Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第四七話

レーザーに文字通り飲み込まれた駆逐艦は艦としての形をもう保っていなかった。
鋼鉄の泣き声を上げ船体に発生した亀裂は艦橋構造物などの重みに耐えきれずさらに亀裂の溝を広げる。
一隻の駆逐艦の船体は二つに折れ海に沈む以外に道は残っていなかった。


もう一隻の駆逐艦は艦橋が吹き飛んだことによりコントロールが乱れ
自分の構造物へ向けて速射砲は弾を吐き出した。
あっという間に火達磨になった構造物の内部にあったミサイルは
衝撃で誤作動を起こし弾頭の火薬に爆発の指示を促した。
二重に装甲を張っていたはずの甲板はあっけないほど簡単に炎の圧力に屈してひしゃげ
沸騰した海面へと破片を散らした。
次々にVLSに残っていたミサイルに引火していき火柱が容赦なく両舷の装甲を吹き飛ばし空へと立ち昇る。
四つにばらばらになった元駆逐艦も先ほどの駆逐艦と同じように
鋼鉄の悲鳴を上げながら海面に飛び込み何とか生きていた船員を道連れにして沈んでいく。
二分にも待たずに二隻の駆逐艦はこうして海上から姿を消した。
生存者は間違いなくゼロ。

「そ、そんな……」

へなへなと腰が砕けた艦長を尻目にシエラはキッとメガデデスを睨みつけた。
いつもは冷静な目にかすかな怒りの色が見える。

《よし、撃沈ですよ艦長!》

《ん……?愚か者め。
 一隻外したようだな。
 後三分でしとめられなければ酒の約束は取り消しだ》

《まぁ見ていてくださいよ。
 三分もあれば十分です。
 もう一度あのレーザーでなぎ払ってやりますよ》

再びレーザー砲塔に光が静かにだが確実にたまりはじめる。
シエラはがたがたと体を震わせ怯え続けている艦長に

「大丈夫、僕が守る」

一言、声をかけた。

「シ、シエラ!?
 無理だ!いくらお前でもあんな……」

泡を吹いて今にも卒倒しそうな顔色の艦長にメイナがつかつかと歩み寄る。
そして艦長を無理やり立たせて顔のまん前で呆れ顔で語った。

「艦長はお忘れなのですか?
 私達はベルカ世界連邦帝国の『最終兵器』
 あんな(ここでメイナはメガデデスを指差した)『通常超兵器』ごときに
 『最終兵器』が負けると……?」

メイナが怖い。
大きさなんてお前達の何百倍もあるんだぞ?
それに立ち向かうなんて……。

――無謀以外の何でもない気がするんだが。

そんなことないかもしれなけどさ。

「波音なら信じてくれるよな……?
 僕達が負けるわけないってこと」

俺をじっと見つめたシエラの目に宿っているのは強い意志。
俺達を守るという『攻撃』しか出来ないはずの最終兵器が見せた『守り』の意志。
そうか……。
俺は一体何を心配していたんだ。

《発射!!》

俺の目の前にいるのは最終兵器。
それも二体。
どう考えても負けるわけがないのだ。
もし負けてしまったりしたら最終兵器が廃るってもんだ。
そうだろう?

「行ってこい」

俺は笑顔でシエラの目を見返した。

「行ってきます」

シエラも俺が今まで見てきた中で最高の笑顔で答えてくれた。
サッ……とメガデデスから発射されたレーザーが空を青く染める。

「姉さん!」

「あいよっ!
 まかせなっ!」

間違いなく直撃コースで真上から一気に来るレーザー。
そしてレーザーが弾着するよりも早く駆逐艦全体を可視できるほど濃いイージスが覆った。
キィィと甲高い空気を切り裂く音を響かせながら接近してきたレーザーは
駆逐艦のマストの先で数え切れないほどの青い線に別れ海へ無残に降り注いだ。
艦の周りの海が沸騰して煮えくり爆発的に発生した水蒸気は海面を押し上げ
四十メートル以上もの雨の壁を駆逐艦の回りに発生させる。
甲板がびしょぬれになるほどすさまじい雨の壁はすぐに消え傷一つない無事な船体をメガデデスへ見せ付けた。
てめぇらの攻撃なんか効かねぇなぁ。
そう主張するかのように。

