Twilight of midnight

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
もくじ   3kaku_s_L.png   スポンサー広告
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村FC2 Blog Ranking
  ↑記事冒頭へ  
←ありがとうございました。    →いきなり
*Edit TB(-) | CO(-) 

怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第六十話

「強いて言うなら嫌な夢を見たことぐらいですかね」

俺は力なくラフファクシに笑いかけた。


「悪い夢……?
 ん、おかしいな。
 たしか良い夢を見るように設定しておいたんだが」

俺はカプセルから這い出して渡された服を着た。
のりが効いてて服がするりと肌になじむ。

「まあ、別にいいか。
 どうだ、体の方の調子は」

ためしにジャンプしてみる。
軽い、体が軽い。
中身が入っていると思って持ち上げたけど実は中身が入っていなかったやかんぐらいの持ち上がり方だ。
つまり尋常じゃない。
動かなかった右腕も銃創がきれいに消え痺れもなかった。

「最高です」

「そうか、そりゃよかった。
 じゃあ治療は終わりだ、出て行け。
 セズクも来たことだしな」

手をひらひらさせて「あっち行け」という顔をする。
愛想がない人だなぁと脳で呟き一礼して部屋を出た。

「やぁ、おはようハニー♪」

あぁこいつが女だったらいんだがなぁ。
男だもんなぁ……。
別に異性だから何ってわけじゃないんだが。

「なぁ、セズクさん」

でも前々から気になっていた事がある。
それは

「最終兵器モドキも最終兵器も体を変えることが出来るだろ?
 性転換も出来るのか?」

気になるだろ?
確かにどうなんだろうってならないか?
セズクさんは俺をふと怪訝な目で見て

「……で、出来るけど波音。
 僕は女にはならないよ、不便だし」

出来るのかやっほーい。
ん、失礼した。

「別に良い。
 聞きたかっただけ」

セズクが女だっら付きまとわれるのは悪い気分じゃないんだがな……。

「でも、僕が女になって波音と一緒にいても良いんだよ?
 ぶっちゃけそうしようか?」

女になられても男のセズクしかイメージがないから駄目だな。
それにこれ以上女に絡まれちゃかなわん。

「後ろ髪惹かれるけど、却下」

やはりこの一言で却下させていただいた。

「惹かれるんだ……。
 ま、まぁ却下だよね。
 さて、準備は出来ているんだ。
 ちゃっちゃと終わらせようよ♪」

しゃかしゃかと飛行場へと歩いていくのをあわてて追いかける。
朝日が昇りつつある飛行場は、長く濃く戦闘機達の影が伸びていた。
その中でも格段に大きい輸送機の中の一つの隣に四人の影がある。

「波音ー久しぶりだなっ!」

だなっ!
なんだ、そのテンションの高さは。
シエラが大きな声で俺に呼びかけ手を振ってきた。
あーやれやれ、動くようになった右腕で手を振り返す。

「はいはい、シエラ久しぶりだな。
 元気だったか?
 背、伸びたか?」

「元気だった!
 背は伸びてない!」

なんとなくで頭を撫でてやった。
シエラは目をつぶって気持ちよさそうにそれを甘受する。

「おはよーだな、俺は眠いけどな」

仁は腕につけたウェアラブルコンピューターの画面をチラッと見て大あくび。
時計を見たのだろう。
今はおそらく午前六時ちょっと。
速すぎず遅すぎずの時間帯だと思うんだがな。
起こしてやるか……そう考えた俺は実行に移すことにした。
仁の寝癖の突いた頭を掴み――揺さぶる。

「うぇ、おふ、バカ、やめ」

「起きた?」

「起きた起きた、おはよう」

ん、おはようさん。

「んー私も眠いけどねぇ……。
 それはやらないで欲しいかな?」

今度はメイナの頭を揺さぶってやろうと思ったのだが釘を刺されてしまった。
つまらん。

「おはようございます。
 よく寝れたようですね」

飛行機の胴体にもたれ掛かりながらシンファクシ元帥が口を開いた。

「おかげさまで」

皮肉のように聞えるが決して皮肉ではない。
心からのお礼だ。

「さて朝礼でもしますか」

「りょーかいです」

俺達五人がシンファクシの方を向いたのをうなずきながら確認。
咳払いをして

「さて、これより特別作戦N?20を発動する。
 レルバル、シエラ、メイナ、セズク、仁の五名は敵地へ侵入。
 すみやかに敵設備を手に入れ持ち帰るように。
 持ち帰りが不可能なら破壊を頼む」

