Twilight of midnight

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いただきもの

ああネメシエルに栄光あれ

 空月・N・蒼は今日も一人空中戦艦《ネメシエル》艦橋で目を閉じ、レリエルシステムからの報告を聞いていた。

 全周監視レーダー、異常なし……。光波検出レベル、異常なし……。

 このところ連合郡の動きは静かだ、こう静かだと、あくびが……。

 ぷぅ?ん……。

 蒼の耳がその音をとらえたのはそのときだった。

 なんだ、この音は?

 羽音であった。おそらくは、蚊であろう。蒼が《ネメシエル》に乗り込むときに、紛れて入ってきてしまったに違いない。

 蚊か……。

 蒼はため息をついた。手を伸ばし、ぱちんと……。

 つぶせなかった。

 蚊は、蒼の手をふわりと逃れ、相変わらず、ぷぅ?ん……と羽音を立てながら艦橋内を飛んでいた。

 気になる。すごく気になる。めちゃくちゃ気になる。

 蒼は、シートベルトを外して立ち上がると、今度こそそのやっかいな蚊を叩き潰そうとした。

 ぱちん。

 ふわり。

 ぷぅ?ん……。

 ちくっ。

 おのれ……。蒼は、刺された左手の甲を癒そうとでもするかのように舌でなめると、殺意をはらんだまなざしで飛んでいる蚊を追った。

『艦長、レーダーに反応! 高熱源体、多数接近! 敵ミサイルと思われます!』

 頭に突き刺さってくる『思考』に、蒼ははっと我に返った。

「迎撃モード! すぐに、わたしに処理をまわし……」

 レリエルシステムの処理は一瞬である。それは、『思考』を直接コンピュータとの間でやりとりすることにより、常識を遥かに超える反応速度を保証するはず……だったのだが……。

 ぷぅ?ん……。

『艦長……?』

 左手甲がかゆい。蒼が目を向けると、そこにはぷっくりと膨らんだ、虫さされの跡がくっきりと残っていた。

 おのれ、蚊め……。

『艦長!』

 蒼は我に返った。

 そのときには遅かった。連合郡の誇る、高速戦術核ミサイルが次々と《ネメシエル》の周囲で爆発していった。

 対衝撃シールドと、対放射線シールド、それに《ネメシエル》自体の分厚い装甲のおかげで、見た目ほどのダメージはないが、艦は大きくゆすぶられ、蒼は艦長席から放り出された。

『艦長、なにをしているんですか! シートベルトは常時着用です!』

 そんな問題ではないのだが。

 ぷぅ?ん……。

「《ネメシエル》」

 蒼は冷酷に思考で命令した。

「艦橋内に蚊が飛んでいます。レーザーか何かで撃ち落としなさい」

『無理です、艦長』

「え?」

『艦橋内はレリエルシステムの精密機器の中心部です。そこでレーザーを使うことは、システムに多大な障害を及ぼす恐れがあります。そのため、艦橋内ではいかなる火器も使用不能です』

「…………!」

 そうだ。たしかにそんなことを、搭乗前のブリーフィングで聞いた覚えが……。

『艦長、敵航空機隊接近。多数の護衛戦闘機と攻撃機と思われます』

 それを聞いて、蒼は、屈辱に顔を歪ませながら、この艦に乗り込んで初めてとなる命令を下した。

「《ネメシエル》、敵機の迎撃はお前に任せます」

 《ネメシエル》の戦術コンピュータに、慌てるというプログラムが組み込まれていたとしても、それはここでは片鱗も見えなかった。

『不可能です、艦長』

「え?」

『艦長の反応速度でないと、敵機の速度に対処できません。艦長、お願いします』

 そんなこといわれても。左手がかゆくてかゆくて。

 ぷぅぅ?ん……。

 ちくっ。

「×▽○?★!」

『どうかしましたか、艦長?』

 鼻の頭を刺されたなどと、たとえコンピュータにだろうといえるものか。

 こんなとき、頼れる副官がいれば……。と思ったものの、レリエルシステムに副官が同乗する余地はない。もしかしたら、レリエルシステムというのはものすごい欠陥品なのではないかと疑ってしまう蒼であった。