《何だと!?》

《あの駆逐艦……このレーザーを防ぐほど濃いイージスを……》

「艦長、メガデデスのクソッたれの真下にもぐりこむぞ!」

弾道レーザーを無力化した二人が乗っているということ。
このことをようやく確認できて安心した艦長。
駆逐艦は三八ノットでメガデデスの斜め下へと急速前進をかけた。
斜め下ならばあのレーザーが当たらないという暗黙の了解が出来ていた。
メガデデスはあのレーザーを撃つとしばらく動けないのだろうか。

《三十センチ砲用意……発射!》

空気を振るわせる音とともにメガデデスの三連装三十センチ砲の砲門から黒い噴煙が流れる。
一直線に駆逐艦へと向かってきたがあっけないほど簡単に軌道を湾曲され駆逐艦の
右舷八メートル地点に落下した。
一五センチ砲弾などが駆逐艦の前をさえぎるかのように鉄の雨を降らせるがすべてかすることすら出来ずに
深い水の壁へと突き刺さった。

《おい!下に回りこまれたぞ!》

《下部垂直砲台で応戦しろ!!
 あっちがイージスを持っているからなんだってんだ!
 イージスなら俺達も持ってるんだ!!》

「今から奴のイージスに穴をぶち開けるからミサイル叩き込んで。
 いい?」

雨霰の中伝えたいことを明確に短く伝えシエラは甲板を強く蹴り上げ鋼鉄の嵐を切り裂いて空へと舞い上がった。
メイナは甲板上に残って流れ弾の処理という比較的楽な仕事を選んだらしい。
あいからわずの面倒くさがり屋だ。
青い流れ星が駆逐艦から飛んできたのを見た兵士が無線にがなりたてているのか
大量の無線がスピーカーから漏れ出す。

《な、何だアレは――?》

《ん……なんだ?
 ――――ッ!?シエラだ!!
 決して奴をこの艦に近寄らせるな!!
 対空兵装各員へ!!何をしても構わんから絶対に奴を叩き落せ!!
 劣化ウラン弾を使用しても構わん!!》

のんきそうな声をした副長らしき人物の声が豹変した。
全艦放送であせりあせり指示を出す。
メガデデスは真下の駆逐艦など後回しにしてひたすらシエラへと何百、何千という銃口を向けた。
そして竜巻の前の霰のように激しく弾がシエラへと突っ込む。
それらはシエラの前でむなしく軌道を曲げ一発もシエラに損傷を与えることは出来ない。

「あいつら流石に光波系の武器は修復できなかったんだね。
 弾が金属なんだもん。
 ベルカには金属の弾を撃ち出す技術がなかったからね。
 ってことは上下についている三十センチ砲も弾は金属製か。
 さっきの弾も完璧に
 あいつらが手に入れることが出来たのはナクナニア光空機関だけのようね」

