Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第四六話

「レルバルには突っ込まないぞ。
 とりあえず何があった?」

「………………?突っ込む?
 まぁいい。
 何があったかは今から説明する。
 とりあえず俺について来い」

俺の名前――というか本名をまったく知らないとのたもうた兵士は
死臭が漂う艦内の狭い廊下をかつかつ進んでいく。


今までこの駆逐艦の甲板や艦橋の一部を舐めていた炎はとっくのとうにシエラ達が吹き消し
艦内は重傷者でむせ返るような臭いになっていた。
さっき言った死臭という言葉がまさしくぴったりな、鼻腔にこびりつく死の臭いだ。
その重傷者のあるものは腹に鉄板をくいこませまたあるものは爆風でひしゃげた鉄に
体のどこかを押しつぶされていたりととにかくグロテスク。
その苦しんでいる重傷者を緑色の目にもやさしい光がみるみるうちに傷を修復していく。
重傷は軽症に変わり軽症は無傷へと症状がどんどん緩和される。
あの光――あの光は俺がハイライトで左腕をもぎ取られた傷を治すために
破壊の象徴である最終兵器がちらりと垣間見せた和みの光だ。
破壊しか出来ないはずの兵器に少しだけ与えられた治癒の力。

「シエラ、メイナ!
 状況を説明する、早く来てくれ!」

「はいはい」

「今行く」

最後の一人の重傷者の腹に食い込んだ破片をずるりと引き抜き治癒の光を出す。
ごぷごぷとあふれ出ていた血は止まり内部組織が回復され皮膚が再生する。

「あ、ありがとう……」

元重傷者がシエラにお礼を言う。
その元重傷者ににっこりと笑いかけた後二人は俺へと歩いてきた。
そのまませまっ苦しいミーティングルームに入る。

「波音!
 僕だよ、セズクだよ!」

ちっ生きていたのか。
死んでくれていたのかと思っていたんだが。
神様はやっぱりこいつが天国にくるのは嫌ですか。
閻魔大王もこいつが地獄にくるのは嫌ですか。
嫌ですよね、そうですよね。
てっきり死んでいたと思っていたんだが生きていやがったぜ、ちっ。
心に毒づきながら照明下のセズクの顔を見てはっと息を呑んだ。
生々しい傷跡が頬にぱっくりと口を開いていたのだ。
よく分からない液体が滲み出していてライトの光でテラテラと光っている。

「セズク……頬……」

「ん、大丈夫だよ、これぐらい。
 愛があればなんとでもなる。
 それよりこれを」

俺は愛を注がないけどな。
そう思いながらセズクが俺ににょっと突き出した物を受け取る。
結構大きい新しい形の円柱型のメモリーチップか。
なるほどなかなかにいい発想だ。
あ、円柱の中に入ってるのかなんだよそれ。
どうでも良いけど昔の呼び名の『超光学記憶媒体』でも別に良いんだ。
でも正直メモリーチップの方が言いやすい。
ただそれだけの理由です、はい。

「約束のメモリーチップだよ。
 帝国郡がこの大艦隊を使って連合郡の研究施設からようやく盗み出したものだ。
 表面上の目的は連合郡艦隊の殲滅だが本来はこっちが狙いだ。
 連合郡をだまし警備が手薄な港に上陸して盗み去った。
 まぁ僕がいたから案の定うまくいったんだけどね♪
 ついでに言うとそこでレーザー戦艦もゲットしたんだ。
 そして鬼灯財閥にとどけるためここまでわざわざ来たらしいんだけど……」

セズクは両腕を上げやれやれといった顔をした。

「どこから情報が漏れていたのか突如意味の分からない霧が現れてね……。
 三十分ほど前のことさ。
 流石の僕でさえ武者震いするような危険な香りがする何かが……」

「ココからは私が説明します」

「おいおい僕の出番をこれ以上さえぎらないでほし……」

「私が説明します」

「………………出番……」

さっき知ったんだがこの艦を案内してくれた若い兵士は艦長だった。
だからあんなに上から目線だったんだな、勝手に納得できるぜ。

「……とは言ったものの……
 アレは私達にもまったく意味の分からないものでして……」

艦長は弱った弱ったという顔をして帽子をぱたぱたしながら目を伏せる。

「ならやっぱり僕が説明す……」

「我々の旗艦のレーザー戦艦――パナミスが放ったレーザーや
 速射砲弾、AGS砲弾、ミサイルまでもが軌道を逸らされ外れたという時点でこの兵器は
 イージスの類を搭載していると考えられます。
 形すら分からないものでして……探照灯をつけて空を照らしたのはいいものの……
 次の瞬間には我々は今まで見たことがない攻撃を受けました。
 レーザーのような青い光が空から降ってきたかと思うと……
 当たったところから艦が溶けていって……。
 それと同時に敵の空中兵装下についていた巨大な砲台らしきものから閃光がほとばしって……
 気がついたらアレだけいた我の艦を含める三隻しか残っていませんでした。
 この艦隊は 戦艦二、レーザー戦艦一、空母三、巡洋艦八、駆逐艦二三で
 構成されていた大艦隊のはずだったのに……」

