物だというのに。
まぁそれら全員がカニカニ星人(美鶴)に襲い掛った。
レッド、ブラック、ブルーがパンチやらキックやらを繰り出す。
それに被せるようにコンピューターで作った「バキッ」「ドガッ」効果音が流れる。
だが問題があった。
本人は喰らってるふりをしているのかもしれないが
残念ながら必死に避けてるようにしか見えないのだ。

「ねえ、あの怪人よけてるよね」

俺の座っている前の子供が隣の子供に話しかけた。

「えー喰らってないのかな?」

その声が聞えたのかどうかは分からない。
急激な異変が起きたのだ。
美鶴の演技が急激にリアルになったのだ。
本当に喰らってるように見えるのであ……る?
いや喰らってる喰らってる!
イエローとピンクの攻撃もろに喰らってるよ!
でかい効果音の音でリアルな子気味いい音は聞こえない。
だが俺にはわかる。
あのいかにも「こいつ打ち殺したる」と言わんばかりのフォーム。
ああ間違いない。
奴らだ。
シエラとメイナだ。
あいつら何のバイトかと思ったらこれだったのか。
ピンク(多分シエラ)の重いパンチが美鶴の腹に食い込む。
鈍い音。
イエロー(多分メイナ)の蹴りが美鶴の顎を蹴り上げる。
ぐぎょっ、と嫌な音。

「しゃぐぅっ!!
 じゃぐぅっ!!!
 や、やめてしゃぐぅっ!!
 おねがじゃぐうっ!!」

当然この顎の肉声も効果音のせいで聞こえない。
なんというかざまぁみろ。

「さ、さぁ、行くぞ!!
 俺達の最終奥義!!」

レッドも目の前の光景についていけてないじゃないか。
こんな暴力シーンあったか、とかどうか振り返ってるんだろう。
でも台本どおりに進むショー。

「うぅぅうううぅうううぅう……」

血まみれでもなお立ち上がりカイセンジャーを睨み付けるカニカニ星人。
よくやったよ美鶴。
お前はよくやった。
だからもう休め。
カイセンジャーは組み体操みたいな姿勢をとりレッドが叫ぶ。

「最終奥義受けてみよ!
 渋谷で海をみちゃっタイフーン!!」

だっさ。
全員分の体重をもろに受け止め、美鶴が仰向けになる。

「……………しゃ………あ……」

天を貫くようにして美鶴はステージ上に倒れた。
燃えていたよ。
美鶴は燃え尽きていた。 
真っ白にな。

「いや~見事な演技だった。
 もうお偉方も大満足さ!
 ほら、最後のポーズを……って美鶴くん……?
 おい、ショーはもう終わったよ~?」

店長が笑いながら人影の途絶えたステージに上がる。
最後の願いを聞いてもらえた人のように……。
美鶴はそこに寝転がり動かない。

「し、死んでる!」

口を抑え目を一杯に開く店長。
いや、しっかり生きてますから。
大丈夫ですから。
そのただならぬ様子にお偉方が立ち上がり野次を飛ばし始めた。

「こらー!!
 あれだけ悪役には怪我を負わせるなと……ん?
 イエロー役とピンク役はどこ行った!?」

お偉方が視線を巡らせるとそこには脱ぎ捨てられたピンクとイエローのコスチュームがあった。
あいつらすげえはやい逃亡だな、おい。
殴るだけ殴って給料奪って逃げやがったよ。

「救急車!救急車をよべ!蟹役の人血まみれだ!」

「脱がせろ!」

「だめです!抜けません!!」

とりあえず帰ろう。
なにやらぱっとしない何かを胸の奥に抱えながら
俺達は帰路に付いたのだった。






             つづくかも~


後日談

「お~っす美鶴~!
 あのペンダント買えたんだってな?
 よかったじゃないか!
 あれからどうだ?」

美鶴はクラスのとある男子にペンダントについて問いかけられていた。

「全然」  ガンッ!!(野球のボールが当たった音)

「大丈」  バリンッ!!(マンションから落下してきた植木鉢があたった音)

「夫」   カーンッ!!(小さめの看板が降ってあたった音)

「じゃぐよお?」ピクピク

いやぁ……。
全然大丈夫に見えないから不思議である。

「だ、大丈夫か?」

「大丈夫じゃ……」 ぷち。

「シエラ姉様、久しぶりですっ!」

今までにないぐらいの不幸の連続だ。
まさか最後は四十八万トンの戦艦で潰されるなんて。
どれだけの可能性を秘めた不幸なんだろうか。
まぁ美鶴だしいいやもう。
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~ Comment ~


才条 蓮さんへ

バイトっ!

僕してみたいですよ。
楽しそう・・・。

そして社会の厳しさを知るんです。
分かります。
#1491[2011/05/25 22:23]  ねみ  URL 

そう言えば、私は現代を生きる者としては珍しく通常のファミレスやレジのバイトをせずに生きてきた人間ですね。高校はバイトをしてなかったですし、大学生のころはシナリオライターのアルバイトをしていたので、通常のバイトを全くせずに世の中に出てしまったぜ・・・・・・・。
・・・という才条 蓮ですね。
#1482[2011/05/23 07:08]  才条 蓮  URL  [Edit]

ポールさんへ

うぉぉっぉおおれは浪人などせんぞぉっぉおっ!!

がんばるんじゃあああああっ
#1480[2011/05/22 21:08]  ねみ  URL 

わたしは高三のとき、勉強もせずに同好会活動と生徒会活動と読書と小説書きに夢中になっていたせいで浪人しました。

浪人生の一年は長いぞ~(^^;)
#1472[2011/05/20 21:59]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]














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