Twilight of midnight

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蒼さんのお話 (短編)

蒼さんのお話

用語解説

・レリエルシステム
PCと人間の脳とで直接やり取りすることにより
格段に速いスピードで対応が出来るようにしたもの。

・ナクナニア光
ベルカ世界連邦帝国独自の技術。
光そのものに莫大なエネルギーを持たせるもの。

・バルバス・バウ
でっぱり。
これ

・イージス
軌道湾曲装置。
弾やレーザーの軌道を曲げ攻撃が当たらないようにしたもの。
いわゆるバリアの一種。





『ナクナニア光反動炉の圧力純増よし』

『主砲及び上甲板副砲艦内に収納を確認』

『主機ナクナニア光波集結炉始動』

レリエルシステムによる《ネメシエル》の思考が飽き飽きした頭に嫌でも入ってくる。
今日もまた一つ都市を焼き払うのだ。
抵抗もしない今も人が住み、生活を営んでいるであろう場所。

『蒼副長脳波が乱れてるぞ、集中しろ』

柄になく難しい事を考えていたせいか久しぶりに《ネメシエル》の艦長である
ナクナニアニューロ光AIから注意が飛んできた。

「はっ、申し訳ありません…」

しばらくの沈黙が艦橋を支配した。
主機の圧力が徐々に高まっていく音を危機ながらため息をひとつ。

『悩み事か?』

「いえ……」

『声にいつもの張りがないな。今日の戦闘は行けそうか?』

「任務ですので…頑張ります」

女の声で話しかけてくる《ネメシエル》が今はうっとおしくて仕方がなかった。
カプセルから産まれこの戦艦にすぐに乗せられたこの身にとっては母のような存在であるにも関わらず…だ。
データベースに入っていた反抗期とやらだろうか。
蒼は人間で言う十四歳程度の肉体で作り出された

『第十二世代超大型艦専用中枢コントロールCPU』

とかいう長ったらしい『部品』である。
その『部品』が反抗期だなんて……。
笑っちゃいますね。
心の中で自分で自分を冷笑した。

『私は心配だ。
 蒼副長、本当に大丈夫なのか?』

いらっとした。
しつこいんですよ、たかがAIに人の心が…。

『わかる。
 私とあなたはレリエルシステムで繋がっているからな』

あぁ機械は所詮は機械って事だ。
私はそういうことが言いたいんじゃないんです。

『進路Lの八四二。
 高度一二八〇〇メートル。
 巡航速度のマッハ一を保て』

「……了解」

再び目を閉じて頭に浮かぶ《ネメシエル》からの指令を忠実に守る。
主翼のナクナニア超光放出線に補助機のパワーを回し
約時速二百キロに達したところで《ネメシエル》は離水した。
二千五百万トンという巨体が空気を押し広げ空へと飛翔する。
あっという間に高度一万メートルに達し、視界をさえぎるものもない。
空の青と雲の白、そして緑の山が広がる世界。

『今回は新型爆撃艦とやらと一緒のようだ。
 テストを兼ねているんだろう』

両舷側後方から《ネメシエル》を囲むように八隻の新型爆撃艦がゆっくりと浮上してきた。
鋭敏なバルバス・バウを備え四十六センチ連装光砲や八十八センチ下部爆撃口など
最新鋭の武器を備えた新型爆撃艦はぱっと見て太ったイルカのような印象を蒼に与えた。
八枚という異例の多さの主翼や小型化された艦橋。
最新鋭の光タービンを稼働させて《ネメシエル》の後ろをついてくる。
今回はこの八隻のみでの艦隊となり敵国地方都市を焼く。
日程を確かめようとちらっと壁にかけられたカレンダーを見た。
十二月二十四日……ですか。
世間ではくりすますとかいう祝日。
私も……普通の人間なら……。
そんなことを気がつかないうちに考えてしまい頭を振ってその考えを払った。
お偉いさんからみたらただのかわいいかわいい大事な人形に過ぎない私は……。
一生ずっとこうやって《ネメシエル》に乗りそして死ぬ。
その道以外は残されてはいないらしい。
この《ネメシエル》の乗ってから二年がたったが一度も外に出たことがなかった。
《ネメシエル》と医務室しか知らない。
その他の所へ行くには面倒な許可が必要だ。
そして別に行きたいと思ったところもない。
《ネメシエル》の全長八分の一ほどの大きさの新型爆撃艦は目標到達点に来るとゆっくりと静止した。
その進路がまるで《ネメシエル》の行く手をさえぎるかの様なそぶりに見えたのが蒼を刺激する。
嫌な感覚が蒼をじっくりと蝕んでいた。
思考で行く手に展開する新型爆撃艦への通信を開くと