メイナが俺にみんなによく分からない説明を詳しく説明してくれた。
もしかしたら俺がバカで理解できないだけかも知れないけど。
おーけー、メイナのこの後ずらーっと続く説明を俺が簡単にまとめよう。
何度も説明されているかもしれないが念のためもう一度説明させてくれ。
ベルカには砲弾を作る技術がないらしい。
理由は至って簡単で砲弾よりも先にレーザーが出来てしまったためだ。
もともと国土全体に資源が少なく、特に鉄などは貴重品中の貴重品。
そんな物を武器として扱うなんてとても信じられなかったのだろう。
そこで旧ベルカ人は常に身の回りにあふれているものに目をつけた。
それがベルカの超光化学技術の生まれた理由だ。
光りにエネルギーを詰め込みそれを燃料などに使う。
そう考え周辺国などが石油などにエネルギーの主役が切り替わっていく中ベルカだけは光にこだわった。
二十年、三十年程の研究の後莫大なエネルギーを持った光を作り出すことに成功する。
その光はハイライトから出ていた紫色の光――ナクナニア超光。
ナクナニア超光を生み出したことにより超光化学が抱えていた何万もの問題……。
例えば温度の調整、エネルギーを含ませることが出来るか否か。
漏れてしまったとしても人体に有害なのか、無害なのか。
放射能をエネルギーとして作られようとしていた試作品の放射能光が持っていた問題。
それらがすべて解決に向かった。
どのようにして生み出したのかはよく分からないらしいがとにかく大革命だ。
菌一つも通さない完璧な警備の結果技術漏洩など一切問題にならず実用化まで持っていく事に成功した。
自国だけで完成させようやく得た『力』。
ナクナニア超光により今まで腐るほどあった成分から
鋼鉄をもしのぐほどしなやかなで強固な新しい金属を生み出すことにも成功した。
ナクナニア超光は万能光とも呼ばれるほど何にでも応用できた。
まさにチートのような神の光だった。
ここから先は言わなくても分かるだろう。
ベルカは世界帝国を築き世界中に蔓延していた戦争や飢餓などを根絶。
人種差別などは力を持って廃止し貧富の差すら無くした。
徹底的に管理された社会主義。
とにかくその時代だけは犯罪発生件数ゼロを記録するほど平和な時代だった――らしい。
旧ベルカ人のメイナが言うにはな。

《さっさと撃ち落せ!
 何をしているんだ!!》

《し、しかし伍長!
 早すぎて狙いが定まらなくて……!
 うわっ!?》

小さな爆発が起こりパラパラと鉄屑が降り注ぐがメイナのイージスによって弾かれ海面に小さな波紋を広げる。
先ほどよりも圧倒的に少なくなった対空気銃が発する光が目に入ってきた。
あれほどたくさんあった機銃のほとんどはシエラのレーザーの直撃を受け炎上していた。

《イージスを一瞬だけ破ってぶち込んできやがる!
 なんて奴だ、クソっ!!》

 《うわぁああっ!!!こっちに来るなぁあっ!!》

また一つ小さな爆発の炎が駆逐艦を照らす。
統制の取れていたメガデデスの対空機銃の嵐はばらばらにほぐれやがて沈黙へと向かっていた。
行動に支障が出なくなったのを確認したシエラはぴったりとメガデデスの下部に張り付いた。
そしてシエラは自分のイージスを見ることが出来るほど濃度を高めた。
メガデデスのイージスとシエラのイージスがぶつかり合い虹色の光が海域を照らす。
強烈な光がメガデデスを包んでいく。
――シエラは痛くないのだろうか?
そう思った俺は馬鹿だったようだ。
シエラはうっすらと笑みを浮かべていた。
殺気を身にまとい恐怖を振りまく。
余裕の表情でメガデデスのイージスの中に手を差し込んでいた。

《イージスが破られるぞ!
 出力を上げろ、何をしているんだ!》

《コレが限界ですよ!!》

《こちら第三艦橋!!
 も、もう駄目です、イージスが破られます!!》

目を直接刺しているような強い光が発生したかと思うと一瞬で光は消えた。
メガデデスとシエラのぶつかり合っていた部分のイージスはぽっかりと穴のが開いていて消滅していた。

「今よ!
 ミサイルを撃ち込んで!!」

メイナが艦長に大声で叫び艦長はほとんど反射のような速度で発射スイッチを押した。
VLSの口が開き艦対艦ミサイルが噴煙を吐き出し生き物のように鼓動する。
大量に発生した白煙を突き破り一つの火の槍がメガデデスへと上昇を開始した。
後部艦橋のそばにあるVLSから発射された艦対艦ミサイルは自分の持ちうる最高のスピードで目標へと向かう。

