Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第四八話

「いたたたた……」

駆逐艦の甲板に降りてきたシエラの右腕からはたたっと血が飛び散った。


「大丈夫か?」

「大丈夫すぐ治る。
 そんなことよりほら。
 何でミサイル爆発しなかったの?
 艦長に少しでも仇をとらそうとした僕がバカみたいじゃん。
 まぁ……」

シエラはメガデデスの腹に先端をめり込ませているミサイルを見上げた。

「大体予想はつくけどね」

あ?うん。
弾頭がオクトパスでした。
ずどんと敵の三十センチ砲弾が駆逐艦へと向かってきたようだがメイナのイージスで軽くあしらわれる。

「高性能RP25爆薬かとおもったら弾頭がオクトパスだったのさ。
 まったく予想外だよね。
 不謹慎ながら僕少し笑っちゃったよ」

もう頬にぱっくり開いていた傷が治りかけていたセズクがシエラに手を振りながら近づく。
艦長の肩が心なしか震えた気がした。

「っとそんなことより上の邪魔者を何とかしないと……。
 攻撃まだまだする気バシバシだよ?
 僕が何とかしたいけど……イージスが張れないからさ」

最後の言葉をつけたし苦笑いをするセズク。
モドキだもんな。
メガデデスの下部が光りドボンと左舷前方に小さな光が差し込む。
どうせ流れ弾の一種だろ。
そう思った俺が甘かったようだ。
次の瞬間落下地点から水柱が大きく膨れ上がり艦が右へと吹き飛ばされた。
大きく右に傾きそばにあったひしゃげた手すりを掴んで何とかこらえる。
甲板についていたいくつかの固定の弱いものは大きく弧を描き海へと落ちていった。

「なんって爆発だよ!」

「爆撃光だ。
 あたったらこんな艦ひとたまりもない」

シエラの冷静な声はあいからわずだ。
海面はうねりにうねって艦の傾斜がますますひどくなる。
大きく右に傾いた艦は慣性の法則により今度は左へと傾く。
再びしっかり手すりと掴んでこらえる俺。
もう毎回巻き込まれる戦いは常識が通じない相手ばかりだと。
最近そう思いはじめた。
水蒸気だった海水は雨になり艦橋やAGSを叩く。

《せっかくのチャンスだったというのに何をしている!
 バカ者が!!》

《すいません!すいません!!
 次は命中させれるようにします!!》

《次はないかもしれないだろうが!!
 今のが大きく勝負を分けたかもしれないというのに!!》

ミサイルの不発によりすこし敵は恐怖が消えたようだ。
一喜一憂する激しい軍人さんだな。

「とりあえずもうミサイルはあてにしない。
 僕が一人でこいつを叩き落す。
 ちょっと遊びすぎた」

遊びすぎたって……おいおい。
俺のツッコミが入る前にシエラはすごい風圧で艦長を吹き飛ばして空にいた。
ちゃっかりうらみ晴らしてやがる。

《ひゃぁっ!?
 また来ましたぁああ、も、もう嫌です!!》

《恐怖神め……。
 どちらにしろ我々はあの駆逐艦を沈めなければ帰還できないというのに……。
 忌々しい……。》

メガデデスのイージスにシエラのイージスがぶつかる。
強烈な光とともにいとも簡単にメガデデスのイージスは破れた。
さっきは駆逐艦に仲間の仇を取らせようとミサイルを命中させる穴を開けたシエラ。
一撃でもを艦長に報いさせるために攻撃を控えていたのだろう。
だがそのやさしさはもう―――ない。
一度失敗したこの艦にはもう二度と攻撃のチャンスをくれないだろう。
二度とな。

《イージス破損!!
 A10地区に融解反応発生!!
 ブリッジ!!応答してくれ!! 
 イージス破損!!
 シエラが……恐怖神が……》

今シエラがメガデデスのイージス内に入り込んだ所から爆発が発生した。

「すごい……」

海に降り注ぐ大きな破片――この駆逐艦の半分ほどある二連装砲が溶けながら海へと落下する。
そのままの形でまるで果物を包丁で切り取ったかのように。
メガデデスのイージスの内側にもぐりこんだシエラはメガデデスの
数え切れないほど残っているの武装――たとえばミサイル発射口や小型砲塔を破壊しはじめた。
メガデデス巨体のあちこちから火の手が上がり黒煙がたなびく。

