Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第五四話

「ΦeivΘense」

ベルカ語の流暢な発音が鼓膜を叩く。
「消えろ」という意味。


何も考えずに本能が導き出した答えどおりに横に飛んで逃げた。
俺が今まで立ちすくんでいたところの床に大きな穴が開き、煙を纏う。
すかさず放った銃弾もソレ(以下ニセ)に届くことなく
すぐに弾道を曲げられ弾切れのカチッとしたむなしい音を響かせるのみの母機を残すのみとなった。
それをニセに投げつけ逃げる。
俺が投げた銃をキャッチしたニセはそれをしばらく弄くり回した後右手をまったく同じ銃に変えた。
銀色ということ意外は同じ。
もしかして俺いまあいつに武器の元を与えちまった系?
パパパパパ……。
ニセから次々と銃弾が飛んできて滑り込んだ壁の角を次々と抉る。
こいつを武器庫なんかに放り込んだら……と思うとぞっとするぜ。
世にも恐ろしい文字通り人間兵器の出来上がりってわけだ。
笑い事じゃすまないことになるだろう。
いくら兵器と言えど弾切れとか起こさないのか?
昔、シエラは

「銃弾とかは撃てない……というか撃たないんだ。
 だって自分の細胞を飛ばしてることになるんだから(うろ覚え)」

とか言ってたよな。
考えている間も鳴り続ける着弾の音にびびる。
これだけ大量の銃弾を撃ってるってことはそろそろ弾切れを起こしても……。
そう考え銃声が止んだ一瞬を見計らいちらっと顔を出してニセを偵察する。
ニセの足元にぐしゅぐしゅと水銀みたいなのが溜まっているのがかろうじて見えた。
なるほどリサイクルというわけか。
ニセから撃ち出された銃弾がまたご主人様の元に帰っていっているわけだ。
再開した銃弾の雨が壁を削り取る嫌な気分を満喫しながらふと思う。
それは反則だろ。
とにかくこのままじゃラチがあかない。
何かないかときょろきょろ見渡し、目に付いたモップを握り締める。
よし、あれは人じゃない。
兵器だ。
銃声がまた止んだ。
冷や汗と浅い呼吸が止まらない体をニセの前に持って行き勢いよく振りかぶったモップを振り下ろした。

「ThΗesξest?」(バカか、お前)

振り下ろしたモップはニセのイージスによって空中で見えない手によって押し止められていた。
必然的に隙が出来る。
――殺される。
さっと冷えた頭にニセのニヤリと笑う顔(と言っても俺の顔)が浮かび上がる。
片腕をがっちり掴まれた俺は投げられ舞い、六メートルほど先の壁に叩きつけられていた。
鳩尾に鈍い衝撃が伝わり吐き気を催す。
痛みに喘ぐ俺を満足そうに見たニセ俺は再び右手の銃口を向けた。
苦しむ体に鞭打ち跳ね起きの勢いを借りて思いっきり蹴りを入れた。
油断していたのかニセはイージスを張ることなくその身で蹴りを受け止める。
仰向けに倒れたニセはドアをぶっ飛ばし『第九一研究室』の闇に消えた。

「ShΩsps」

なめんなよ、と一言呟いた俺は名誉の撤退。
逃げたんじゃない、撤退だ。
……ああ逃げるさ、何が悪い。
いきなり目の前に現れた兵器に勝てるか?
いや、勝てない。
限りない自問自答だがこの恐怖に打ち勝つための――っ!?
右腕がすごい力に引っ張られバランスを崩し倒れた。
まるで右腕が火で真っ赤になった鉄棒でめちゃくちゃに突付かれているように熱い。
一体何が……と撃たれたのか。
ぬるっとした液体が泉のように溢れ床にどんどん広がっていく。
左腕を駆使してバランスを保って起立し、振り返る。
暗闇の中に浮かぶ二つの赤い光。
ニセの殺意を持った目。

「SЩth.   (すまない、
Nбiиone」  舐めたつもりはないんだが)

静かに流れ出るベルカ語が頬を撫でた。
壁を粉砕して出てきたってのか?
銀色のぐしゃぐしゃを足が取り込みながらニセがゆっくりと歩いてくる。
その左腕はロケット弾ポッドに変貌を遂げていた。
あの研究室ってロケット弾の開発場だったのか。
またしても自ら武器を与えたことになっちまった。

「EΓenΨd?」(終わりか?)

