Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第四一話

学校へとひたすら走る。
空はからっと晴れていて青く遠くまで見渡せるほど澄んでいた。


気持ちのよい朝である、誰が見ても。
――時間がやばくなければな。

「うあぁぁー!!
 思いっきり遅刻してるよ!!」

「出るの遅かったんだもん。
 仕方ないっちゃ仕方ないよね」

俺の右に並んで走っているメイナがそう言う。

「そもそも波音がのんびり寝ていたからだろう?
 自業自得とはまさにこのことだな」

俺の左に並んで走っているシエラがさらに追い討ちをかける。

「わかってる、わかってるよ。
 でもなぁ、睡眠ってのはとっても大事な物なんだよ。
 人間……そう世界にそして俺にとってもだ!」

ここでぴょんと寝そべっている猫を飛び越える。
おはよう猫ちゃん。
さらに坂道に差し掛かりスピードが急激に上がる。
もう誰にも停められないぜ。
気分はもう暴走族。

「じゃ、僕たちは先に行ってる。
 のんびりと波音は追いかけてきてくれ」

シエラとメイナは二人そろって俺にじゃ!と軽く挨拶をするとぐっと脚に力を入れたようだ。
今までのんびり走っていたというのか……?
ヒュッと空気を切る音と共に二人はあっという間に見えなくなる。

「あ!おい、こら、ちょ!!
 俺!!俺も引っ張れよ!おい!!」

俺のはるか前を二人の希黒銀髪が駆けて行く。
おっさんの新聞を吹き飛ばし、花の花弁が風に引きちぎられくるくると舞う。

「どんだけ速いんだよ、ちくしょう」

もしかしてあの二人、一瞬だけ最終兵器としての力使ったんじゃあるまいか。
そして五分たった通学路の上には暑さのおかげでぐだぐだにやられた俺がいた。

「はぁ……はぁ……
 ちくしょー、あちぃーー」

太陽め、もう少し休んでもいいだろうが……。
もうどうせ走っても間に合わないのであきらめようと遠くに見える校門に目を向けた。
そのとき見てしまった。
まだオープン状態の校門を。
そして閉めようと桐梨の野朗が門に手をかけている。
ココから校門まで約四百メートル。
校門が閉じるまで後一分弱。
……行けるか?
いや、やるしかない。
頭の中でぱっと思いついた計算式で行くしかないという答えをはじき出す。
位置について……よーい、ドン!

《歩行者信号が赤になりました。
 歩行者は渡るのを止め……》

無視。
一気に歩道を渡りきる。

「すいません、ちょっとどいてください!」

声を出しながら目の前をさえぎる人に声をかけ、道を開けてもらう。
さっき新聞をとばされたおっさんの新聞を再び吹き飛ばし花を散らす。
おっさんすいません、ご迷惑かけます。
校門まで後五十メートル。
心なしか桐梨が俺のほうを見てにやりと笑ったようだ。
いや心なしじゃない。
確実に俺を見て笑いやがった。
それを証拠に見ろ、校門が閉まっていく。
あの野朗、俺を遅刻扱いにする気か!

「はい、永久遅刻……っ!?
 な、なんだと……?」

「ざ、残念……でした。
 はぁ、はぁ、ま、まだ校門は完全に閉まってませ…んよ?」

俺の右足が鉄の門と石柱との隙間に挟まっていた。
正直かなり痛い。
だが今はそんなことを言っている暇ではない。
かろうじて開いている隙間に両手をねじ込み力を入れてこじ開けようとする。
だが桐梨もアホではなかった。
俺を入れまいと力を入れて校門を閉めようとする。
この野朗はそこまでして俺を遅刻扱いにしたいというのか?

「く……この……」

「は、はは……せ、先生。
 そ、それは少しやらしくないですか……?
 人間として……」

「ち、遅刻は……
 遅刻だろう……がっ!!」

「くっ…で、でも、足と手は……
 こうして入っているわけですしっ……」

「だめ……だっ!
 ほら、いい加減にあきらめ……ろよ!」

「い、いやで……すよ!」

俺と桐梨との間で朝っぱらから熱いバトルが展開される。
負けるわけにはいかない。
もし負けると親を呼ばれフレンドリーペーパーというなんとも嫌な物をゲットしてしまうからだ。
フレンドリーペーパーとは説明するのもおぞましいが一応説明しておこう。
この紙をもらうと生徒指導部や清掃部などから呼び込まれお手伝いをすることによりはんこを押してもらう。
全部で三十個たまると遅刻が一つ取り消しになるという紙だ。
遅刻が取り消しになるとはいえ割に合わない仕事ばかりさせられるらしい。
絶対にいらない。
この紙だけは絶対にゲットしてはならない。

「う……おらぁっ!」

「く……せ、先生……っ!
 いいかげんにッ……!
 あきらめたら……くっ!!
 どうなんですか!?」

くっそ、なんて力だ桐梨の野朗。
新学期早々遅刻してフレンドリーペーパーもらってたまるかってぇの!