《G20に被弾!
 装甲融解!》

《くそっ……ブリッジにも煙が流れ込んできやがったっ!!
 排煙装置は作動していないのか!?》

《F47の爆発の振動でショートしました!
 今応急処理班を向かわせています!!》

《駄目ですココは閉鎖します!!
 総員B18地区から退避しろ!!急げ!!》

メガデデス内はもう地獄のようになっているに違いない。
迫り来る火の手と煙。
逃げようにも上空千二百メートルの鋼鉄の棺桶の中。
火が止まらなければ体中を焼かれて死ぬのを待つだけとなる。
煙が出て行かなければ肺を詰まらせ窒息死。
考え付くだけでもこの二つの死があの棺桶の中で展開しているに違いない。
メガデデスはシエラを引き剥がすことに必死で下にいる駆逐艦にはもう目もくれない。

《被害は?》

《表面武装の被害は甚大です。
 上部下部砲台は何とか使用可能ですが……。
 右舷左舷ともに砲塔は全滅です》

《表面装甲解除。
 対空ミサイル、対艦ミサイル、ナパーム。
 何でも良い、なんとしてでもあいつを潰せ》

メガデデスの表面がざっくりと剥がれ数え切れない数のVLSが露出した。
その穴一つ一つから一メートル強のミサイルが流れ出しシエラへと進路を調節する。
砲台に気を取られていたシエラはそれに気がつくのに当然少し時間がかかる。
鼓膜に刺さる小さなロケットエンジンの音に振り向いたシエラは視界を覆う大量のミサイルを見ることにより
必然的に一瞬の隙が出来、そこに二十本はあろうかという鉄の矢が群がった。
空中に丸い爆炎を作り上げる。

「シエラ!」

俺は手すりをぎゅっと握り締め不安に胸を奪われる。
冷や汗が背中を伝い足が少し震える。
爆炎で出来た太陽の一部がもりあがり殻を突き破った
太いオレンジのレーザーがメガデデスを『貫通』した。
付きまとう炎を左手で吹き飛ばし額から流れ出る血をぬぐうシエラ。
その目は今までのほんのり暖かい目から完全に物を見る冷たい目になっていた。
光波共震砲というさっきシエラが説明していた『超空要塞戦艦』の武器。
それでメガデデスを攻撃するということはシエラが本気になったという事。
VS大艦隊の時以来見ていなかったオレンジ色の光が目に残る。

《光波共震砲!?
 くっ、ダメージコントロール!!
 被害知らせ!!》

《ナクナニアリアクターに損傷!
 予備の起動を開始します!》

無線で聞いていると確かに攻撃は効いているはずだ。
それも表面上でしかないのなら流石に凹むだろうなあいつ。
炎上しながらもすごい威圧感を放っているメガデデスの下部砲台四つが旋回しはじめた。

「……?」

メイナも無線に気を取られイージスを忘れている。
まずいと思った瞬間にはもう遅かった。

《吹き飛ばせ!》

ぴたりとこちらをみすえた十二門の砲口から火が噴出した。
黒い煙が風に沿って流れ音速以上のスピードで撃ち出された砲弾が衝撃波を伴いながらこちらへ疾走する。
それにメイナが気がついたときはもう遅くイージスが展開するよりも早く砲弾が駆逐艦へと達していた。
ケーキのスポンジのように艦首を抉り取りマストをへし折る。
約二十度ほどの角度で撃ち出された鉄塊は228ミリAGS砲台を吹き飛ばしレーダー板を掻っ攫う。
艦尾の申し訳ないように乗っていたヘリは爆発、火達磨になり海へ落ちた破片が音をたてる。

「艦首に被弾!
 浸水、艦首及び後部ヘリ甲板上で火災発生!!」

副長が震えている艦長に報告するとともに砲弾によって生じた衝撃波が甲板上の人を
木の葉が風に飛ばされるぐらい簡単に吹き飛ばした。
俺はがんばって持ちこたえた。
そうとてつもなくがんばったのだ。
実はメイナのイージスで守られていました。

「救護班、落ちた連中を引き上げろ!
 応急修理班は艦首の修理急げ!」

「メイナ、何をしている!?」

「ご、ごめん……。
 無線に気を取られてて……」

しゅんとしたメイナ。
やはり隙を作るということは人間の心を取り戻してきたという証なのか?
命中した所を見て来いと艦長に命令をもらった俺は他の乗組員と同様汗まみれ海水まみれになって走る。
艦首はきれいさっぱり無くなり俺のすぐ隣にあったAGS砲台は根こそぎ持っていかれていた。
浸水がはじまっているようでゴポポ……と海水が渦になって艦首から入り込んでいる。
心なしか少し傾斜がはじまった。