艦長は唇を噛み拳をぎゅっと握り締めていた。
二十代後半にも見えるほど若い艦長からしたら自分の所属している大艦隊が
一瞬のうちに壊滅してしまったのがくやしくてくやしくて仕方がないのだろう。
あの時おびえて何一つ出来なかった自分を責めているのかもしれない。
でも一つだけ言っておきたい。
俺の隣にいるお方はこの元艦隊よりも大艦隊を一人で潰してました(´д`;)←今の俺の顔はこんな感じ。

「で俺はどうすればいいわけ?」

空気の流れをぶった切るように俺はセズクに尋ねた。
こんなしみったらしい負の空気になっていたら勝てるものも勝てないだろ。
まってました僕の出番と言うような顔をしたセズク。

「波音はコレを持ち帰って鬼灯のおっさんに渡して欲しい。 
 これでまた大きく研究が進歩するだろうから。
 さ、こんな危ないところからは一刻も早く逃げるんだ」

「ちょっと待ってくれ。
 研究?
 ベルカの研究を鬼灯のおっさんがしてるんだ……よな。
 そうだよな、うん。
 今まで沢山盗ってこさせたもんな……」

「研究内容はそのうち分かるときが来る。
 さ、波音はやくココを離れるんだ。
 あいつがいつ戻ってくるのか分からないだろう?」

ね?と俺の心配をしている場合ではないというのにこいつは……。
そんなセズクの言葉をさえぎるように甲高いエンジン音が艦をふるわせた。
セズクのやさしい顔がきっと引き締まり殺意のこもった兵器の目になる。
艦長の顔はセズクとは逆に青ざめあわててブリッジへと駆け出していった。
ブザーが鳴り重体の駆逐艦に過酷な戦闘配備命令がかかる。
止まっていたガスタービンが息を噴出し駆逐艦が波を切ってうねる水上を滑り出す。

「奴だ……っ」

セズクがミーティングルームから飛び出し甲板に向かった。
当然俺達も続く。
扉を抜け、重症者を飛び越え甲板に飛び出た俺達の目に飛び込んできたのは
真っ黒なペイントで機体下部から赤い光を出している特異な物体だった。
うっすらと靄がかかり視界はかなり悪いが見えないわけではない。
真っ黒なペイント&探照灯が何とか照らしているおかげでむしろくっきり見える。
ぱっと見て大きさはこの駆逐艦の約二倍強ほどあり巨大な質量を持っていることは間違いないだろう。
うっすら夜明けの気配を見せ始めた空はその真っ黒な機体をさらにはっきりと浮かび上がらせている。
下部にはびっしりと剣山のように砲台が付いていて所々から赤い光が海面へと落ちていた。
完璧に三隻程度の駆逐艦では勝てないと直感ですら分かるほど威圧的だ。
巨体が鳥でも飛ぶかのように優雅に旋回する。
まるで俺達という虫けらを狙っている隼のように。
赤い光が何度も駆逐艦に当たっているがどうやら害はないようだ。
物凄い風が赤い光から出ており海面が白く泡立っている。
必然的に高くなった波を俺は体中に被ることになるのだがそんなことはどうでもよかった。
目の前にある圧倒的な力を持つであろう兵器に目が釘付けだった。
一隻に十門――合計三十門の自動照準の機関砲の火柱が飛行物体を目指して飛翔する。
が、当たるというところで九十度向きを変え空へとむなしく消えていく。
艦対空ミサイルが白煙を吹き上げセルから飛び出す。
炎が赤い線となり飛行物体へと飛び掛るがそれすら機銃と同じ末路をたどった。

「まさか……この兵器……」

メイナが気象すら操りかねないこの巨大な兵器を見て呟く。 

「間違いない。
 ベルカ帝国第四超空制圧艦隊旗艦……。
 死角のない艦を目指して作られた『円盤型超空巡洋戦艦メガデデス』――!
 なぜこの時代に……?」

「シエラ、知っているのか?」

俺は上から吹き降ろしてくる風で今にも吹き飛ばされそうなのを踏ん張りながら
風に長い黒希銀髪を遊ばせているシエラに話しかける。
シエラは赤紫の目でメガデデスを眼帯をしていないほうの目でにらみつけていた。

「アレはベルカ帝国第四超空制圧艦隊の元旗艦。
 ベルカ第一超空制圧艦隊旗艦『超空要塞戦艦ネメシエル』
 第二超空制圧艦隊旗艦『超空城砦戦艦ルフトハナムリエル』
 第三超空制圧艦隊旗艦『超空突撃戦艦ヴォルニーエル』
 そして第四超空制圧艦隊の旗艦『円盤型超空巡洋戦艦メガデデス』
 まだまだ続くけどこれらは旧ベルカ軍最強の部隊だ。
 第一から第二三まであった。
 これらの艦隊は敵地の真っ只中に飛び込み被弾を気にせずに相手を攻撃。
 沈黙させた後地上部隊や海上部隊などが雑魚の掃除。
 簡単にまとめればこの艦隊は『被弾を気にせず敵のど真ん中に切り込み中から敵を潰す』
 こうやって小国で技術力しかなかったベルカは世界を支配するまでにいたったんだ。
 そして今の連合郡が反乱を起こしたときにすべてベルカの秘密地下超兵器庫へと
 自動装置によりそれぞればらばらに封印されたはず……。
 それが発見されたというのか……?」