《総員、対ショック姿勢!!
 でかいのが来るぞ!!》

真上にあるメガデデスにのイージスの穴を飛び越え本体に火の槍の弾頭が突き刺さるまでそう時間はかからなかった。
信管を起動させ高性能の火薬がメガデデスの腹をえぐり白く染め上げる。
――はずだった。
しかしミサイルはガン!と火花をあげメガデデスのどてっ腹に突き刺さっただけだった。
爆発もせずただただ沈黙するのみ。
なんで……なんで爆発しないんだ……?

「しまった……」

艦長の顔色がさっと目に見えて分かるほど青くなった。
艦長あんた何を思い出したんだ。
なぜ爆発しないのかシエラも不思議に思っただろう。
それは敵も同じようだ。

《敵ミサイル本艦のV地区に命中……。
 し、しかし被害はゼロです!!》

《な、何はともあれ敵我々にチャンスをくれたようだ。
 今だ!奴を吹き飛ばせ!》

メガデデスの三十センチ砲弾は油断していたシエラの右腕を軽くえぐった。
ぎりぎりでイージスを張って防御に成功したのは良いものの右腕は既に機能停止寸前にまで追い込まれたようだ。

「……ちっ」

シエラが舌打ちしながらパンソロジーレーダーを全開にした。
右腕の鈍痛に耐えながらシエラが見た眼帯に投写された弾頭の中身……。
それは電子錯乱ミサイル――通称オクトパスだった。

「弾頭を取り替えるの……忘れてた……」

「艦長……」





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~ Comment ~


千鶴さんへ

お褒めにあずかり光栄です。
描写は特に難しいですががんばっておりますw

さてまた新しく書き始めるとしますよ。
#1038[2010/09/30 20:40]  ねみ  URL 

ヘソ子さんへ

ダメージコントロールとかもいいですよね。
大好きです、こういうの。

男って感じですよね。

まぁ対ショック姿勢と言ったということは
一撃くらうこと前提での話ですが・・・

船乗りからしたら一番聞きたくない言葉ですよ。
#1037[2010/09/30 20:39]  ねみ  URL 

勇斗さんへ

4867文字です。
がんばればそれぐらいいけます←
#1036[2010/09/30 20:38]  ねみ  URL 

ポールさんへ 最終兵器より

「えーっと僕が答えれば?」
「私が答えるわ。
 ポールさん、この理由は次話にしようと思っていたのだけ  れど質問されたから答えるわ」
「艦長に敵を討たせたかったのさ。
 一発だけでもいいからね」
「ただそれだけよ。
 まぁ現実は↑だったけどね」

こめんとありがとうございました。
#1035[2010/09/30 20:37]  最終兵器姉妹  URL 

迫力満点♪

こんばんは~♪

今回も迫力満点の戦闘シーンを見せていただきありがとうございました♪

躍動感のある描写はさすがネミエルさんだと感動しましたよ。無敵の『最終兵器』はやはりかっこいいですね(^^♪
この続きを読ませていただくのを楽しみにしております♪
#1033[2010/09/30 20:02]  三宅千鶴  URL 

『対ショック姿勢』
私この響きが大好きです。
なんでか知らんけど、戦う男性の緊張感と頑張ってる感が滲み出てる気がしません?
いい言葉ですよね~。
#1030[2010/09/30 00:02]  ヘソ子  URL  [Edit]

これだけの内容をほんの一時間足らずで書いているのですか……??
ひえぇ…!!(゚Д゚|||ノ)ノ

もっと頑張ろうって思います。
続き、頑張ってください。
#1026[2010/09/28 22:50]  佐槻勇斗  URL 

敵と戦うのに、頼りにならん他人の手を借りねばならんとは最終兵器の名が泣く、と思うんですけど。


どう弁明しますかシエラさんメイナさん。
#1022[2010/09/27 13:14]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]














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