《敵艦に命中!
 しかし致命弾は……うわっ!?》

青い閃光が走りメガデデスの下部砲台の基盤が溶ける。
その上に載っていた三十センチ三連装砲は巨大な破片となり海面を掻き回した。
波が痛んだ艦首を打ち傾いてきた駆逐艦の右舷を洗う。

《くっ……恐怖神めっ……!
 シエラは無理でもせめてあの一隻は……
 あの一隻だけは沈めてやるっ――!
 対イージス貫通弾道レーザー用意!!》

なんとか無事だった下部砲台四つがすべて剥がれ落ちその巨体から火を吹き続けても
上空にとどまり攻撃を仕掛けてくる『円盤型超空巡洋戦艦メガデデス』。
第四超空制圧艦隊の元旗艦というだけあって防御力と継続力は半端じゃないようだ。
火の塊となっているというのになおその火の海となったメガデデスの上甲板を突き破って
レーザー砲塔の隠されていた部分が稼動する。

「浸水停止、排水装置起動を確認。 
 応急処理班よくやった。
 引き続き火災の鎮火に移ってくれ」

「艦長、メイナ、聞えていたか!?
 またあのレーザーが来るぞ!!!」

「あぁ聞えていた。
 全速前進の命令をかけてはいるが……。
 ここはメイナに頼るしか……」

「聞えてたよ!
 私一人のイージスじゃ無理かも……。
 シエラを呼び戻さないと……。 
 あいつら対イージス貫通弾道レーザーって言ってたし……。
 ど、どうしよう……。
 エネルギーによってはいけるかもしれないけど……」

水平線から太陽が顔をだし赤い光がメガデデスの影を濃く海面に落とす。

《これで最後だ!》

「メイナ!!」

俺は必死で叫んでいた。
あわあわしている最終兵器なんて見ていられない。

「無理!
 あのエネルギーだと私のイージスじゃ駄目!
 シエラが砲塔を破壊してくれるのを祈るしか……」

光が充填されていく音。
そして中央のレーザー砲塔に光が集まり顔を出した太陽を圧倒する光が発されている。
メイナからのパンソロジーメッセージを受け取ったシエラが発射を阻止しようと砲塔に張り付くが
全エネルギーをレーザーとイージスに傾けているようで薄い白という目に見えるほど
強烈な密度をしたイージスが砲塔を包んでおり手を出せない状況が続く。

「駄目だ!間に合わない!
 総員対ショック姿勢!!
 何かにつかまれ!!」

《我々とともに死ね!》

「メイナっ!!」

「無理だってば!」

俺ここで死ぬのかな。
艦内に入ったところでどうせ助からないだろう。
なら赤く染まった海を見ながら死ぬほうがいい。
もうちょい生きたかったな。
アリル――仁――あと沢山。
省略するなというつっこみ待ちのボケだ。
親父、母ちゃん、姉ちゃん。
今俺そっちへ行くかもしれない。
ふっと今まで聞えていたメガデデスの甲高いエンジン音が次第にゆるくなり……消えた。
まぶたを閉じていても突き抜けてくるほど強烈な光も何かにかき消されたように弱くなる。
唐突に海域に静けさが戻った。

「な……なんだ?
 何が起こったんだ?」

俺の声が海面をすべり波が船体を舐める水音が響く。

《な、何があった?
 レーザーは発射されたのか……?
 状況を知らせろ!》

何が起こったのか分からないのは敵も同じようだ。
俺とメイナは分けが分からないといった様子で顔を見合わせた。

《か、艦長……ミサイルが!
 あのミサイルが……電力をすべてカットして……》

「……あ」

――オクトパスだ。
ってことは……予想以上に艦長GJなんじゃ……。
後で謝らないといけないかもしれないな。
唖然としていたシエラも気を取り直しメガデデスのレーザー砲塔を破壊する作業に戻ったようだ。
鉄同士がこすれる嫌な音を響かせながら天に向かってそびえていたレーザー砲塔が傾いていく。
イージスもカットしたのかオクトパス。
蛸というコードネームがとてつもなく似合うミサイルだな。

