Twilight of midnight

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
もくじ   3kaku_s_L.png   スポンサー広告
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村FC2 Blog Ranking
  ↑記事冒頭へ  
←しゃくでば! 気持ちのいいお目覚めをあなたに    →寒いですね
*Edit TB(-) | CO(-) 

怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第六二話

『いよー声の通りマックス様だ。
 もうちょっとで到着すんかんなぁ!
 歯ぁ食いしばってケツに力入れときな!』

あのトラックいじりから約二時間。
暇を持て余し過ぎている俺にとってそれは朗報である。


「んー、やっとか!」

カチコチに固まりきった体の節々を回してほぐす。
首を捻った時のあのバキッという音がたまらない。

「シエラ、起きなよ。
 もう着くってさ」

メイナが窓辺でぐっすり眠り込んでいるシエラの頭を小突く。

「ん……分かった……」

「ほら、起きて」

「ん…………」

こういう所を見ていると何処にでもいる普通の姉妹にしか見えないのになぁ。
あのしなやかな体自体が、文字通り『兵器』となるのだから昔の人は考えたものだ。
俺が昔の人だとしたら絶対にもっと兵器っぽい最終兵器を提案したに違いない。
これはりっぱな詐欺である。

「んー、腰痛い!
 姉さん、起きた、起きたからもう叩かないで!」

ペシペシと頭を叩かれながら目をこすり大きく伸びをする彼女。
メイナはシエラに眼帯――といってもパンソロジーレーダーを立体図にしてくれる眼帯を渡し
そのまま腰をとんとんした。

「私も腰に来たねぇ、こりゃ。
 んー……あいたたた……」

腰を抑えてよろけるメイナからセズクさんに目を移す。
問題はこのお方だ。
さっきこのお方はさっき(といっても一時間前)に

「んー波音っー♪」

と言いながら椅子からずり落ちた。
そのままの状態で床の上をゴロゴロゴロ。
激しい寝相とともにあいつの頭の中で俺は一体どうなっているのか。
それが今のさりげない疑問であったりする。
一時間前に比べ動きは多少なり収まったものの――。

「波音ーっ♪
 んーZzz……」

変わりに寝言が激しくなった。
寝言ということはつまりあいつの夢の中での俺を本人が実況しているということだ。
何度か起こしてその夢を壊してやろうと思ったのだが
それも、まぁびっくりするほど幸せそうに寝ているので放棄。
俺にあいつを止めることは出来ないようだ。
夢の中でぐらい別にかまわんかな、嫌だけど。
起きたら起きたでやかましい男だからな。
仁は窓についている机の上に突っ伏して窓の外の景色を眺めている。
……と思ったら寝ている。
こいつはこいつで寝起きが悪いからなぁ。
何度か起こしたことがあるんだが例外なく一時間ぐらいご機嫌斜めが続く。
朝にめっぽう弱い男だからな、もう九時だけど。

「おい、仁起きろ」

「…………」

「おい――ん?
 し、死んでる……」

「……死んでねーよ」

「おはよう、もう着くってさ。
 シートベルトつけないとあぶねーべ?」

「……ん……分かったって」

ご機嫌斜め一歩手前って所か。
完全体ご機嫌斜めになる前にそそくさと仁のそばから離れた。

『おい、てめーらシートベルト締めとけよ。
 あと十分ちょいで着陸だぜ?』

「はぁ……最後の問題はさっきも言ったとおりこいつか……」

床にでーんと寝っ転がっている。
先ほども説明したとおり現在セズクさんはとてつもなくひどい状態にある。
ぶんなぐって起きるか、蹴られて起きるか、水掛けられて起きるかどれがいいだろうか。
流石に上記三つの起こし方は極端か。
別のやさしい起こし方を考えることにする。

「えへへ……、は……むにゅ……。
 かわいいよぉ……ふへへへへ…………」

耳元と首本に同時に息を吹きかけられたような悪寒が全身を駆け巡った。
一気に俺の周りの気温が下がった気がする。
鳥肌が体中に隆起した。
よし、殴る。
決定事項だ。
絶対に殴って起こす。

「せーのっ……おらっ!」

声に出して気合を入れた。
そして一気にセズクの腹めがけて拳を振り下ろす。
命中率百パーセントの角度でうなる拳が……止められた。
そして視界が一回転したかと思うと背中から床に叩きつけられたのだ。
シエラやメイナじゃない、セズクに。
拳が当たる直前で目を覚ましたセズクは、俺の拳を止めると同時に大きく捻りやがった。
痛みで怯んだ瞬間にセズクが起き上がり一本背負い。
鈍い痛みが腰からゆっくりと這い上がってくる。

