Twilight of midnight

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怪盗な季節☆ (長編)

怪盗な季節☆ 第三四話

「まだまだ話したいことがありますのよ?」

アリル母はげんなりしている俺を振り返ろうともせずに
さくさく先に歩いていく。


すると急に角を曲がってほのぼのとした部屋に俺を招きいれた。

「そこに座りなさいな。
 お砂糖は?」

「あ、いえ俺そろそろ帰りたいんですが……」

「……お砂糖は?」

「少しいれていただけますか」

カチャカチャと食器が触れ合う音がして五分ほど椅子の上で待たされる。
へぇ、結構おしゃれな茶室だな。
なんというか安心できる何かが放出されているような感じだ。

「いい部屋でしょ?」

クッキー片手にアリル母が台所から出てきた。

「どうぞ、お食べなさい」

「あの……お話とは?」

アリル母は紅茶の香りを楽しんでいるようで目を閉じている。
俺は無視されたのか?

「永久君、娘と今会ってたのよね?
 で、どこまでいったのかしら?」

思った以上に間抜けな話を持ちかけられた。
ヘビーな話かと身構えしていただけにがくっと緊張が解けてしまう。

「え……?
 話ってそんな……」

はっとして口をつぐむ。
アリル母の眉間にしわがよるのを見てしまったからだ。

「そんなのって何よ?私にとって娘は唯一の宝なによ?
 さぁ教えてくださいな。
 キスはしたの?まさかそこから先までは――」

「あ、申し上げますがキスまでは行ってませんしそこから先へも当然行ってません。
 ご安心を、マダム」

「マダムって……面白い子ね。
 そうなの…別にあなたになら娘を預けてもいいかもしれないわね」

「っ!?マダム!」

「何よ、ウブね。
 あなたになら娘と将来一緒になってもらいたいわ。
 早く孫の顔をおがまさせて頂戴ね」

あーなんかすごい話がとんとん進んでいくな。
俺ついていけねーんですけど。
そんなこんなでまた話は続く、続く。
アリル母しゃべる、しゃべる。
つかれねぇのかなぁと思ったとき唐突にアリル母が席を立って分厚い本を持ってきた。
『かわいい我が娘の成長』と書かれた本――たぶんアルバムだろう。

「あなた達が結婚してくれたら私はうれしいわぁ」

とか言いながらアリルの写真を見せ付ける。
まぁ、かわいいな、うん。

「可愛いですね」

と口走ってしまった後に後悔した。
アリル母がさらにアルバムを引っ張り出してきたからだ。
出るわ出るわ、アリルの写真。
もういいっちゅーねん!
なんだかんだでアリル家から出れたのは夜八時半。
とっぷりと暗闇があたりを包んだ後である。
昼の熱がまだ残っておりむしむしと暑い。
ピロリロリと携帯がなりメールを開く。
アリルからのメールだ。

《はわわ!寝てしまいました!
ごめんなさい!》
(本来は絵文字が満載ですがなくして見やすいようにしてあります)

それに対し俺はさっき撮った写真をメールに貼り付けアリルへと送信する。
五分ほどたって

《な、なんで撮ってあるんですか!?
 寝顔なんて撮らないでくださいよぅ!!》

からかうのおもしれぇ。
俺の中の小悪魔が目覚めた瞬間である。
歩きながら内容を吟味する。

《可愛かったからキスしちゃった☆》

はい、送信。
さてどんな返事が返ってくるのかが楽しみである。
鼻歌を歌いながら気がついていたら家についている。
行きはあんなに長かった道も楽しみがあるととても短く感じるものなのだ。

「ただいま!」

「んー、お帰り波音。
 ご飯出来てるよって何かいいことでもあったの?」

ん、ちょっとな。

「おせぇぞ!待ちくたびれたわ!」

仁もいる。
今夜は楽しい晩飯になりそうだ。
手を洗いうがいの後席につく。

「しっかし、どこに行ってたんだよ。
 待ちくたびれたんだぞ?」

シエラがテーブルの上のから揚げをつまみながら聞いてくる。

「ん、普通に……。
 うん、普通に……」

俺はちょっと笑って茶を濁す。
どうせすぐに詩乃がばらすだろうからこの行動は無意味だろうと頭の隅では考えていた。

「しっかし、うまいなコレ」

なにやらケチャップと色々なものが組み合わさった野菜を頬張る。
口内炎できたときに食べたらめっちゃ痛そうだな。
口の中で食べたこともないような味がじんわりと噛むごとに染み出す。
どこか懐かしい味だ。

「バルチャニムス。
 ベルカではお袋の味として普及していたやつだ。
 分かりやすいように言えば日本で言うお味噌汁的存在だな」

シエラが今教えてくれたバルニ…なんちゃららを箸の先でつまんで教えてくれる。

「作り方はいたって簡単で……」

うんぬんかんぬんと説明がしばらく続くが俺は一切聞いていないし聞く気もない。
作りたいって思った方ごめんね!