《バカな!?
 この艦のエネルギーは光のはずだぞ!?》

《そ、それがあのミサイル……。
 今の技術で補ったところを正確に電線を延ばして電力を……。
 まるで蛇のように絡み付いていて……》

《だ、だがエンジンはついたままだぞ?》

《エンジンは別系統ですからですよ!
 今絡まっているのは武器系統へと電力を移すための電線です!》

《し、修復を急げ!!
 はやくしないと……うわっ!?》

折れた砲塔がメガデデスの上甲板に突き刺さる。

《連合郡本部へと連絡を入れろ!
 本艦は予定通り敵と接触破壊を試みる。
 しかしコードCに遭遇。
 被害甚大により戦域を離脱すると!》

《に、逃げるのですか艦長!?》

《今は命が大事だ。
 撤退するんだ!》

《し、しかし……》

セズクが電源を切ったのだろう。
ガーガーとうるさかった敵無線は聞えなくなった。
メガデデスはふらふらとわずかな力でしかもう浮いていないように思われた。
そこにシエラが止めを刺すかのように何度もレーザーを叩き込んでいる。

「対艦ミサイル用意!!
 亡くなった戦友のためにも一矢報いるぞ!」

煙突後部のVLSから白煙を吹き上げ放たれたミサイルはメガデデスが出している
紫色の光源――エンジンへと正確に突っ込んだ。
爆発、炎上。
絶対に勝てないと思われていたベルカ第四超空制圧艦隊旗艦『円盤型超空巡洋戦艦メガデデス』。
弾道レーザーを駆使して帝国郡の多くの艦艇を葬ってきたであろう死神。
その死神は体中から炎を吹き上げ今にも膝を屈しようとしていた。

「発射!!」

四機の鉄の矢がメガデデスへと飛翔し、爆薬の力で装甲を吹き飛ばしエンジン軸を捻じ曲げる。
レーザー砲塔を根元からへし折った爆発もありメガデデスの死期をさらに近づける。
攻撃は確実に効いている。
だが

「駄目だ、このままじゃ致命傷にはならない。
 内部から破壊するしか……」

流石は元旗艦なだけあり防御力は半端じゃないようだ。

「残弾は?」

「艦長、残念ながらゼロです」

唇を噛み締める艦長。
なぜあんなにミサイル、レーザーを食らって生きていられる?
俺達はいとも簡単に沈むというのになぜお前は沈まない?
アレだけ殺しておいてなぜ死なない。
俺には艦長の冷たい目がそういっているように見えた。
憎しみのあまりに自分を失っているようにも見える。

「艦長……」

落ち着いてと言おうと思って手を伸ばした。
最後の足掻きのようにふらふらと宙を漂うメガデデス。
シエラが強烈な一撃を食らわせようと光を溜め始めたその時
青くて太いレーザーが瀕死の死神の心臓を抉り取っていた。





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~ Comment ~


勇斗さんへ

専門用語・・・すいません。
読みにくかったですかね・・・。

VLSは垂直ミサイル発射装置と覚えていただければ・・・もう出ない可能性もありますがw
#1080[2010/10/24 11:44]  ねみ  URL 

ヘソさんへ

内容を気にしてくださいっ(泣

死に方っ!

内容のほうがっ!!
#1079[2010/10/24 11:43]  ねみ  URL 

お邪魔します。
なかなか訪問できず申し訳ありません;;

なんだか専門用語(?)的なものが次々に飛び出して着いていくのがやっとです汗
とりあえず波音くんが無事であることを願います。がんばってしがみつけ、波音くん!!
#1072[2010/10/13 22:49]  佐槻勇斗  URL 

できれば私は窒息死の方が……。
やっぱ焼かれて死ぬのは苦しそうです。
読みながら、艦内をワラワラ走り回る人を想像してしまって、内容より死に方が気になってしまいました(苦笑)
#1067[2010/10/10 01:27]  ヘソ子  URL  [Edit]

ポールさんへ

血が出ます。

血です、えぇ。

シエラも一応人間…というか生き物なので…
#1060[2010/10/08 16:33]  ねみ  URL 

シエラちゃん、傷ついたところから血が流れるのか……。

血に見えるけれどなにかの高エネルギーをもつ循環液で、血小板の働きをするマイクロマシンが中に溶け込んでいる、とかいう設定があったりするんですね、と深読みをしてしまうSFファンのなれの果て……(^^)
#1052[2010/10/04 17:51]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]














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