Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第五一話

「次は古典ですよ!
 さぁ文法の教科書を開いてくださいっ!」

も……う……やだ……。
涙腺緩みそう。


「二時間ぶっ続けじゃないか!
 少し休憩くださいよ。
 頼むこの通り!
 眠たいしさ……」

キラーンと顎に指を当ててアリルの目を見る。
………。

「どの通りですか……」

アリルはやれやれと呆れたように息を吐き出した後

「む………」

じっと何かを考えるかのようにしばらく俺の顔と教科書との間を目線を往復させた。
ついでに言うと俺は今半端じゃないぐらいに眠いのだ。
二〇一二が今ココで起ころうと眠るぐらいの自信はある。

「……」

「………」

「…………」

「…………」

「………分かりました。
 仕方ないですね……」

ほっと頬の筋肉が緩み自然と笑顔になるのが自分でも分かった。
勉強中の冷たい全身の毛穴から入ってくる空気が一気にほわんと和やかな空気に変わるのを感じる。
春は良いものである。
のそっと立ち上がり静かにベットにダイブする。

「また二十分ほどたったら始めますからね。
 分かりましたか?」

「んー」

生返事を返してちらっとアリルを見ると机の上においてある目覚まし時計をいじりはじめた。
天井の模様をぼーっと眺めどうやっても勝てない眠気に身を任せることにする。
そしてふとんはすばらしい。
とにかくこのバカ強い眠気からおさらばしたくてたまらない。

――――そう思って寝たのが十五分前。
目を覚ましてからなんだこれは。

「おはよう、波音君」

あぁおはよう、なんですかこれ。
こう……初めてシエラと会話を交わしたのと同じ状況なわけだが。
分かりますか?
この寝ている俺の上にアリルさんがいる状況なんですよ、えぇ。
しかも顔が近い。

「何?
 何が始まるんです?」

思わず敬語になってしまう俺を前に少し頬を赤らめている彼女は答えた。

「何って……
 普通にいちゃつき……的な?」

だが少し待って欲しい。
俺にも心の準備って物があるのだ。
仮にも男である俺が女のアリル相手にココまでしてやられるとは思ってもいなかった。
普通は逆だろ、展開的に。

「あまりにも波音君の寝顔が……可愛かったので……。 
 つい……てへ☆」

てへ☆じゃない。

「女顔とかそういう俺の顔の悪口はそこまでだ。
 それ以上言うと怒るぞ。
 結構気にしてるんだからなこの顔」

「悪口じゃないです。
 褒めているんですよ?
 じゃなければ波音君のこと好きになりませんし……」

頬に息がかかるほど近い距離にいながらふふっと微笑む。
こんなに近くにいられては寝起きの頭でも動悸が高まるに決まってる。
心拍数がだんだんと上昇していく。
それと同時に頭に血が登っていくのがわかった。

「何赤くなってるんですか?」

「い、いや……」

思わず目を逸らす。
近いからだっての。
完璧に主導権を握られているなぁ。
こうやって実況してるってことは心の奥では結構冷静だというのに。

「波音君……」

急に顔が近くなる。
ただでさえ少ない距離がさらに近くなる。
うぁぁやばい。
冷静が保てない。
頭が熱で爆発しそうだ。

そしてお約束通りドアが開くのだった。
GJというべきか死ねというべきか。

「波音……ごはん……!?」

はっとした。
びしびしと伝わってくる殺気。
――まずい。

「シ、シエラ!?」

ドアを開けたのはシエラで、今彼女は半泣きだった。
目に液体が少しずつだがたまっていく。
白い頬に赤みが差して

「波音のバカ!」

と俺のすぐ隣の壁が蒸発する。
頬を熱い塊がかすめる。

「ッ!?」

トロリと血が服に流れ赤いしみを転々と広げていく。

「はぁ……はぁ……」

シエラの右腕が砲から普通の手に変わる。
それでもなお右手からは蒸気が立ち昇っている。

「波音君!?
 シエラちゃん……あなた一体……」

パニックになったアリルをよそ目に俺を射る冷たい殺気。

「アリルちゃん。
 僕前々から言いたいことがあったんだ。
 ずっと我慢してたんだけど今言うね?」

目の涙をぬぐい赤紫の瞳が俺を逸れアリルを貫いた。

「お前、大ッ嫌い」

再び空気が凍った。
アレか。
これが修羅場ってやつか。
今にも目から零れ落ちそうなぐらいに涙をこらえた最終兵器は今度は左腕を銃に変えていく。
待て。
殺す気なのか?

「そんなこと言われても……。
 現に私は波音君の彼女です。
 嫌いとか言われたところでその気持ちが変わることはありません」

昼ドラ的展開に一番ついていけないのは多分俺。

「詩乃からは『嫉妬』とかいいう感情だと教えられた。
 僕は波音の横にいることが出来て。
 それでいて……。
 それが嫉ましくて仕方がない」

一粒の涙が霧散した。

「何?
 何があっ……?」

騒ぎを聞きつけてメイナとセズクがドアを壊して入ってきた。
家を大事にしろお前ら。
そして最終兵器をみて唖然とする。
だって泣いているんですもの。

「シエラちゃん……。
 ゴメン……そして……」

アリルはシエラの近くに歩いていって

「ふぇ!?」

みんなの前で思いっきりシエラを抱きしめた。

「な――!?」

ココでまさかの展開に声が出ない俺達。
レズみたいなのを期待していた俺は死んだほうが良いかもしれない。

「嫉妬してるシエラちゃんかわいいね?!」」

「えっ……あの……。
 アリルちゃん?」

ちなみにアリルはかなり身長がある。
シエラは一五二センチと小柄なのだがアリルは一六二センチぐらいあるのだ。
アリルの胸に必然的にダイブした形になるシエラ。
現実は胸からシエラにダイブしたわけなのだがちょっと自分でも何言ってるのかわからなくなってきた。

