Twilight of midnight

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ささげもの

セズクさんの恐怖神

「…………」

「ほら、お兄ちゃん。
 猫さんですよっ!」

家でのんびりしているセズクのところに蒼が遊びに来た。
両手で一匹の三毛猫を持っている。
途中で拾ったらしい。

「う……ん」

セズクの額に一粒の水が浮かぶ。
とりあえず風呂に入れ、汚れを綺麗に落とされた猫は
きょろんっとした目でセズクを下から見上げた。

「にゃあ」

「ひっ……」

一歩思わず後ずさりしてしまったV型最終兵器モドキ。
もといセズク・KT・ナスカルークさん。
その様子に気がついた蒼は申し訳なさそうに
ゆっくりとセズクに話しかけた。

「お、お兄ちゃん?」

「……あ……」

「えーっと……。
 お兄ちゃん?
 大丈夫?」

二回、三回ほど呼びかけてからようやく蒼の言葉が聞き取れるぐらいに
意識というか正気を取り戻したセズク。

「な、なんだい蒼?」

顔の笑みはひきつっておいり、目は猫から離れない。
完璧に警戒態勢に入っている。
ギギギと鉄のこすれあうような不協和音も聞えてきそうだ。

「もしかして……猫苦手ですか?」

蒼がセズクに恐る恐る尋ねた。
ドキーン、とアニメならなりそうな効果音とともにセズクが固まった。

「な、何を言って言ってるるるんだだだいぃぃ♪?
 そ、そんなわけななな、ないに決まって――」

「にゃー」

「くぁwせdrftgyふじこlp@:!!!」

猫がセズクの小刻みに動く足にじゃれついたのだった。
すかさず体ごと後ろに引いたセズクだったが
猫を拭いて放置したタオルの上に着地してしまい
足を滑らせ思いっきりこけた。
頭を床にぶつけもんどりうつ。

「苦手なんですね……」

蒼は面白そうにその様子を眺めた。
助けてやろうぜ、蒼。

      ・
      ・
      ・

「で、なんで苦手なんですか?」

猫をなべの中に入れ、大人しくしているのを確認した後
蒼はセズクに話しかけた。
さっきこけた時に打った額を押さえながら
セズクはぼそぼそと話し始める。

「べ、別に苦手じゃ……ないんだよ?
 ちょっと小さい時にしたいたずらの逆襲を受けてね……。
 それがちょっと苦手なだけで別に怖いわけじゃ……ん?」

なべから猫が消えていた。
だがセズクは感づいていた。
自分の背中にある重みを。
おそらく後ろでくくった髪に猫はじゃれただけにすぎないだろうが
それだけでセズクは十分に半泣きになってしまった。

「あ、蒼……。
 お願い――取って――ください。
 お願い、本当にもう無理……っ!」

涙を目いっぱいにためながら懇願する。

「は、はい……」

思った以上に深刻なトラウマのようだ。
まるで地球が揺れているように家全体がセズクの震えで揺れている。
蒼が猫を引き剥がすとセズクはぐったりと机に突っ伏した。
この一時間で五歳ほど一気に老けたみたいだ。
恐ろしい顔になってる。

「蒼。 
 僕ちょっと寝てくる……。
 大体一時間したら起こして……☆」

ふらふらと立ち上がって自分の部屋に閉じこもってしまった。
その姿を後ろから眺めながら

「……くすっ。
 お兄ちゃんも少しは弱点があったんですね。
 完璧なお方かと思っていたんですが……」

蒼は猫の喉をなでながらつぶやいた。

「そうだ」

少し考えた後、何かを思いついたようだ。

「にゃ?」

蒼は猫を両手で持つとゆっくりゆっくりとセズクの部屋に近づいた。

『セズク Room.
 波音以外は立ち入り禁止♪』

と書かれた木のプレートがかかった扉の前にたどり着く。

「にゃー……」

猫はプレートを見て小さく鳴いた。
隙間が出来るぐらい小さく扉を開ける。
あの一時間でよほど体力を消耗したのかセズクはベットで熟睡していた。

「ぐっすりですね……」

蒼には考えがあった。
ここまで怖がるならいっそのこともう怖がらせまくって
一周してトラウマを無くしてしまおうと。
まずはセズクの頭に猫を置くところからはじめようと。

「にゃっ!」

「あっ!」

猫は蒼の腕から飛び降りるとセズクのベットに飛び乗った。
そしてセズクの顔の隣に座る。

「……私、ミスしましたよね?」

猫をどけようにもどかせず蒼は冷や汗をかいた。
猫は寝ているセズクの頬をその小さな舌でペロペロ舐め始めた。

「や、やばいんじゃ……」

触れただけであの驚きようだ。
まずはソフトな刺激から、と思っていた蒼にとって
コレは超まずい展開だった。
セズクが起きたとき隣にトラウマさんがいたらどうなるか分かったものではない。
この家は跡形も無く吹っ飛ぶ……。
いやそれだけですまないかもしれない。
この街全体が吹っ飛ぶかもしれないのだ。
蒼は自分のミスでこの街が消えようとするのを見過ごせなかった。
猫を捕まえようとそろりそろりと部屋に侵入して猫に手を伸ばす。

「ん……」

セズクがもぞりと動いた。

(こ、殺されますっ!)

身の危険を感じた蒼は部屋から即効飛び出した。
もう終わった。
シエラ姉様達ごめんなさい。
百回心の中であやまった。

      ・
      ・
      ・

(ね、猫……っ!)

