Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第五二話

「ねぇ?
 波音君?」

「ア、アリル、OK、分かった。
 教える、教えるからその拳降ろしてくれ!」


俺の血がついたままのベッドからよっこらせと飛び降りる。
ジャンプ、足を挫いた。
畜生なんて今日は厄日だ。
がっちり掴まれているシエラと固まったままのメイナ、セズクの二名も座らせポツリと話し始める。
挫いた足はじわじわ痛むが気にするほどのものでもないので無視一色だ。

「…………」

話づらいなぁ。
空気が硬いというか。

「どうぞ、話して下さい」

ちょっと困った顔のアリルに促される。
話さないという選択肢はないのだろうか。
一分ほどのだんまりの後意を決して口を開いた。

「シエラは……いや、F・Dは……」

ごくっと唾を飲んだ。
いずれは話さなければならないとは思っていたが、まさかこんな形で教えることになるとは……な。
よし、言うぞ。

「最終へ……」

床が揺れた。

「じ、地震……?」

いや……違う。
エネルギー衝撃波。
何か大きな爆発が起こったのか……?
再び床が揺れたかと思うと窓が割れガラスが飛び散る。
さっとセズクが俺にかぶさって盾になってくれた。
ありがとう、でもお礼は言わないぞ。
まぁおかげで無事だったが一体何が……?

「な、何!?」

くじいた足の機嫌を損ねないように立ち上がり
ガラスが綺麗に無くなった窓から外を注視すると大量の爆撃機が空を覆っていた。
夜の薄闇の中にかすかに、五センチほどの大きさにしか見えないがその指先ほどの大きさの飛行機から
大量のさらに小さなものがばら撒かれているのはかすかに見て取れた。
今俺達がいる街は――空襲されているのだ。
それも『連合郡本部』がある国にもかかわらず……だ。

「帝国郡……?」

俺のすぐ隣でその光景を見ていたシエラが歯と歯の間から搾り出した声が爆発音にかき消される。
強烈な閃光が夜の街を浮かび上がらせ街が燃えていく。

「波音君……怖いです……」

ぎゅっと手を掴まれた。
いつもなら胸がドッキーンとする所だがあいにく今はそんな暇ではない。

「何でこの街が爆撃されているんだ?
 民間人しかいないはずだろ……?」

のどがからからに渇いたようにうなりながらセズクが爆発に目を細める。
一体どういうことなんだ?

「それにもう帝国郡には爆撃することが出来る大型機は残ってはいないはずだ。
 この二人のおかげで連勝中とは言えここまで帝国郡の機体が入り込むなんて不可能に近い」

「とにかく逃げないと!」

「ちょっと帝国郡に連絡を取ってみる!
 シエラ、メイナ!
 波音とあー、お友達をよろしく頼む!」

セズクはそう叫ぶと天井を突き破って外へと飛び出していった。
もうちょっと普通の出方は出来ないのか?

「彼女ですっ!!」

お前も反応せんでいいっ!
また爆発の火が上がる。
夜の闇の中ゆっくり、だが確実に街を蝕む赤。
その赤に浮かぶ黒の死鳥。

「アリル……大丈夫か?」

俺の手を掴んだしなやかで弱々しい手が震えていることに今更ながら気がついた俺は
自分の鈍さに内心舌打ちした。
なんて鈍いんだ俺は。

「怖い……です」

俺も十分に怖いわ!
――とか言えるわけもなく黙り込んでしまう。
逃げるべきなんだよな……。
この家上空に来るまでスピードから見たら――大体五分といったところか。

「波音!いる?」

考え事を中断して窓の外のから大声に耳をすます。
この声は……

「綾か!?」

窓から身を乗り出して姿を確認する。

「久しぶりすぎる出番とか言う文句は後にしておく!
 早く逃げて!
 この辺にももう少しであの爆撃機――『B68』が来る!」

『B68』はエンジンを十二発装備している超大型爆撃機の事だ。
全長八十メートル、全幅百二十メートル、全高二十五メートルという化け物爆撃機だ。
それがこんなド田舎に……?

「分かった!ありがとう!」

とりあえず綾は無事だったか。
仁、詩乃は大丈夫だろうか。
綾の乗ったヘリが消えた空から遠くへ視点をスライドさせる。
無事な鬼灯財閥のタワーを見つけ少し安堵のため息を漏らしてしまった。
あそこまではまだ火の手は伸びていないようだ。
それにあのビル……かなりの鋼鉄が使われているからひょっとしたら安全かもしれない。
鬼灯のおっさんの別荘の城に避難するのも考えたがいかんせん遠すぎる。
……よし。

「アリル、こっちだ!」

「えっ!?
 あ、はいっ!!」

ぎゅっと強く離さないように手を握って外へと転がり出る。
日ごろからセズクが綺麗にしてくれていた廊下に障害物は無く
十秒足らずで外に出ることが出来た。
だが……

「シエラ!メイナ!!」

あの二人どこに行きやがったんだ。
周りを見渡した瞬間風圧が空気を揺らした。

「メイナ、どこに行ってたんだ!」

「ごめん、いま見て来たんだけど……」

見てきた?

「何を?」

「あの大型機を!」

風が土ぼこりを撒き散らし地面に食い込むようにしなやかな四肢が着陸する。
背中の翼がすぅっと消え風が徐々におさまる。

「シエラとセズクは?」

「帝国郡本部に今頃は着いてるかと。
 私はあの大型機の写真を撮ってきてたの」

「今、メイナちゃん空から……」

あぁ忘れてた。
説明してないよなそういえば。

「アリルちゃんそれも後で説明するから!
 ひとまず私に摑まって二人とも!」

ふと疑問に思ったんだがこれだけ空襲を受けているのにサイレン一つならないのはいったい……。
ここが空襲を受ける事態なんて予期していないからサイレン事態を取り付けていないのか?