「あのー……放してくれないかな?」

「可愛いね?、いつも学校ではおとなしくしてるし
 家ではぶっきらぼうで嫉妬してる姿なんて見てなかったからわかんなかったけど!
 シエラちゃん結構可愛いところあるじゃない?」

さばさばしてるな。
昼ドラはもっとこうドロドロしてるワケだが
俺はこんな感じでさばさばしてもらったほうが嬉しい。
さばさば、ドロドロ。
小学生の理科で習ったマグマみたいな言い方だな。

「アリルちゃん?
 あの……もうそろそろ放してくれないかな……?」

モゴモゴと口ごもりながら離れようとするシエラに
アリルはやさしくそっと話しかける。

「ごめんね、シエラちゃん。
 私あなたの気持ちなんて全然知らなくて……。
 本当にごめんね」

駄目だ、俺。
現実についていけない。
気持ちも何もシエラは感情を普段出さないからな。
そりゃ分からないでしょうな。
とにかくおさまったようでよかった。
シエラが泣くところなんて激レアものだったしこんな平和に終わるなんて願ったり叶ったりだ。

「シエラちゃんが家にいるときは波音君にベタベタしたらいいじゃない?
 その代わり学校とかでは私がベタベタするね?」

俺リア充だなぁ。
二股とか最低だな。
そして本当にみなさんすいません。
俺最低のリア充二股男です。
幸せの絶頂期のようです。

「?
 別にいい、大丈夫。
 泣いて何かすっきりしたから」

二股終了のお知らせ。
残念の極み。
男の夢はこうして一瞬で散りゆく運命だ。

「えっ?
 ほ、本当ですか?」

「うん。
 何かすっきりした。
 すっきりした」

強調するな。
 
「私殺されるかと思っちゃった。
 よかったー……私今生きてる。
 それにシエラちゃん可愛かった?」

「う、うるさい!
 それ以上言うなっ!」

びっくりするぐらい二人が仲良くなった。
アリルにからかわれてむっとしながらもまんざら悪い気はしないのだろう。
平和な証拠なのかもしれない。

「波音……ごめん。
 痛かったよな?」

ボーっとベットに座って壁の穴をのぞいている俺の顔をシエラの片手が撫でる。
頬の傷をゆっくりと舐めるように指先の緑の光で消していく。
正直痛かった。
その光景を見ていたアリルははっとしたように壁の穴とシエラを見比べる。

「えーと……?」

「……あ……ちょっと用事を………」

気の抜けたような声を発してシエラが部屋の外に逃げようとしたのを
アリルががっちりと捕まえた。

「波音君、ちょっと教えてください。
 シエラちゃんは一体何者なんですか?」

俺達全員に大きな動揺が走った。
ぐらっと足元が崩れたような感覚に陥り目をつぶる。
背中から汗が噴出す。
何でその可能性を示唆しなかったのか。
普通はそうやって疑問を持つに決まっているというのに――!

「人間じゃ……ないですよね?
 だってこんな風に壁を……」

文字通り蒸発した壁をゆっくりと指差す。

「壊せるなんて人間じゃないじゃないですか?」





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Re: タイトルなし

> アリルちゃんのさばさば加減すごくいいと思います!!(何
> その度胸と大胆さに乾杯でs(ry(ry

さばさばしてるのがいいのです。
ねちねちとねんちゃくなのはうざいだけなのです。

> 乱文失礼しました

乱文じゃないですよ
これからもコメお願いしますね←
#1100[2010/11/03 21:46]  ねみ  URL 

Re: タイトルなし

> アリルちゃん迫り方が男前過ぎます!(笑

女の子なんですけどね~w
でもこんな子もいいかなってw

> 本当にさばさばした修羅場でしたね…というかシエルが食われてる?!

ここにも間違える方が・・・
シエルじゃない

シエラだ!!

> やっぱりアリルちゃん強いですね…っ

波音の彼女なだけありますよ。
流石です。
#1099[2010/11/03 21:45]  ねみ  URL 

Re: タイトルなし

> アリルちゃん大胆……。

それだけが生きがいの女ですから←

> というか絶対ラスボスかその前段階の人だよこの娘!

え?
そう見えますか?
ふっふっふ~w

> 波音のグループの結束を破壊しようと破壊工作員やってるとしか思えないよわたしにゃ!(^^)

その発想はなかったっ!

> 女は怖いだよお~(縁はないけどな)

ないんかいっ!
#1098[2010/11/03 21:44]  ねみ  URL 

アリルちゃんのさばさば加減すごくいいと思います!!(何
その度胸と大胆さに乾杯でs(ry(ry

乱文失礼しました
#1097[2010/11/03 07:18]  くうしゃむ  URL 

アリルちゃん迫り方が男前過ぎます!(笑
本当にさばさばした修羅場でしたね…というかシエルが食われてる?!
やっぱりアリルちゃん強いですね…っ
#1096[2010/11/02 21:00]  歌  URL 

アリルちゃん大胆……。

というか絶対ラスボスかその前段階の人だよこの娘!

波音のグループの結束を破壊しようと破壊工作員やってるとしか思えないよわたしにゃ!(^^)

女は怖いだよお~(縁はないけどな)
#1095[2010/11/01 19:53]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]














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