Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第四二話

「……であるから柿納言は……」

桐梨の社会の授業はつまらない。


「皇太子レベルの人がどんどんつぶされていくわけだ。
 一方で高村家の一族の力はどんどん……」

平常時代の幕開けね。
そんな昔のことを勉強して何になるのかという疑問が無いわけでもないが
やらねばならない教科なのでいやいや受ける。
慣れてくると桐梨の流れるように流暢(皮肉)なしゃべり方はなかなか良い子守唄になるのだ。
十時四十五分という中途半端な時間とはいえクーラーが効いた部屋で
子守唄なんかを効いていたらどんな奴でも眠くなるのがオチだろう。
窓の外を見ながらあくびを一つ二つ。
机から頬を引っぺがし教室を見渡すと既に五、六人が轟沈していた。
最終兵器姉妹はなにやら嬉しそうに桐梨の授業に食い入るように聞いている。

「何でそんなに真剣なんだよ。
 超つまらねぇじゃねぇかよ」

とてつもなく暇なのでひそひそ声で桐梨にばれないようにシエラに話しかける。

「僕たちが眠っているうちに起こっていたことを知るというのは面白い。
 波音の生まれた国はこんな歴史をたどったんだなって」

興味の嵐というわけか、要するに。
出来るなら俺の分も一緒に受けてくれないか。

「そして平常時代になり、坂之上棚山田武蔵谷が……」

名前長い、そしてやってられねぇほどつまらねぇ。
この子守唄何とかならないのか本当に。
パラパラと資料集を眺め続けて二十五分。
平常時代のことが次から次へと語られていく。
貴族の反乱だのどうのこうの。
俺も魚雷をくらって轟沈しそうになった時ようやく休み時間になり苦痛から開放された。

「波音、おはよー」

詩乃だ。
俺は寝てない。
軽く手を上げて挨拶を交す。

「久しぶりー!」

背中を叩かれ振り返ると遼や彗人兄さんがにこやかに笑って立っていた。
お久しぶりですみなさん。
出来れば朝そういうのはお願いします。
遅れて来たのは悪かったと思うけど。

「あいからわず家の仕事とはいえよく休むよな。
 たまにはこないと留年しちまうぞ?」

冬蝉が俺の鼻をぷにぷに押しながら言う。
やめい。
鬼灯のおっさんは俺が長い間学校を留守にする理由もちゃんと言ってくれているようだ。
そうでないと冗談にならないほど休んでいるからな。
テスト?
そんなの知りませんよ、はっはっは。
大学に行く気はさらさらないし、まず行けないだろう。
私立鬼灯学院大学におっさんが入れてくれるとは言っているが
日本の五本の指に入る賢い私立大学に俺みたいな馬鹿が行ったところで何にもならないだろう。
逆に怪しまれたりするんじゃないか、大学の教授に。
コネ使ったとかそんな感じで。
とにかく俺は鬼灯のおっさんのために働ければそれでいい。

「次なんだっけ?」

「数学」

「げぇ、嵩場かよ」

数学は俺の中では最悪の教科としてギネスに登録されている。
嵩場は何を言っているのか分からないし。
ってかまず数学の存在意義が知りたい。
日常で三角関数なんか使う機会来るのかよ。
はい、チャイム。
俺の苦しむ五十分がまたはじまった。
終わったら飯の時間だ……。
がんばれ俺。
負けるな俺。
そして十分ほどたつと俺の意識は遠い彼方へと飛んでいってしまった。
目が覚めると既に昼休みだった。
苦痛の数学が終わっていたため気分は一気にハイ状態。
体を動かすと長時間同じ姿勢を維持していた関節がギシギシ痛む。

「起きたんですか?」

にゅっと俺の視界に入ってきたアリルは

「もう少し眠っていてもよかったのに……」

と残念そうに付け加えた。

「ん……いや、もういい。
 寝すぎた感がさいやめないからな。
 それはそうと飯?飯の時間?」

俺の問いに何か必死になりながらうなずいて教えてくれるアリル。
何だ、何必死になってるんだ。
まさか俺の後ろで仁が「鬼ー」とか言って指を立てているんじゃあるまいな?

「ちょえー」

やる気なしという気配を全面に押し出して後ろに腕を振るが
俺の豪腕はむなしく宙を切り再び元の場所へと戻ってきた。
誰もいない……だと?

「いえ、気になさらないでください」

気になるような言い方でアリルは俺の前からそそくさと逃げ出した。
頭の上に?を浮かべながら便所で手を洗い飯を楽しみにながら教室に帰るときにある鏡を見る。
そしてすべてを理解した。
なんてありきたりないたずらをしやがるんだ。
やるほうはいいがやられるほうの気持ちにもなってみろと言いたいいたずらだ。
顔に落書きしやがってあいつらめ……。
教室に全身にゆらりと怒りをためて入るとすでにあいつらの姿はなかった。
逃げ足だけは速いらしい。
逃げるということはつまりやましいことをしたという自覚があるということだ。
心で笑いながら手洗い場で顔をひたすらこする。
ごしごしごし……。
――とれねぇ。
まさかあいつら油性つかったんじゃないだろうな。
ティッシュにアルコールをしみこませもう一度顔を拭く。
おぉ、と、取れる!!取れるぞ!!
妙に変なテンションをさっきから維持しながら復讐の算段を練る。
許さない絶対だ。
アルコール付きティッシュをゴミ箱にすて顔に嘘の笑いを貼り付けながら教室に戻る。
そこには奴らが戻ってきていた。