再び赤い線になったミサイルがメガデデスへと飛び掛るが
見えない壁に阻まれ九十度の方向転換を余儀なくされ遠くで海へと役目を果たすことなく落ちる道をたどる。
後ろでなにやらラジカセのようなものをいじっていたセズクが唐突に叫ぶ。

「敵の無線の盗聴に成功したぞ!」

「よくやった、セズク!」

敵の無線を傍受すると次に敵がどんな攻撃を仕掛けてくるのかが分かるはずだ。
ラジカセにも似た傍受機のスピーカーから敵――メガデデス内の無線が漂ってきた。

《おい、たった三隻の雑魚のために俺達はまたここへ来させられたんじゃねぇだろうな?》

《まぁそういうな。
 さくっと終わらせて今夜は艦長のおごりで一杯やろうや》

《こちら艦長、五分以内にこの戦いを終わらせる事が出来たら酒でも何でもおごってやる。
 一人五万までの予算はあるからな。
 さぁ行くぞ、あ、そうそう。
 アシュレール、また調子に乗って頭を打つなよ》

《打ちませんよ!》

……これが余裕という奴か。
俺達とメガデデスの艦内の空気は百八十度違うな。

《さぁはじめるか。
 弾道レーザーの砲門開け!
 一撃で吹き飛ばして帰るぞ!》

上で旋回していた円盤は三隻のとても艦隊とはいえない貧弱な艦隊の前に
甲高いエンジン音をばら撒きながら移動してそこで静止した。
すかさず百五十二ミリ速射砲と二百八十ミリAGSが咆哮するがそれらはメガデデスに当たることなく
むなしく水面に水柱を作っただけに終わる。

《レーザー砲塔一から四を起動しろ。
 フルパワーで消し飛ばすぞ》

朝五時の薄暗闇の中、重低音を響かせたメガデデス。
そのメガデデスの上から四本のレーザー砲塔が真ん中の一番大きな砲塔を囲むようにして生えてきた。
そのそれぞれのレーザー砲塔に青い光がたまりはじめ次第に強さを増す。 

「まさか、弾道レーザーを本気で放つっていうの!?
 危ない!よけて!!」

《五……四……第一砲塔に光学エネルギー移動を完了。
 第一砲塔からブリッジへ、いつでも発射可能です》

真ん中からすっくと空へ伸びている一番大きな砲塔が周りの四本から受け取ったエネルギーで
直視できないほど明るく光りなおエネルギーをためる気なのか輝きが増す。
太陽のようなやさしい光ではなくあの光は殺気がこもった本気の光……。

《発射だ!
 あの雑魚どもをけちらしてしまえ!》

ズガ!と大気を震わせ発射の爆風でかなり離れているはずなのに艦橋のマストがギシギシときしむ。
何人もの人が吹き飛ばされそうになり甲板にしゃがんだ。
風でワイヤーの一本が千切れ、甲板の鉄板が曲がる。
青い光が空へ消えたとたん風は止みもとの静けさが海域に戻ってきた。

「…………?」

俺は立ち上がると辺りを見渡した。
弾道レーザーとか言っていたが案外たいしたことないのかもしれない。
雲とかによって綺麗にさえぎられたのかも。
あれだけ大きなモーションをしていながら無効だったりしたら笑える。
そして二十秒ほどたったときだろうか。

「来る!!
 みんな伏せて!!!」

「は……?
 何を言って……」

何もないというのに伏せるのが信じられないといったセズクはシエラに疑いの目を向けた。
そして何もないぜ?と主張するかのように両腕を広げた瞬間空が激しく光り
図太いレーザーが海を叩き割りながら移動しこの駆逐艦以外の二隻を一瞬でなぎ払った。





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~ Comment ~


千鶴さんへ ねみ

ありがとうございます。
バトルシーンは久しぶりなので
がんばって書いていきたいと思います。
引き続きがんばります!
#1010[2010/09/22 22:24]  ねみ  URL 

へそ子さんへ ねみ

wwww
勝手にww略しましたねwww

何してるんですかwww
たて読みの暗号・・・?

ネルヴメ?
かっけぇっじゃないですか!
#1009[2010/09/22 22:23]  ねみ  URL 

迫力でしたね♪

こんばんは~♪

さっそく読みに来させていただきました♪

久しぶりに緊迫感のある戦闘シーンに痺れましたよ。もちろん、波音くんとセズクの愛の会話にも(笑)

手に汗握る展開ですね。
次回の更新を楽しみにお待ちしております☆
#1008[2010/09/22 19:33]  三宅千鶴  URL 

1から23まではもとより、艦隊の名前を覚えられないので勝手に略していいですか?
一艦『空ネ』
二艦『空ル』
三艦『空ヴ』
四艦『円メ』
なんか縦読みの暗号みたくなってしまいました。
ガーン。
#1005[2010/09/21 01:38]  へそ子  URL  [Edit]














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