「前方の新型爆撃艦九弐型艦へ通告。
 貴艦は正しい爆撃範囲に直ちに移動せよ。
 繰り返す……」

まったく面倒なことを……。
いつもならここで

(了解。
 直ちに移動する)

と返答が帰ってくるところだ。
だが今回は違った。

(貴艦の命令には従えません。
 我々は貴艦とは別の命令系統下にあります)

えっ?と声が出そうになるのを押さえる。
……どういうことですか?

「ネメシエル、どういうこと?」

AIに聞いたところで返ってくる答えは変わらないだろう。

『私にも分からない。
 だが上からの命令かもしれないから迂闊な判断は……』

ほらプログラム通りの答え。
聞くまでもなかった。
ため息をついて《ネメシエル》の外を眺めることにした。
どうせすぐ下の街のクリスマスとやらは終わりを告げ火が支配する空間になる。
私には関係のないこと。
新型爆撃艦の四十六センチ連装砲の砲門がこちらを威嚇するようにぐいっと砲身を持ち上げているのが
気に障るがおそらく『核』としてはじめての仕事なのだろう。
爆撃口などを開くのに精一杯で連装砲にまで気が回らないに違いない。
私もはじめはそうでしたから……。
ふっと視界をさえぎるものがあり思わず目で追った。
雪――と呼ばれるそれは《陽天楼》と呼ばれる《ネメシエル》の装甲に触れると水となりその形を崩した。
その装甲からひんやりとした感覚がレリエルシステムを通して脳に直接刺さってくる。
ちらほらだった雪はやがて嵐のように吹き荒れ高角砲郡に薄い膜を築き上げた。
それにしても新型爆撃艦から一発も下の街に爆撃光が落ちないのはどういうことなのか。
駄目でもともと、もう一度通信を開いてみた。

「こちら旗艦《ネメシエル》
 攻撃はまだですか?」

(……蒼中将。
 お話があります)

通信を開いてしばらくの沈黙の後返答が帰ってきた。
私に話……ですか?

(我々連合勢力は帝国からの独立を検討しています。
 この作戦はあなたを……)

一息入れて

(こちら側に編入せよとの指令に基づき行動させていただきました。
 帝国はもう駄目です。
 完璧な社会主義、犯罪発生率ゼロという数字は確かにすばらしい。
 ですがその社会主義の中で勝ち組と負け組みが出来てきている。
 言わずとも分かると思います。
 そう、政治などの中枢を任された二十の国々です。
 中枢国連合と呼ばれたこの国は今帝国から独立し、世界をこの手におさめます。
 絶対権限が王家にあるこの帝国に未来などありません)

「へ、陛下をバカに……」

(その考えがもう古いのです。
 どうです、蒼中将。
 我々の仲間となり新たな世界をつくり人間の思うまま欲望のままに暮らし
 その《陽天楼》から降り普通の人間として生きていくのか……)

新型爆撃艦八隻すべての四十六センチ連装砲三二基六四砲門が《ネメシエル》を向いた。

(ここで我々と戦って《陽天楼》と一緒に時代に埋もれるのか……)

ここでこの人達と一緒に行けば私も下の街でくりすますとやらを楽しむことが出来る。
思考でしか感じることの出来ない雪にも触れることが出来る。
普通の人間に……なれる。
体が震えるのを感じた。
帝国に逆らうという重罪を得ようとしている体が……。
この考えも……古い?
否。
自分が忠誠を誓うもの。
いくらむかつく担当医がいようが、私をばらばらに分解して調べたい研究者がいようが関係ない。
自分が自分としていられる場所――。
それが蒼にとって一番重要だった。
こいつらはそれを壊そうとしている。
敵。
その一文字が頭に浮かんだ瞬間蒼は《ネメシエル》に話しかけていた。

「……ネメシエル。
 新型爆撃艦八隻を敵と確認しました。
 直ちに攻撃体勢に入ります」

『こちら艦長、了解。
 敵艦を殲滅せよ』

(……残念だ)