「おいおせーぞ、波音。
 さっさと飯食おうぜ!」

仁がちゃらちゃらした態度で俺に絡んでくる。おいこらてめぇ。
偽笑顔で右手には弁当を、左手には気づかれないようにマジックを握り締め
弁当を持ち立っている容疑者達に近づく。

「マジック取れた?」

そう聞いてくれる心優しい人以外をターゲットに納める。
みんなが弁当を食べようと席に座る直前に俺は復讐を開始した。
左手のマジックのキャップを親指で弾き飛ばし
唖然としている仁の額に定番の『肉』と。
詩乃の頬には『きょぬー』と。
彗人兄さんを華麗によけ冬蝉の顔に『猫背』と。
そして遼の顔に『PC男』と。
おびえるアリルはけっこう可愛かったので除外、右にの机の隙間へ跳ぶ。
そしてさっきの場所から二メートルほど離れた場所に俺は綺麗に着地した。
一瞬の間に自分の顔に文字を書かれ静まり返る一同。
何が起こったのか理解できなかったんだろうな。

「い、今どうやってやったんだ!?
 見えなかったぞ、そして俺にも教えてくれ!」

いち早く自分を取り戻した遼が顔の文字を気にせず俺に詰め寄る。
その目は好奇心というより下心であふれていて――。
絶対お前に教えたら女子の胸をもんだりするだろうから絶対教えない。

「まぁ水性だからな。
 水で洗えば取れるさ。
 ここの誰かさんとちがって油性じゃないから安心することだ」

床に落ちていたキャップをマジックにかぶせ筆箱へ放り投げる。
右手の弁当を俺の席に放り投げるが机の上ですべり無残に落下。
ミスった、百パーセントぐちゃぐちゃになったな。
俺の席はクーラーの風がジャストで当たる良い場所になっていて
昼休みや休み時間はいつも誰かに占領されるという悲しい歴史を持っている。
俺がトイレに行っている間に取られるからさらに性質が悪い。
今日は机の上に『座るな、危険、禿げるしはじき飛ぶ』と書いた紙を貼っておいたせいか
誰も座っていなかったので久しぶりの自分の席での弁当になるわけだ。

「さって、食べようぜ」

弁当の蓋を開ける。
ハートマークがピンクの何かで形作られており、その下に俺の顔を模したのであろうおにぎりが入っていた。
急いで蓋を閉める。
コレを作ってくれたの誰だと思う?
アリルだとほほえましい。
だが答えはセズクなんだぜ?
一人称が違うだけでココまでまがまがしくなるものなのか。
手紙が袋の中に入っていた。



いとしのマイハニーへ。
お弁当を作ってみたけどどうだい?
おいしそうだろう?
満足してもらえそうなボリュームをつめておいたんだ。
このハートは僕の愛を



「ふんっ!」

手紙を途中で破り捨てて再び蓋を開ける。
まぁうまけりゃなんでも良いんだけどな。 
綺麗、可愛い!というよりきもい。
そして色がおかしい怖い。
ピンクのごはんってなんですか?
ものすごい着色料が使ってあるような気がしてならないのだ。
体に悪そうとかそんな問題じゃない。

「かわいい!」

後ろから大きな声が鼓膜を突き破る。
顔を洗ってさっぱりした顔をしている詩乃だった。
俺の弁当を掻っ攫ったかと思うとどこかへ持っていく。
いや、取るなよ、返せよ。
別にいらないんだけど昼飯なんだけど……。
女子の所を巡り歩いた結果、弁当の中には何も残っていなかった。
一人一品とかそんな感じで減っていったのだろう。
お、俺の弁当……。





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~ Comment ~


セズクの愛かぁ~!!
料理の腕やら家事については、一家に一台欲しい存在です。
しかし、セズクですからね、油断は禁物です。
弁当に変なジャムとかかかっていたりしなかったか心配です(笑)
額に肉もいいけど、額に犬もいいですよね!
大に点をつけて犬。
屈辱的です、はい(苦笑)
#896[2010/08/11 00:22]  ヘソ子  URL  [Edit]

ピンクのごはんって桜でんぶですよねセズクかわいいな笑
でもあれって単体で食べると美味しいけど、ご飯と一緒だとそれほどな感じも・・・…ヾ(Д`;A)
#892[2010/08/09 21:59]  佐槻勇斗  URL 

セズクの愛が・・・(笑)

こんにちは~♪

波音くんのマジック反撃、なかなか見どころがありましたねぇ。さすがは怪盗!お見事な手さばきでした!

セズクの愛のお弁当・・・さすがです(笑)
波音くんも食わず嫌いせず、もうそろそろその愛を試食してみたらやみつきになるかもですよ(笑)
#884[2010/08/05 17:16]  三宅千鶴  URL 

おおおお弁当がー!←
アリルちゃんだったらとっても可愛らしいですのにww
というかさすが波音くん、マジック書きも華麗なんですね!((
#882[2010/08/04 22:47]  歌  URL 

キン肉マンは偉大ですなやはり……。
#880[2010/08/04 12:05]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]














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