Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第五七話

「レルバル少佐はこちらか?」

白い紙を持ちたっぷりとヒゲを蓄えたおっさん兵士が壊れたドアから静かに入ってきた。


見るからにの頑固親父だよ、この人。
超怖い顔をしているとだけ言っておこう。

「元帥がお呼びだ。
 至急!」

俺の怪我など知らんとたかを括ったかのように言うおっさん兵士。
この状態でどうやって行けと。
頭いかれてんじゃないだろうか。
口には出さないけど心の中ではそう思っている。

「でもこの状態ですし……。
 俺このまま行けって言われてもちょっと……」

パジャマの裾を持ち上げて主張する。

「大丈夫だろう。
 シエラ、メイナ、治してあげれないのか?」

推測で物事を進めないでください。
大丈夫だろうって……。
確かに治してもらえたら嬉しいんだが。

「んー私達の力を借りずに自分の力で治して欲しいんだけどね?……」

「でもこのままじゃ動けんし……」

おっさん兵士が俺を盗み見た。
目は「怪我なんかしやがってこの糞ガキ」と。
目は口ほどに物を言う。
その諺どおり今俺はおっさん兵士の妬みを一身に受けている状態だ。
セズクが読んでいた本を閉じて目を閉じて考え……?
寝てないか?

「車で運べば?」

皆がうなって考える中でシエラが手を上げた。

「病室に入るか?
 そして廊下を走れるか?
 却下だ」

あえなく仁に却下され、少しうなだれる。
だがそれごときで凹むシエラではない。
さすが最終兵器だ。

「バイクは?」

「乗れないだろ。
 安定感ないし。
 却下だ」

「ヘリとか」

「だから、病室に入らないだろ?
 それに波音一人のためにヘリをわざわざチャーターできると?」

顎に指を当てて次々と提案するシエラだがことごとく論破されていく。
終いには

「セズクのお姫様だっことか」

こんなことを言い出しやがった。

「あ、僕は賛成だよ♪」

シエラが言い終えたと同時に賛成の意思を表明するためにセズクが手を上げる。
寝てたんじゃないのかよ、起きてたのか?
それとも俺の名前に敏感に反応したのか?

「バカかお前は。
 俺の精神的状態がヤバイことになるから却下だ!」

当然却下させていただきました。
そして俺が懐で温めていた意見を今こそ開放する時。

「お前ら二人がイージスでも張って……」

仁に言われた。

「疲れるからヤダ」

メイナは前髪を指に巻きつけた。
シエラは完璧に膨れっ面になっている。
怒ったふぐみたい。

「じゃあどうしろと!?」

落ち着くんだ仁、怒るな。

「普通にベットのコロ使えば?」

おっさん兵士が白い目で「バカばっかり」と。
そんなオーラが染み出していた。
ここでも見事に諺である目は口ほどに(略)が発揮されている。

「その発想はなかったね。
 よし、そうしようか!」

「ちょ、待て。
 横幅的に考えろよ?
 どうやってもドアに引っかかるだろ?」

さっそくベッドのコロのロックを外し始めたセズクに思いとどまるように声をかける。

「その時は波音がボーンって」

「出来るかっ!」

「大丈夫だよ、僕がやるから」

違うんだよ、そういう意味じゃない。
俺が言いたいのはもっとこう……スマートにさ……。
車椅子とかそんな選択肢はお前らにはないのかとああ、動き出した。

「司令室はどっちだっけ?」

ドアの枠がどんどん目の前に迫る。

「えっと……奥の方に……あり……」

せっかくおっさん兵士が説明してくれてるのを遮りシエラのレーザーが唸った。
吹っ飛ぶドア枠。
呆れ顔のおっさん兵士。

「さて、行こうか?
 司令室行き特急だよ?」

「安全運転で頼みます。
 事故ったらしゃれにならないんで」

砕けたドア枠を見ないようにして俺はベッドに身を預けた。





意外と安全運転なんだな。
窓の外の滑走路が点々と青や赤の色とりどりの光をともしている。
時折炎が見えるのは戦闘機の離陸のものだろう。
あんなに近いなら衝撃波で窓が割れてもおかしくないと思うのだが
きっと何か特別な仕掛けでもしているのだろう。
次の角を右に曲がり、食堂で今まさに食事をしている兵士達のにぎやかな声を聞きながらのんびりと……
というわけにはいかなかった。
見事なまでにトラブルを引き寄せる俺の体質がここでも発揮されたのである。