元帥という階級にふさわしいと思える朝礼を始めた。
凛とした声がちらほら人影が見え始めた飛行場に響く。

「我々帝国郡は連合郡の……はぁ。
 ……こんな堅苦しいのやってられません。
 ま、ほどほどに死なない程度にがんばってきてください」

敬礼された。
最後の方を適当に流したのをごまかすかの様に笑いながらの敬礼だ。

「では、行って参ります」

現役兵士にも恥じないような答礼を返す。
この答礼に仁のヤツがボケをかましてきた。

「うむ。
 お国のために花と散って来い」

どこの帝国だ。
でもそのボケに乗るのが俺の良いところだとそう思っている。

「お母さん、嗚呼お母さん……。
 一度で良いから……」

どこからか桜の花びらが散ったような気がした。
レシプロ機のエンジン音も聞えてくる。

「波音、仁うるさい」

俺の頬をシエラの足が掠めた。

「あぶっねっぇ!」

「ちっ、外したか」

シエラの厳しいツッコミを受けながらも答礼を返しきった俺は英雄だ。
でも横蹴りはどうかと思うぞ、シエラさんや。
よろよろと朝礼の終わった瞬間輸送機の座席めがけて歩いた。
一発食らった腰を抑えながら俺は壁のような輸送機をしかめた面で下から見上げる。

『C18――ストラトシップ』

全長三十三メートル、全幅三十四メートル、全高十五メートルちょっと。
08式ジェットエンジン二発と結構小型に関らず、最大搭載量十二トンと大きい。
緩やかな曲線はステルス性を考慮したものだろう。
レーダーには虫よりも大きく、鳥よりも小さく写るらしい。
最大十二トンまでなら輸送可能な輸送機に連合郡のマークが書かれたトラック一台と
『野菜健康生活』と書かれた百個ほどのダンボールが詰め込まれていく。
ちなみにこのトラックは帝国郡の魔改造が施されている。
昔乗ったあのジープ以上にすごいらしい。
危なかったら使うけど、多分……

「私眠いわー。
 シエラ、少ししたら起こしてくれない?」

「僕も寝たいんだけど。
 姉さん僕も、眠いんだ」

「まぁまぁ……ZZzz……」

「ちょ、姉さん!
 寝るのはやいよ!!」

大丈夫だろう、うん。
このトラックで本物に成り代わり中に入るというなんともシンプルな作戦である。
いざというときのためにダンボールもある。
この中に入ればすべてから隠れることが出来るというなんとも最高なものだ。
どうやって装置を持ち出すのは……。
――――がんばろう。
何とかしてトラックに載せることが出来たらこっちの勝ちだからな。

「はいこれ」

仁が俺にマジックを渡してきた。

「サンキュ、よし……。
 ヒゲいるか?」

「いらん、いらん。
 大丈夫だろ、それで」

ちなみにこのトラックを運転するのは俺、補助席に仁が座る。
仁に渡された鏡を見ながら顔に線を書き込んでいく。
渡された帽子を被り、連合郡の輸送部隊の服を着る。
顔にはしわを入れて三十代ぐらいの若いおっちゃんを演出することとした。
よし、いける。
自然と顔がにやけてしまった。

「変な顔」

「じゃかしぃゃぁ!」

あいからわずさらっと言いやがって、シエラの野朗。
ちなみにC18はSTOL性(短距離で離陸できますよー能力)にもこだわった機体で
三百メートルもあれば離陸できるという。
帰るときは森林を切り開いたでこぼこの滑走路から飛び立つことになるらしい。
そこは俺達の仕事じゃないからよく分からないが……。
すべてが完璧だ。
想定された電子ロックは仁が外すし、敵の排除……といっても眠らせるだけだぞ?
それはシエラ達に頼む。
俺は出来る限りのことをする。
病み上がりの体だし。
厳重な扉を開かせ仲間でこいつらを運ぶ。
出来れば車の中で待っていたいのだがまぁまず無理な相談だろう。
がんばるしかないということだ。
今回はほとんどを気合で乗り切ることとなるが……それもがんばればいいんだ!