「あっ!シャツ出し!!」

「なんだってっ!?」

俺が先生の後ろを指差すと桐梨は生徒指導部の性のせいか悲しいかな後ろを注意するために振り向いてしまった。
だがそこには誰もいない。
いるわけがない。
なぜなら俺の単純極まりない嘘だったからだ。
後ろを振り向いたことにより桐梨の校門を抑える力が緩む。

「今だぁ!」

「ぬおっ!
 し、しまったぁー!」

俺は桐梨がふっと力を緩めた瞬間に両腕に出せる限りの力を込めて校門をこじ開け
中ににゅるりと侵入に成功した。

「では、桐梨先生これにて!」

そういうと俺はショートホームの時間が始まる前に教室に入るべく再び走る。
下駄箱で靴を脱いでスリッパを取りだす。
自分の靴を下駄箱に投げ込んだ後一年D組の教室まで駆け上る。
こけないように、慎重にさくさく階段を登る。
そして教室のドアを思いっきり開くと同時に

「セーーーフ!!」

大声で言い放ちセーフのポーズ。
教室中があんぐりと口をあけ俺を見る。
しばらくして俺が空気を読んでいない(世に言うKYってやつだな)なことをしたんだなぁと
心の隅で理解し、反省する。

「えっと、すいません」

副担任の視線が痛い。
突き刺してなお絡んでくる視線にすくみながら久しぶりに自分の席に座る。
机の中にはたっぷりのプリントと本が入っていて長期の俺の欠席を伝えていた。
鬼灯のおっさんの頼みで結構あけていたからなぁ。
ショートホームが終わり休み時間。
俺の周りに友達が集まって来た。

「ひさしぶりだな!」

「おっす!」

挨拶の違いはあるとはいえほとんど教室中のみんなが俺に話しかけてきてくれる。
そしてアリルもだ。

「おはようございます、波音君!」

元気一杯だな。

「おはよう、元気にしてたか?
 まぁ聞かなくても元気だよな」

「え……聞いてくださいよ。
 とりあえず元気ですよ!」

それはよかった。
健康に勝るものは無いからな。

教室はどこも変わっておらず席替えすら行われていないようだ。
壁の掲示物ぐらいなら変わってはいたけれどもな。

「ってか俺、授業ついていけねぇ」

長いインターバルのせいかたまっていた数学のプリントをちらちらとめくる。
見るからに難しい問題がずらりと並んでいた。
無理だ、俺は解けない。

「なんなら……
 私の家で勉強会でもしますか?」

アリルが俺のことを心配して勉強を教えてくれるという。
ありがたい。

「迷惑じゃないなら……頼んでもいいか?
 もう全然分からないからさ……」

ぜひ基礎中の基礎から頼みたいものだ。

「全然迷惑じゃありませんよ?
 むしろ嬉しいですよ?。
 では、放課後に私の家でよろしいですよね?」

本当にありがたい。
またあのマダムに挨拶などをしないといけないのがアレだが。
勉強のことが流石に不安になり始めたところだったから丁度良い。
無機質なチャイムが鳴り休み時間が終わる。
入ってきた先生は数学の先生だ。
まじかよ、おいおい。
いきなりちんぷんかんぷんじゃねぇかよ。
こんな感じで俺の二学期はスタートした。





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読むの遅れて本当にすみませんっっ

朝は戦争ですよね、わかりますb
波音くんよく頑張った!!
でも、
遅刻だとわかっていても走らない余裕が佐槻は好きですv←
#875[2010/08/01 22:16]  佐槻勇斗  URL 

遅刻ギリギリで閉まりかけの校門に滑り込む――ていうの、ちょっと憧れます。卯月さんの学校は、そもそも閉まるべき校門がなかったので。
二学期早々から数学……前途多難感がひしひしと(笑)
#864[2010/07/27 21:04]  卯月 朔  URL  [Edit]

懐かしい~♪

こんばんは♪

高校時代の遅刻って、けっこう取締りが厳しかったような記憶が・・・。
さすがにフレンドリーペーパーはなかったですけど(^^ゞ

長期欠席したらやっぱフツーに授業は受けられないでしょう(笑)
前途多難な二学期の始まりとなりましたね。
今後の波音くんの活躍に期待しております♪♪
#856[2010/07/25 22:58]  三宅千鶴  URL 

うちの学校は、時間になると校門を閉める教師なんかいなかったなあ。

単に遅刻すると死ぬほど恥ずかしいだけで。

風紀委員なんて存在さえしなかったし、基本的にマジメな人間を集めた学校だったのかもなあ。

今はどうだか知らんけど。
#855[2010/07/24 07:11]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]














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