「迷った」

そう、この一言がすべてをあらわしていると思う。
道に迷ったのだ。
さっきまでずっと呆れ顔を維持していたおっさん兵士はどこかに消えたし
ベッドの上の俺を含め、仁、シエラ、メイナ、セズクは正直どうしようかと途方にくれている。
あちこちをねり歩いているうちにどんどん目標から遠ざかっているような気がしてならない。

「見つからないな」

ぽつりとシエラがこぼした一言が深く頭にこびりつく。

「ですね」

腕につけたコンピューターの液晶を見ながら仁は

「パンソロジーレーダーで見つけれないのか?」

俺のベッドに腰掛けた。
きしんだバネの音がまったく人気のない廊下に響く。

「見れるんだけど……どれが元帥の部屋なのか分からないから却下」

この小一時間で一生分の「却下」を聞いたような気がする。
下手に動き回ると余計に迷うし。
まったくこいつらにも困ったものだ。
俺に責任はないとは言わないが……。
そもそも俺が北は右だろーとか言っていたのも原因の一つと考えられるし。
五人でさてどうするかと話し合っているとこつこつと足音を立てて近づいてくる人が角から現れた。

「何をやっていたんですか?
 私が呼んでいるというのに……」

澄んだ声が澄んだ空気に響き淀んだ雰囲気を浄化したようだった。
ベッドの柱の陰になっていてよく見えない。

「遅刻です。
 許せないミスです」

はぁ、何か怒られてしまいました。
しかも誰だよ、この眼鏡かけてて……ん?
女の人が移動してくれたおかげで俺からもばっちり見える。
結構綺麗な人だな、金髪で。
ぴっちりと身を包んだ地味なシーツが似合っている。
豊かな胸が……男としてこれは仕方ないだろう。
見てしまったんだもん。

「す、すいません元帥」

「え?」

出た。
どうもてもそれらしくないのにその肩書きの人。
ジョンといい、メガデデス戦の艦長といい……。

「私が帝国郡元帥及びベルカ世界連邦帝国アフリカ、オーストラリア地方守護族惣領
 シンファクシ・ネメルシエアです」

眼鏡くいっ。
ここまで完璧に眼鏡が似合う人を俺は見たことがない。
歳も聞きたいところだが危ない橋を渡るほど俺は愚かじゃない。
ごめんな!
それに守護族ってことはジョンも言っていたあれか。
王を守るためのうんぬんーってやつ。
そうは見えないんだけどな――と思いながらシンファクシがセズクに説教をかましているのを
シエラたちと遠巻きで眺めていると天井に火花が散った。
一拍遅れてなる銃声。
シンファクシの右人差し指から硝煙がたなびいていた。
義手……しかも仕込みが半端じゃないであろう物。
うめき声が響くと天井から一人の男が落下してきた。
格好からみてスパイ……おそらく連合郡の。

「おい、片付けておけ」

右手人差し指の硝煙を吹き消し、銃声を聞きつけてやってきた兵士達にてきぱきと指示を下す。
なるほど、コレは指揮官の器としてふさわしいかもしれない。

「さて、行きましょうかレルバル少佐」

いや、俺は永久波音という名前が……。




シンファクシの部屋は深い地下にあった。
地下四百二十メートルの洞窟を改造して作ったものらしい。
それにしても俺はいつまでベッドの上に横たわっていなければならないのか。
せめて話をするときぐらいは椅子に座らせて欲しいものである。
体と相談してみるとベッドの方が楽だとさ。
ならベッドでいいや。
暇になるとこの自問自答も虚しいものだ。

「さて……」

シンファクシは自分の席に座ると俺以外の四人に着席を促した。
全員に何を飲むのかと尋ね、手下にその注文どおりのものを持ってこさせる。
ちなみに俺はミルクティーを注文した。