BGMです。
17:37ぐらいからどうぞ。

ここを見ながら読むを分かりやすいかもしれません

新型爆撃艦八隻の砲門が一斉に火を吹いた。
あらかたは軌道湾曲装置――イージスにより軌道を曲げられたがすべてがそういうわけではなかった。
一箇所にまとめて放たれたことによりおよそ半分に威力は減少したものの
それは《ネメシエル》の装甲を削り取るのに十分な威力を持っていたのである。
一二〇センチという化け物装甲を持っていたとしても四十六センチもの巨砲を一身に受けた右舷の装甲板は融解。
内部機械がショートし黒煙を吐き出した。

「っぅ!」

ずきんと腹部に激痛を感じたものの何の痛みかを考えることなく
《ネメシエル》の甲板下に眠っている副砲に思考を飛ばした。

「合戦準備!
 左舷大型ナクナニア光放出砲を甲板に展開、《敵艦②》を狙い充填が完了しだい発射!」

適当に敵艦に①~③の番号をつけ照準をつける。
五一センチ六連装光波共震砲を旋回させ《敵艦①》を狙う。
と、敵の四十六センチ砲が再び煌き甲板に展開を開始した
左舷大型ナクナニア光放出砲に約三十ほどのレーザー光が集結。
舷側等に比べて少し薄い装甲を貫通、破壊した。
二メートルという巨大な砲門が爆炎を吐き出し中で暴れた熱は装甲が薄い所から出口を求め荒れ狂う。

「痛っ!!」

右腕が内部から焼かれるような痛みが発し五一センチ六連装光波共震砲から意識が離れた。
その瞬間を狙ったかのように《敵艦④》が《ネメシエル》右舷へとその鋭利なバルバス・バウを向け突っ込んで来る。

「ラムじゃないですか!→これ

とんがったバルバス・バウというよりはラムと言った方がしっくり来る。
それが針となり《ネメシエル》を衝こうとしていた。

『副長、右舷から《敵艦④》が急速接近中!』

「分かってます!
 主機始動、直ちに離脱を……っ!!」

思考をまたもや激痛が切り裂いた。
今度は足……。
蒼はぞくっと全身の毛が逆立つのを感じた。
足……すなわち機関。

『左舷ナクナニア光反動炉損傷、火災発生!』

イージスが攻撃を防ぎれていない!?

「火災鎮火を優先、《敵艦④》を撃沈後……んっ!!」

《敵艦④》が右舷に突っ込みその鋭利なバルバス・バウを《ネメシエル》に突き刺したのだった。
舷側五一センチ三連装砲が根本から削げ落ち、街中に墜落するのを
視野の隅にいれた瞬間今までに感じたことがないほどの背中に発した激痛に体がのけぞる。

『軌道湾曲装置損傷!
 右舷イージス展開不可!!』

「うっ……く……ま、まずいですね……」

『蒼副長、大丈夫か!』

肩で息をして激痛と戦うと同時に

「《敵艦④》に補助機関部五一センチ六連装光波共震砲一番と七番の砲門開け!」

息を整え、胸を押さえる。
心臓がバクバク言っているのを押さえこみ唇に薄ら笑いを貼り付けた。
心の中に浮かんだ一言。
――きつい一撃を食らわしてやる…!

「撃てっ!」

補助機関が収まっている舷側機関上の五一センチ六連装光波共震砲が牙を剥いた瞬間だった。
光タービンを逆回転させネメシエルの右舷から離れようとしていた《敵艦④》の
二百メートル強の船体を紙のように破り内部から誘爆させた。
《ネメシエル》の右舷がまともに爆風を浴び装甲が少しへこんだが
《敵艦④》だった物体が爆発した光に比べ地味な出来事だと言える。

(《ラタセ》…)

脳内に敵の声の呟きを感知しまだ通信が繋がっていたことに気がついた。
と、同時に《ネメシエル》の船体が軋み敵のレーザーを受けた事を知らせる。
鈍痛がゆっくりと這い上がってくるが先ほどまでの激痛に比べ十分に我慢できる痛みだった。

「ターゲット切り替え、《敵艦⑤》を下部大型光波共震拡散砲で攻撃!」

砕け散った《敵艦④》の敵をうとうとするかのように《敵艦⑤》が
左舷前部にて攻撃をけしかけようとしているのを見越しての事をだった。

「甲板に右舷ナクナニア光放出砲を展開、艦内でチャージは済ませておいてください!」

『副長、暴発の危険があるが…』

「左舷のイージスを回してください」

蒼は思考の中に浮かぶ敵艦の土手っ腹を見て少し笑ってしまった。
無防備な腹を見せつけやがる…。
《敵艦⑤》に隠れているがその後ろには《敵艦⑥》も並走しているのだ。
どちらかの砲がやられてもこの二隻には既に死神がとりついている。