『敵機接近中。対レーザー粒子を膜のように張り巡らせています。近接戦闘でなければ艦のレーザーは効きません。対処お願いします、艦長』

「対空システム同調!」

 やけくそで蒼は叫んだ。すぐに、迫り来る敵航空隊のデータが脳裏に突き刺さってくる。これをひとつひとつ精確な射撃で撃破していくのは、蒼にとってはたやすい仕事だ。……普通は。

 ぷぅぅぅぅ?ん……。

 気になる。左手がかゆい。鼻の頭がかゆい。かきたい。かきむしりたい。

『通常時に対して反応速度比65パーセント……どうかされましたか、艦長?』

「蚊よっ、蚊が飛んでいるのよっ! かゆいのよっ! なんとかして! いつもどうやって艦橋の掃除してるのよ!」

『通常は重神経ガスを流して完全滅菌した後で、真空ポンプで艦橋内の空気を抜いてから、フィルターで濾過した空気を入れておりますが』

「それじゃあたしも死んじゃうじゃないっ!」

『敵攻撃機と思われる一群、高熱源体を分離しました。ミサイルの発射と思われます』

「∧∨∠⊥∂∇≡∽!!!!!」

 それから空戦は二時間続いたが、その間の記憶は蒼にはほとんどない。猛烈なかゆみを除いては。



 …………………… 



 なんとか連合郡部隊を撃破した蒼は、息も絶え絶えで艦を降りた。

 艦の損害は甚大なものであった。主砲損傷一基、高角砲群損傷多数。上部構造物も多数が被弾、損傷を受け、無敵戦艦《ネメシエル》にしてはあってはならぬ、「小破」ともいっていい状態であった。

 それだけにはとどまらなかった。艦内に紛れ込んだ、蚊と思われる虫により、身体のあちこちを食われた蒼は、着水後ただちに、抗ヒスタミン剤の軟膏を求めて艦を降りたのである。《ネメシエル》内の医薬品ストックには、不要と思われて入っていなかったのはさすがに盲点であったといえよう。

 こんな事態を巻き起こした蚊は、蒼の退艦後、ただちに重神経ガスで殺され、排出された。

 かくして事態は収拾したかに思われた。

 だが誰ぞ知ろう、三ヵ月後、突如として蒼を襲った強敵、「水虫」により、《ネメシエル》は今以上の危機を迎えることになるのである!

 その戦いはあまりに悲惨すぎ、筆者としては語る筆を持たない。

 ああ《ネメシエル》に栄光あれ。


※ ※ ※ ※ ※


えーと、この小説は、

11月15日のわたしのブログ記事「人間なんかじゃない」のコメント欄において、


『生まれながらのネメシエルの核として
 たった一人の乗組員としてすごしている蒼さんの
 ひそかな戦い』

でお願いします(オイwww


などとうっかり書いてしまったネミエルさんのために書いたものです。お待ちかねのショートショートじゃ! よかったらコピペなり何なりしてお持ち帰りください(^^)

ちょっとおふざけが過ぎたところもありますが(笑)。

ちなみに、元ネタは新谷かおる先生の「ファントム無頼」で、虫歯を治さずに出撃したパイロットがとんでもない目(歯の詰め物が取れてしまい、空気の薄い高空では気圧により歯の傷口からポンプのように大出血して操縦どころか生死の境をさまよう破目に)に遭うエピソードと、ビデオ「S.F.3.D.」(こちらは書かない)から取りました。





ありがとうございました。
いやはや蒼。
お前結構ドジでアホなんだなーHAHAHA!
笑っちまったよ。
次からはムヒもって行こうな!
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