セズクは自分の状況を理解できなかった。
なぜ自分が猫に顔を舐められている?
恐怖で体が動かない。

「にゃー」

(毛玉……あっちいけっ!)

そう思いまくった。
だが猫はセズクの顔を舐め終わるとお腹の上に飛び乗ったのだ。
そのまま気持ちよさそうに目をつぶる。
耳がぴくっと動く。
おそらく寝てしまったのだろう。

(……結構可愛いかもしれないなぁ………)

気がつくとセズクは猫の寝顔を眺めている自分に気がつくのだった。
体の震えも止まっている。
セズクはためらいながらもそっと猫を撫でてみた。
ふんわりと暖かい。

「……にゃ……」

「……♪」

(今動くと起こしちゃうかな……)

そう思ったセズクは自分ももう少し眠ることにしたのだった。
結論から言うと蒼の荒治療は効いたのだ。
蒼本人はネメシエルの中でがくがくぶるぶるといつ
下の街が吹っ飛ぶのかと覚悟していたようだが。





               了

☆おまけ☆

「ねぇ、蒼」

「?
 どうかしたんですか、シエラ姉様」

「なんでセズクあんなに変な表情をしているんだ?」

「あぁ、それはですね……」

セズクの両足に猫がくっついていた。
遊んで欲しいと催促しているのだろう。
それを剥がすことも出来ないセズクは少し困った表情で
足元のチビ助を眺めているのだった。





               完






どうだったでしょうか?
ミズマさん、お誕生日おめでとうございます。
こんなお話で満足していただけるとは思えませんが
どうか受け取ってやってはくれませんか?
このお話は完全にささげます。
煮るなり焼くなり好きにしてください。
お題のかわいいセズクさんは
ずっと前にミズマさんが僕に蒼さんの没話で
猫VS蒼という(あいまいな記憶)のがありましたよね?
そこからいただきました。

(またミズマさんの書く蒼さんが読みたいです)

ではこの辺で。
ありがとうございました。
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歌さんへ

蒼さんはやっぱり助けませんでした。
かわいいといっていただけありがたいです。
またこんな話書いてみたいと思います。
#1410[2011/04/20 18:54]  ねみ  URL 

ポールさんへ

それは某猫型ロボットじゃないですかw
#1409[2011/04/20 18:53]  ねみ  URL 

ミズマ姉さんへ

子猫もってきてしまいました。
どうでしょうか。
かわいかったでしょ、子猫。

そして多分三匹ではなく三毛猫かと。
お間違いですよ、姉さん。

セズクさん何やったんでしょうねw
ホント。
あのお方ああみえて結構大胆ですからね。

蒼さんの安定感といったら・・・。
まぁ僕が一番愛しているキャラだからかもしれませんがw
#1408[2011/04/20 18:52]  ねみ  URL 

千鶴さんへ

ドSかもしれませんw
でもまぁ多分思いやりがあって
やっていることなので・・・。

多分素ですね。
#1407[2011/04/20 18:51]  ねみ  URL 

セズクさんの台詞がバグってる―――っ!
とド肝抜かれました。面白かったです!
蒼ちゃんはやっぱり助けないんですね★ww
ものすっごく可愛かったです~vv 
#1403[2011/04/16 23:38]  歌  URL 

セズクが猫を怖がるのは、

昼寝中に耳をかじられたからです(←違う!)
#1402[2011/04/16 19:41]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]

「かわいい」で「子猫」をもってくるなんて卑怯だーッ!もっとや(ry

く、くそーッ!子猫(しかも三匹も、だとぉ!)を鍋に入れるとか、なにをしてくれるんだッ!もふもふでもこもこでにゃーにゃー鳴いて……かわいいじゃないかッ!щ(゜▽゜щ)
あざとい、あざといよ、ねみさーんッ!

ぜーはー…、子猫ってかわいいですよね。かわいいお話、ありがとうございまっす!


そしてセズクさん…あんた、過去になにやったんだwww
脳裏を「真夜中にギラリと光るいくつもの猫の緑色の目」というホラー映画じみた光景がよぎったんですけど……。
なにやらかをたんだか、ほんとにwww

最後に猫にじゃれつかれて困った様子のセズクさん、実にかわいい(*^^*)

セズクさんがお昼寝してたら子猫がじゃれてきたから、胸の上に抱き上げて遊んであげる、とか脳裏によぎりました。……絵になるわぁ。セズクさんかっこいい……惚れそう( 〃▽〃)←

蒼ちゃんの愛らしさには最早安定感がありますね!
蒼ちゃんとセズクというコンビがとっても好きです。セズクさんが思った以上にお兄さんですよねー。ってか、蒼ちゃんは全方位から愛されてるなぁ。


かんわいいお話をありがとうございまっす♪ヽ(´▽`)/
ありがたくいただいていきますねん(*^^*)

……あれ、なんか蒼ちゃんの話をリクエストされている気がする(笑)
#1401[2011/04/16 12:37]  ミズマ。  URL 

可愛い♪

こんにちは♪

猫に怯えるセズクさんが超可愛かったです!
彼のトラウマ解消のために荒療治を思いつく蒼さんって、もしかしてドS少女?(笑)

またぜひ素敵なセズクさんを描いてくださいね♪
楽しみにしておりま~す☆
#1399[2011/04/16 11:35]  三宅千鶴  URL 














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