「先日、連合郡の地方都市爆撃ですが私達はやっていません。
 信じてください」

俺達に聞く準備が出来たと判断したのか口を開くと同時に重い話をしだしたシンファクシの目は真剣だった。
全く嘘をついていない目だ。

「その件の詳しい説明は僕からさせて頂きましたよ。
 早速本題に入っていただけませんか?」

コーヒーに砂糖をどばどば入れながらセズクがシンファクシに提案する。
それを聞いて頷いたシンファクシは

「ではセズクの言うとおり早速本題に入らせていただきます。
 今回はこちらをかっぱらってきて欲しいのです」

まぁ人として出来る仕事ならやりますが。
シンファクシが机の中から出してきたフォルダの中に写真が入っていた。
変な形をした……車か?
それが写っている。

「これが何か?」

「これは連合郡カナダ自治区にある倉庫の地下二十四階に保管されている
 ナクナニア超光発生装置の一部です。
 我々帝国郡全員の願いです。
 これを連合郡から取り返してきて欲しいのです。
 力で取ろうにも自爆システムがついていて無理なんです。
 地下には大量のウランが貯蓄されていてもし砲撃の一発でも受けたら起爆システムが作動。
 すぐに核分裂が促され……」

シンファクシは机の上にあるせんべいをぐしゃっと潰して見せた。

「こうなります。
 この装置はベルカの……我が祖国の技術の遺品の一つとされています。
 超光化学合金セラグスコン製というナクナニア超光を
 セラスミコンという土に当て溶かし鉄などと混ぜ合わせた超光合金で出来ている代物です。
 この金属一センチで鋼鉄二十センチという強度を持ち非常に強固、かつしなやかな性質を持っています。
 電気は通しませんが光をよく通すという性質もあります。
 その金属を作り出すのにこの装置が必要なのです」

そいつは夢のような金属だな。
超古代文明ってのは超がつくだけあって本当にすごい力を持っていたんだ。

「ただこの装置は一部にすぎません。
 他にも三つほどあると予想されていますがこちらは心配ありません。
 私たちが既に二つほど入手しています。
 問題は……」

「この倉庫の中のこいつってことか」

「そういうことです」





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~ Comment ~


千鶴さんへ

リクエスト承りました←
シンファクシ・ネメルシエアさんはとても自分でも
覚えにくい名前だと思います。
ちなみに妹にリムファクシさんがいます。

どうかんがえてもエースコンバットです、本当に(ry
#1189[2010/12/17 16:12]  ねみ  URL 

ポールさんへ2

そういうことだったのであります。

あ、ありがとうございました。
とっても面白かったです。
ネメシエル下をうpするときにいっしょにうpさせていただきますw
#1188[2010/12/17 16:10]  ねみ  URL 

新しい展開♪

こんばんは~♪

今回もスピード感溢れる展開を楽しませていただきました。それにしても動けない波音くんが不憫ですねぇ。次回の移動にはセズクのお姫さま抱っこをリクエストさせていただきます!(笑)

シンファクシ・ネメルシエア・・・とても一回二回聞いただけでは覚えられない名前だと思いますが、強くて美しい素敵な元帥ですね♪
今後の彼女の活躍にも期待しておりま~す♪
#1182[2010/12/15 19:26]  三宅千鶴  URL 

ところでリクエストにお答えして、バカバカしいお笑いショートショートを http://crfragment.blog81.fc2.com/blog-entry-722.html に書いたであります。よければぜひご覧に……。
#1180[2010/12/14 13:45]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]

なるほど。そういうことでしたか。失礼しました。

精製前の天然ウランが貯蔵されているものだとばかり思っていたもので……。

ちなみに、わたしは、昔、「ここにはTNT火薬が満載されているんだ。火をつけたら爆発して吹っ飛ぶぞ」と書いて、先輩に、「雷管がなかったら火薬はただ燃えるだけだバカ」といわれたことがあります。若さゆえの過ちは認めたくないものであります(^^;)
#1179[2010/12/13 17:45]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]

ポールさんへ

いえ砲弾を受けたりしたら起爆システムが作動して
核分裂を促し爆発……と言うことを言いたかったのですが
やっぱり分かりにくかったですかね?

すいません・・・。
#1178[2010/12/12 21:05]  ねみ  URL 

>地下には大量のウランが貯蓄されていてもし砲撃の一発でも受けたら……

とりあえず「原子爆弾はなぜ爆発するのか、核分裂とはなにか」、についてお調べになられたほうが……。(^^;)
#1177[2010/12/12 17:40]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]














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