「撃て!」

甲板装甲が開き展開を始めたナクナニア光放出砲は目論み通りに敵艦の斉射を受け沈黙。
だが艦首下部に小判鮫のようにくっついている大型光波共震拡散砲が溜めていた光を放った。
八つに別れた光は一瞬で《敵艦⑤》を貫き勢いがほとんど衰えないまま《敵艦⑥》を相次いで吹き飛ばした。
爆発はせずに黒煙をあげたまま二隻は街へと雪よりも早いスピードで落ちていき
地面に接触と同時にバラバラの破片となり、内部から融解炎を散らす。
そのまま《陽天楼》は舌を舐めた狼のように《敵艦①》《敵艦②》《敵艦③》に
そのままターゲットをスライドさせた。
一直線に並び時折四六センチの光を放つ以外は特に目立った働きをしていない…恐らく援護隊なのだろう。

「弾道ナクナニアレーザー用意」

ようやく落ち着きを取り戻した蒼は冷徹な思考で命令を下した。

『了解、弾道ナクナニアレーザーのターゲットをマークせよ』

《敵艦⑦》からの攻撃により上甲板五一センチ六連装光波共震砲八番が直撃を食らい火を吹いた。
左腕の痛みに歯をくいしばりながら《敵艦①》《敵艦②》《敵艦③》に照準をつける。

『エネルギー充填完了。弾道レーザー発射いけます』

《ネメシエル》からの報告を淡々と聞き三隻がきれいな一列にならんだのを確認。

「発射」

《ネメシエル》の後部上甲板から発射された青い光は雪雲を弾き飛ばし宇宙空間へ出る直前に
空気密度による反射によって正確に《ネメシエル》のナクナニアニューロ光AIの計算通りに三隻を凪ぎ払った。
蝿が叩き落とされるように勢いよく弾かれた三隻は
その場で爆発炎上という大惨事後、撃墜の道しか残されてはいなかった。
残されたのは《敵艦⑦》と《敵艦⑧》のみ。

(化け物戦艦め……)

明らかに先ほどとは違い余裕を失った敵艦隊恐らく司令の声が心地よい。
明らかに自分が殺戮マシーンに近づいているのは自覚できたが蒼は不思議と嫌な気分ではなかった。
艦橋構造物に大量に並んでいる艦対艦ナクナニアハープーンを《敵艦⑦》の艦橋に突き刺し
『核』のみを正確に殺すという荒業もやってのけた。
艦橋のみを失い制御がなくなった《敵艦⑦》は
その砲を唸らせることもなく機銃のを一発も撃つことの出来ない空中を漂う鉄塊となる。

(くそっ……なぜだ。
 なぜ邪魔をする!)

残る《敵艦⑧》に敵司令はいるのか。



BGMです。
22:47ぐらいからどうぞ。


「あなたが……私が忠誠を誓っているものに牙を剥いたからです。
 軍人は国を愛し国を守る。
 それをあなたは分かろうともせず、ましてや自分で破壊しようとした。
 私はそれが許せなかった。
 こんな嫌な役割に生まれ、育ってきた。
 あなたの苦しみを知ろうとは思いません。
 人の心なんて分かりたくもない。
 でも国を守るための軍隊が国にはむかう。
 最低のことだと思います。
 ――だから私は止めたまでです」

『火災鎮火、自己修復モード起動』

蒼は接続不良で痛む左腕を動かし右舷の《敵艦⑧》へと合わせることが出来るすべての
五一センチ六連装光波共震砲の照準を合わせた。
破壊された八番砲塔を除く合計一七二門の砲門が《敵艦⑧》に死神の口を開く。

(……分かっていない……。
 蒼中将、ここで我々が死んだとしてももう帝国内のくすぶりはとめられない!
 次第に解体に向かうだろう。
 たとえそれがいつであろうとしてもたかが『部品』の一つである貴様には……)

「撃て」

一七二本のオレンジのレーザーが《敵艦⑧》を次々と鉄くずに変えていく。
イージスで半分ほどは防がれている。
それでも《ネメシエル》の巨砲をすべて防ぐほどの防御力は流石に持っていなかったようだ。
新型といっても所詮はこんなもの……ですか。
レーザーの命中を確認の後、外部の視界を閉じた蒼はエネルギー衝撃波で艦が揺れたのを感じた。
《敵艦⑧》が爆発し、空に散った音だろう。