ダッシュで逃げ再び角に滑り込む。
壁という盾にまたしてもお世話になることになった俺の非力さをあざ笑うかのように廊下に響く声。
カッターシャツの袖を破り応急処置で右腕の銃創をしっかりと縛った。

「あぅ……」

弾は貫通せず、骨付近で止まっているようだ。
既にそこの皮膚がどす黒い。
激痛で少し声が漏れる。
血液も次々と漏れ命の元がこぼれる。
涙も少し漏れた。
体液を搾り取られている俺のすぐ横を四〇センチほどの棒がかすめ目の前の壁に突き刺さった。
ロケット弾……!?
頭にはじけた答えと答え合わせするようにロケット弾の爆風が出口を求め廊下を駆け巡った。
とっさの判断で研究室に逃げ込んだのは良いが極限まで精神と体は追い詰められていた。
床にへたりこんだ俺の前をさっきのロケット弾を構成していた細胞がニセへと這って行く。

「Wwhecy?」(どこに消えた)

ニセが呟き右腕から石らしきものを吐き出した。
おそらく爆発のときに銀のぐしゅぐしゅと一緒に取り込まれニセの体内に入ったのが放出されたのだろう。
銃弾も今のぐしゅぐしゅになりニセに戻っていくからニセは小さくならないのであって
そうでなければどんどん小さくなっていくはず。
おそらく質量保存の法則だ。
多分、多分だ。
視界にぼやけが入りはじめた。
とにかくこのまま鬼ごっこを続けるなら間違いなく俺が負ける。
今は何とかしてニセをぶち殺さないと。
でもどうやって……。
白い爆発が立て続けに起こり一つ隣の部屋が消失する。

「Dokieneta?」(どこに行ったんだ)

スリガラスの向こうで影となったニセが右腕から大量の石をこぼしながらゆっくり歩いているのが見える。
この部屋に入られたら最後後ろは地上への扉、前はニセ。
前門の虎、後門の狼とはよく言ったものだ。
今までに二回ぐらい死の覚悟はしたものの今回ほど絶望したことはない。
この部屋は手榴弾の研究室で実物もいくつか置いてある。
あいつに殺されるぐらいなら自分で死ぬ。
そういう意味では最高の場所だ。
生きるための努力はした。
まるで神が自殺するために与えてくれたようなうってつけの場所である。
そろそろ死ぬことを許してくれても……。

「あっ………」

そうか。
机の上の手榴弾を掴む。
そしてわざと大きな音をたて壁にもたれこんだ。
この音をあいつは間違いなく聞きつけココに来る。
良いことを思いついたのだ。

「ScЮga!」(そこか!)

目の前のドアが吹き飛んで壁に背を預けている俺を見つけたのだろう。
ニセ俺はけらけらと嬉しそうだ。

「Doτikλ?     (どうした?
 Onegaφenыned?」  もう鬼ごっこは終わりか?)

てめぇがえらそうな口を叩けるのも今のうちだ。

「Xi?enηeles.  (どうせ殺すんだろ。
YiеsiЪlinse」  ならそのでけぇ方で俺を殺してくれや)

ぎゅっと左の掌中のぬるくなった手榴弾を握る。
ニセは大胆に死の覚悟を決めたこ事に驚いたのか俺の目をじっと覗き込んできた。
にやっと笑い返し左腕を向ける。
俺は来るべき時の一瞬のために力を温存する。

「Zianien」(じゃあな)

ニセが笑いながら放った左腕のロケット弾が尾部から噴煙を上げ俺に向かってくる。
この一瞬を待っていた俺は足にすべての力をこめ瞬時に立ち上がりジャンプした。
爆風に体を弾かれ床に叩きつけられる。
想像を絶する痛みが体の節々を襲ったが俺の頬の筋肉は緩みっぱなしだった。
すべてはうまくいった。
ぼろ布のように動かなくなった俺を見て死んだと思ったのかニセが背を向けドアから出て行く。
さっきのロケット弾の細胞がその後を追いニセの中に取り込まれた。

「Eane」(終わりだ)

ソレを見た俺は静かに言い放った。
ぴたっと足を止めドアから出ようとしたニセがまだ生きている俺を見て嬉しそうに。
本当に嬉しそうに右腕の銃を向ける。
お前の命を奪えるのが楽しくて楽しくて仕方がないと言うように。
ニセの目を見据えたまま壁に背を預けた俺は見せ付けるように左手の中にあるピンを床に落とした。
これの先に着いていた爆発部は銀のぐしゅぐしゅに取り込まれニセの中。

「Zianien」


俺の体を映したニセの赤い目が見えない恐怖に閉ざされた直後、爆発。
銀のかけらを散らした。





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ドキドキ連発!

こんにちは~♪

今回の波音くん、想像以上の窮地に追い込まれてしまいましたね。ネミエルさんってもしかしてドS?(笑)

スリリングでスピード感溢れる展開の中で、追い詰められていく波音くんの心情がよく伝わってきました。

さて、このニセは本当にこれで消滅させることができたのか?次回を大いに期待しております♪
#1142[2010/11/23 12:47]  三宅千鶴  URL 

そんなことで倒せる敵とも思えません。

次回どうやって生き返るのか楽しみ(^^)
#1136[2010/11/22 20:32]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]














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