「ご、ごめんよ波音!
 ついうっかりしちゃって……」

あわてて俺に手を差し伸べる。

「あと少し下手したら首の骨折る所だった。
 危なかった……」

「俺もう少しで死んだかもしれなかったってことかよ。
 いてて……あいてー……。
 それよりもう少しで着陸だから席に座ってシートベルト締めろってさ」

セズクの力を借りて立ち上がり体についたほこりを払う。
そのままセズクに軽くチョップして自分の席に向かった。

『全員準備はOK?
 よくなかったら席についてるボタン押しな!
 ………全員OKなんだな?
 よし、行くぞ、着陸だぁ!』

眼下に広がるのは森の緑一色。
もしかしてあの草原っぽい場所なのか?
あそこか、あそこなのか?
ちょっと無理があるんじゃ……うっ。
すごいGが体を直撃した。
機体が一気に前のめりになり、他から見たら墜落するように見えるであろう程の
急角度で高度が下がったと思う。
なにやらよく分からん勢いのまま森のあの小さな草原にC18の巨体が滑り込んだ。
木々をなぎ倒し沢山の鳥が家を失い鳴き狂っている。
環境破壊でいいのか、ジャンルは。
それよりも

『着陸成功、上出来だな俺様。
 ここで待ってるからさっさと行って来な』

なんであんたは無事なんだ。
あんな無茶苦茶な操縦してどこもぶつけなかったのか?

「………………」

「…………いてぇ……」

俺含め皆どこかしらぶつけたようだ。
シエラは額を押さえて無言だし、メイナは鼻でも打ったのか涙目になっている。
ちなみに俺は腰にダメージを負った。
そのまま全員しばらく待機。
約五分が経過した。

「よ、よし行くぞ」

やっと痛みが去ったのを確認して気合を入れて作戦開始。
もう一度鏡で自分の顔が完璧に三十代のおっさんに見えることを確認する。
シエラ達三人を荷台に押し込み、俺と仁は運転席と助手席に乗り込んだ。

『マックス、開けてくれ』

無線で格納扉の開放を促す。

『了解、気をつけて行って来いよ』

『……意外とやさしい所あるんだな。
 むちゃくちゃな操縦ばっかりするから殺す気なのかと思ったぜ』

「な?」

半ば呆れ顔の仁に笑う。

「違いない」

マニュアルをつまらなそうにめくりながら仁が返してきた。
格納扉が徐々に開き格納庫が明るくなっていく。

『連合郡のレーダー網を抜けるためには仕方のねぇことだったのさ。
 んなこたぁいいからはよ行け。
 俺は今から百八十度この期待を反転させなきゃならねぇんだ。
 おしゃべりしてる暇はねぇ』

「ステルスは……?」

『んなもん、レーダー波が強すぎて意味ねェよ。
 大河の中に投げ込まれた小石みたいなもんだ』

よく分からない例えに戸惑う。

「そ、そうか……」

とりあえずそう返しておいて気持ちを落ち着けるために息を吐き出した
エンジンキーを回し、ギアをDに入れる。
アクセルを軽く踏んでゆっくりと格納庫から這い出した。

「さ、行くぜ」

エンジンの回転数が順調に上がって行きあったまった所で強くアクセルを踏んだ。
土を巻き上げ木の間をすり抜け走る。
小道に入ったところでさらにスピードを上げた。
4WDのおかげで土道の森の中だというのにスムーズなドライブだ。
さっきまでサンドイッチを食べたばかりだというのにまた腹減ってきた。
時速約五十キロで森を抜ける。
小さな村を通り抜け、街に入る。
街を抜けまた小さな村の中へ。
約二時間ほどかけて予定地点の到達した。
後三十分ほどでここを連合郡物質湯相対の車列が通るはず。
護衛は自国領と安心しているのか皆無。

「今回は楽そうだな」

さっきまで青い顔をして吐きそうになっていたというのに
けろっとしてサンドイッチを頬張る仁に小さくビンタしてから

「そうだと良いんだけどなぁ」

サイドミラー越しにのんびりとした村をながめ俺はラジオのスイッチを入れた。





               This story continues.
関連記事
もくじ   3kaku_s_L.png   怪盗な季節☆ (長編)
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村FC2 Blog Ranking
  ↑記事冒頭へ  
←しゃくでば! 気持ちのいいお目覚めをあなたに    →寒いですね
*Edit TB(0) | CO(2)

~ Comment ~


セズクさん♪

こんにちは~♪

プチご無沙汰してしまってごめんなさい!
今回は第61話と62話を続けて読ませていただきました。

退屈して車をいじる波音くんが可愛い~♪そうか。ドリルは男の浪漫なんですね?(笑)
その一方で、無邪気に(?)爆睡を貪るセズクさんはいったいどんなあられもない(笑)夢を見ているんでしょうね~??

さて、ようやく現地に到着した波音くんご一行を何が迎えてくれるのか、続きを楽しみにお待ちしておりま~す☆
#1246[2011/01/17 17:13]  三宅千鶴  URL 

頑丈な飛行機……。

「ステルス」とかの技術はないんですか?
#1245[2011/01/16 19:28]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←しゃくでば! 気持ちのいいお目覚めをあなたに    →寒いですね

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。