「……冷たい……」

戦闘中はまったく気がつかなかったが《ネメシエル》の甲板にはうっすらと雪が積もっていた。
高角砲郡には積もっていたのは知っていたが……。

「ネメシエル、私甲板に出てもいいですか?」

はじめての願いだった。
今まで冷たくてうっとおしいものとしか認識していなかった雪というものに触ってみたい。
今までにない欲望だった。

『許可する。
 ……戦闘お疲れ様』

両腕を覆っている機器を押しのけシートベルトを外す。
久しぶりに自分の足で《ネメシエル》の艦橋から出た。
重い鋼鉄の扉を開けると冷たい北風が蒼の髪をなで遊ぶかのようにそよがせる。
口から白い息を吐きあちこちで煙を上げている《ネメシエル》の大惨事状況をぐるりと見渡し苦笑した。
ちょっと無茶しすぎましたかね……?
心の中で苦笑して湯気をあげている五一センチ六連装光波共震砲の砲身を触った。
冷たい空気の中でほんのりと暖かい砲身は不思議と落ち着く暖かさを蒼に与えてくれる。
空から絶え間なく降り注ぐ雪は茶色い蒼の髪を白く染めほてったほっぺたに付着して溶けた。

「寒いっ……」

ぶるっと身震いして頭を震い雪を払う。
足元にたまった雪をすくいおにぎりのように固めてみた。
二つ重ねたらデータベースにあった雪だるまとかいうのになるのか。
勝手に納得して灰色の空を見上げた。
ただただ静かに雪は降り注ぎ《ネメシエル》の甲板に積もるだけだった。

「……また……同じことの繰り返し……でしたね」

はぁ~と長く吐いた息が風に乗って流れていく。

「いや……」

小さな丸い雪球を二つつくり重ね合わせた。
それを艦橋の隅に置く。

「雪に触れただけマシでした……」

甲板の雪原に小さな足跡を点々とつけたあと、蒼は艦橋内に戻り帰還の途についた。





この戦いから三ヵ月後ベルカ世界連邦帝国は解体。
世界は連合郡と帝国郡の二大勢力に分かれ争うこととなる。




               END
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~ Comment ~


月さんへ

戦艦大好きです。
ラブです。

艦艇可愛すぎます。
ネメシエルはもっと可愛いです←
#1891[2011/09/11 17:00]  ねみ  URL 

 なんか戦闘シーンが迫力あっていいですね^^
 ねみさんの艦船に対する思い入れを感じられます^^

 それに蒼さんの設定とかも素敵ですね^^
 作られた人間の苦悩。

 また時間があるときに、拝見しにきますね^^
#1878[2011/09/05 17:46]  月黎風  URL 

こまけぇこたぁいいんですよ!

クリスマスなので只単にクリスマスなので…

クリスマスなので…はは…
#1206[2010/12/25 16:35]  ポールさんへ  URL 

迫力満点♪

こんにちは~♪

蒼ちゃんのお話をとても楽しく読ませていただきました。

機械であり人間でもある。彼女が抱えるこのテーマは重いですよねぇ。

戦闘シーンの迫力は圧巻のもので、さすがはネミエルさんですね。

蒼ちゃんの短編、また次回も期待しております☆
#1205[2010/12/25 13:01]  三宅千鶴  URL 

この世界には「キリスト教」があったのか……。

それとも同名のお祭りがたまたま同時期にやっているだけなのか?

そういう突っ込みが来るから、異世界を舞台にしたファンタジーやSFでは神経使うんだよなあ……。

使うほうが間違っているのかもしれませんけど。
#1204[2010/12/25 12:57]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]

蒼中将…(つд・)
十四歳の女の子に、もっと歳相応の楽しいこととか経験させてあげたい、と切実に思ってしまいました。
だって蒼ちゃんよりAIの方がよっぽど情が通ってそうな感じって、どんだけ…(つд・)
艦隊が傷つくと蒼ちゃんも痛いのですね。故障箇所見つけるには便利でしょうけれど…痛覚と切り離せたらいいのになぁ。

ねみさまの蒼ちゃんのお話、大変楽しく読ませていただきました。と、いうか艦隊戦とか……。どれだけ関係文書読み漁れば私も書けるようになるんでしょうか。

そしてちょくちょく医務室設定をねじ込んでいただいて、大変嬉しいですゎーィ♪ヽ(*´∀`)ノ
ありがとうございましたッ!
#1203[2010/12/25 00:13]  ミズマ。  URL 














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