「どこに行くんだ?」

「アリルちゃんは家に返すわ。
 地下にシェルターがあるらしいし」

まじすか。
すげえぇ。

「あるの?」

「あります」

「波音は帝国郡本部に連れて行く。
 さ、つかまって!」

メイナの出した手におずおずとつかまったアリルは怯えのかかった瞳で俺を見た。
「大丈夫だから」
声を出さずに目で返事する。
爆撃機の鼓膜を突き破るようなエンジン音が皮膚を突き破って体を振動させた。
ヒューと落ちる音そのものが焦りを刺激する。
黒い一抱えほどの円柱が家の隣の駐車場に食い込んだかと思うと火柱が空へと吹き上がった。
秒速二百メートルの爆風が車をいとも簡単に吹き飛ばし電柱を捻じ曲げる。
人一人ぐらいの大きさのコンクリート片が俺の家を突き破り車が鉄を撒き散らしながら横転する。

「い、家が……」

「じゃ、行くよ!」

俺達三人を透明な膜が包み直後俺達は雲の上にいた。
今まで俺達がいたところにトラックが突っ込むのがちらっと見えた。
俺達のさらに上を飛行する十二発ものエンジンをつけた爆撃機『B68』が死を振りまいている。
さらに上昇したメイナは『B68』をもろともせずにつっこみさらに上へ上へと上昇する。
メイナの風に煽られ編隊を崩した爆撃機同士がぶつかり黒煙を吐いて地へと堕ちていく。

「すごい……」

詠嘆なのか感動なのかアリルが小さく呟く。
その間にもメイナは空気を切り裂きあっという間にアリル宅にたどり着いた。
周りの森にいくつか爆弾が着弾したようだが豪邸は無傷だ。
第一波がすぎた直後のようでマダムがおろおろしながら玄関で指をくわえていた。
あたふたしている。
アリルのことが心配で心配で仕方がないようだ。
助けに行くにも車は混乱に巻き込まれるし、歩いていったら逆に……と考えているのだろう。

「マダム!」

俺が呼びかけるときょろきょろと辺りを見渡した。

「波音ちゃん!?
 どこにいるの!?」

「上です、上!」

「波音ちゃん!
 あぁアリルまで、よかったわぁ?」

風を伴いながら現れた俺達に驚くことなくダッシュでかけてきてアリルに抱きつき次に俺に抱きつく。
ちょっと恥ずかしい。
でもそんなこと感じている場合ではない。

「マダム、アリルをお願いします。
 シェルターがあるとか……。
 俺は……少しやるべきことがあるので……」

また重低音が地平線彼方から響き死鳥が列をなしてやってくるのが炎の中見えた。
爆撃の第二波だ。
死鳥の通り過ぎた後は炎が蔓延する死の空間となっているようだ。

「駄目よぉ!
 今戻ったら絶対に殺されるわ!?
 一緒にシェルターにいるべきよ!」

必死に俺の腕を掴んで離そうとしないマダム。
マダムの手に俺の手を重ねて

「大丈夫です、マダム。
 この音を聞いてください。
 敵の第二波です。 
 早く隠れてください、俺のことは心配要りません。
 大丈夫ですから」

死の息吹がこだまし不安に押しつぶれそうになった脳がかろうじて出した言葉だった。
俺も一緒にシェルターにいたい。
このまま静かに誰にも話しかけることなく静かにしていたい。
どうしてこんな目の前で街が砕けていくのを見なきゃならないんだ。
でも……今俺が出来ること。
帝国郡本部に行って何が起きるのかは分からないが呼ばれている。
――行くしかない。
マダムの腕を振り払いダッシュでメイナの元へと戻る。

「波音君!」

アリルの静止の声を無視してメイナの手につかまる。
にこっと笑顔を返した後一気に空へと飛び立った。

「とりあえずおっさんの安否だけ確かめないと。
 メイナ、ビルに寄れるか?」

小指の指先よりも小さくなった二つの人影を視界から消し去り夜の闇の赤い火を見つめる。

「全然かまわないけど……。
 すぐ帰ってきてよね?」

こんなところで死ねるわけがない。
俺はまだ何もしてないからな。

「あのビルだ。
 分かるだろ?」

「あれで良いんだね? 
 今降りるよ」

ビルのヘリポートに勢いよく着地した後走り出してくだりの階段のドアをこじ開ける。
仁もいてくれると良いんだが……。





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~ Comment ~


アリルと家族は大丈夫だろうけれど、ドレスデン並みの惨状になりそうだなあこの街。

焼け野原での生活は厳しいからなあ……。

個人用シェルターは、入るタイミングを間違えると、殺到するその他民衆で大混乱するから要注意であります。入るなら手早く。
#1107[2010/11/08 21:28]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]

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#1106[2010/11/07 22:35]     

緊迫してきましたね~♪

こんばんは♪

さっそく読みにやってまいりました♪

どんどん緊迫する事態になってきましたね~!
爆撃機『B68』でいきなり攻撃してきた帝国軍の思惑は何なんでしょう?

いつまでたってもアリルちゃんと仲良くできない波音くんが可哀想ではありますが、ここは真相究明のためセズクとともに♪がんばってもらいたいものです。

次回も楽しみにしておりますね~♪
#1105[2010/11/07 19:21]  三宅千鶴  URL 














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