「大事なのは結果じゃない。
 それをしようと思った意志、力。
 それによって得ることが出来たものなんだ!」

小さく声に出して自分に言い聞かせる。
それをシエラが聞いていたみたいで笑いながら反論してきた。

「でも、設備もって帰れなかったら失敗だよね」

「シエラ、そう考えるから駄目なんだぜ。
 俺みたいにもっとポジティブにだな……?」

「……波音、寝起きでテンションが高いのは分かる。
 でも今は静かにしておいたほうがいいんじゃないか?
 離陸する直前って言ったら機長さんが一番気を使う瞬間だろ」

セズクにため息交じりで言われたことによりはっとした。
こいつに言われたくはなかったが……確かにそうだ。
不謹慎だった。

『こちら機長のマックス様だ!ハハッ!!』

盛大に吹いた。
スピーカーからまさかそんなアナウンスが流れてくるとは……。
やるな、マックス。
気を使うはずの機長がこんなヤツだったとは。

『シートベルトの使い方はいちいち言わんでも分かるだろう?
 離陸するぜ、しっかり掴まってなぁ!!』

機内の格納庫の端に設けられた硬い椅子の上に座りシートベルトをつける。
ゆっくりと格納庫扉がモーター音とともに閉まって行く。
だんだん暗くなっていく機内を窓からの朝日が照らしていた。
シートベルトを握り締め窓から外を覗く。
シンファクシが心配そうな顔をしてじっとこちらを見ていた。
エンジンから出る風圧に髪や服をはためかせながらもその姿勢が崩れることはない。
その顔に期待と不安が浮かんでいるように見えたのは気のせいだろうか。
ゆっくりと機体が動き始めるとシンファクシは窓枠に隠れ見えなくなってしまった。
もう一度確かめようと窓に顔を押し付けたが既に人差し指ほどの大きさになっていて見ることが出来ない。
あの心配そうな顔はいったい誰に向けたものだったのだろうか。

『飛ばすぜぇ!!』

文字通り飛びますがな。
ジェットエンジンの唸りが次第に高まっていく。

『Go!』

何で機長さんもそんなにテンション高いんですか。
やっぱり朝だからですか?
そう突っ込みたい。
でも強烈なGにより妨げられ、口から出たのは「うぐっ」といううめき声のみ。
朝食食べなくて本当によかった。
窓の外の景色の流れが次第に速くなっていく。

『ケツの穴閉めて踏ん張りなぁ!!
 行くぜ、おらっ!!』

ふわっ……とこう……。
うわっ……みたいな?
大事なところがこう……な?
そんな感じが……。
男の人なら分かると思う。
女の人はごめんなさい。
って何言ってるんだ、おちつくんだ!
セクハラかって。
それよりも……。

『このG!
 このGだぁ!!
 最高だぁ、ヒャッハァー!!!』

トラック積んでるのになんて無茶な動きをするんだろうか、この機長さんは。
目標地点にまで落ちないかが心配です。





               This story continues.
関連記事
もくじ   3kaku_s_L.png   怪盗な季節☆ (長編)
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村FC2 Blog Ranking
  ↑記事冒頭へ  
←ありがとうございました。    →いきなり
*Edit TB(0) | CO(4)

~ Comment ~


ポールさんへ

オレも書いておいて・・・
そう思ってます。
うわ・・・意外と美人になりそうだから怖いw
#1227[2011/01/10 20:13]  ねみ  URL 

千鶴さんへ

あけましておめでとうございます。
今年もどうかよろしくお願いします。

そうなんですよ、女モードなんですよ。
シンファクシは誰に向けた心配な顔なのか。
楽しみにしていてくださいね!
#1226[2011/01/10 20:12]  ねみ  URL 

謹賀新年♪

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

というところで、さっそく第六十話を読ませていただきました。

性転換したセズク・・・見たいような見たくないような複雑な心境(笑)
でも波音くんとずっと一緒にいられるなら、それもアリなんじゃないでしょうかねぇ。

いよいよ出発。で、新しい展開が期待できますね。
シンファクシの心配そうな顔が誰に向けられたものだったのかも気になりますし、この続きを大いに期待しております♪

今年もがんばって書いてくださいね~☆
#1218[2011/01/04 16:48]  三宅千鶴  URL 

セズクの女モード……?

あまり想像したくないなあ。けっこう美人になりそうだからよけい想像したくない。

というか、セズク、実はやおい同人誌好き(ベルカ帝国にやおい同人誌があるかは別として)のいわゆる「腐女子」というやつで、自分の妄想を具体化するためにわざと男の格好をしている説……。

自分で書いていて自分でイヤになった(笑)。

10008ヒット記念ショートショート書きました。「ささげもの」からお探しください。
#1217[2011/01/02 12:47]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←ありがとうございました。    →いきなり

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。