「……で!最後にいためればOK!
 簡単でしょ?」

「へー」

ごめん一切聞いてないわ。
五分ぐらい続いたシエラの説明を全部聞き流す俺、流石。
なるほどコレを作ったのはシエラなのか、ふむ。

「で、メイナは何を作ったの?」

仁がメイナに質問を飛ばす。
メイナは「え!? ドキッ」
そんな反応をした。

「シエラが料理したんだろ?
 オメーは何をつくったんだぎゃー?」

語尾が変わっているが俺の言葉だ。
メイナは箸を机に置きプルプルと顔を赤くしている。
はは?ん、ニヤリ。
再び俺の中の悪魔が目を覚ます。

「ま・さ・か?
 無敵の最終兵器で常にさりげなく上から目線のあ・な・た様が……
 お料理がまったくまったくできないなんてことないですよねぇー?」

大きく動揺した顔をするメイナ。
やっぱりか。

「わ、私にだってできるわよ!
 失礼なこと言わないでよねっ!」

バーンと机を叩きながら必死に弁解する姿を見ながら日々の仕返ししてやったりとほくそ笑む。

「はい、妹のシエラさんに聞いてみたいと思います」

手にマイクを握っているように右手を握りシエラの前に突き出す。

「ちょ!ちょっと!!」

「メイナさんは料理を作れるんですか?」

「やめてぇえええええ!!!」

「おい、仁。
 こいつを抑えておけ」

「了解!!」

もう飯なんてそっちのけで大乱闘の幕が切って落とされた。
必死で言わせまいと抵抗するメイナを仁ががっちりと固定する。

「シエラァ!言ったらぶっ殺すわよ!!!」

「で、どうなんで?」

二ヨニヨ笑う俺の目の端っこに仁がメイナともみ合っているのが見える。
仁、グッドジョブ!

「姉さんはいっつも僕任せで一切家事をやろうとしませんでした。
 そう五千年前も変わらずずっとそうでした。
 また最終兵器になってからもずっとそうでした」

一度もかまずに言い切ったシエラ。
ちょっとすごいと思った。
しばらく静寂があたりを支配する。

「あぁー!ちっくしょー!」

メイナ再燃。
さっきまで不完全燃焼だったのが原因のようだ。

「おちつけ、まったく大人気ない」

「主にあんたが原因でしょうがシエラ!」

「うぉ波音、俺抑えるの限界に近い!」

「がんばれ。
 超がんばれ」

「私だってね!努力してるのよ!!
 でも野菜炒めすら作れないのよ、うわぁぁん!!」

メイナの乱れっぷりに気をとられているとシエラがくいっと俺のすそを引っ張った。
なにか言いたいことがあるらしい。

「?
 何だ、シエラ?」

「僕達が帝国小学校五年生ぐらいの調理実習の時にな……」

「だめぇぇえ!!」

「姉さんは爆弾を作ったの」

「あぁぁぁ!!!
 駄目!それ以上は言わないでぇ!!!」

詳しく聞いたところによると、シエラ達のクラスはそれで避難するはめになったとか。
ついでに火災報知器がなって全校生徒が避難する事態に陥ったとか。
爆発でなべからなにから何まで吹き飛んだとか。
さらに小学生なのに二週間の停学処分をくらったとか。
食材で爆弾作るってすごいよ、うん。
徹底的に食材から嫌われてるんだなこいつ。
いや根っからの最終兵器としての素質なのかもしれない。

「しくしくしく………」

過去のトラウマを思いっきり暴露されたメイナ、可哀想である。

「料理なんて出来なくても家事ができればいいもん!
 シエラのバカ!」

メイナが涙目でシエラを睨みつける。

「姉さんが母さんからの手伝いを断って僕に回してたから……だろ?」

しれっとした態度でシエラはメイナを突き放した。
その態度にプチッと来たのか

「面白いじゃない。
 久しぶりに喧嘩といこうじゃないの、シエラ……」

シエラに喧嘩を売るメイナ。

「望むところだ、姉さん。
 本当の最終兵器は僕ってことを思い知らせてやるよ」

バチバチと火花を散らす二人。
このまま放置しておくと火がついた爆弾になりかねない。

「はいセット!終了!危ないから!死ぬから!!」

二人を割ってはいる俺。
危ないからな、この二人が喧嘩したら。
本当にしゃれにならない。
とりあえず、食卓に座りなおして冷えた飯をかきこむ。
こんなに楽しい飯は久しぶりだった。





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波音くん、
恋に目覚めましたよね。


ついでにS傾向にも目覚めてきた予感。
#665[2010/04/26 23:21]  ヘソ子  URL  [Edit]

料理が出来なくてもいいんだよ。
そう、料理、なんて……!!

電子レンジの使い方さえわかっていれば、

すべては事足りるのだから!!(足りません
#661[2010/04/25 23:12]  佐槻勇斗  URL 

アリル母もメイナも強いですねー!小学生で停学処分wどんな爆弾料理だったのでしょうか。
メイナ、そんなに気にしちゃだめです!
今は冷凍食品もカップラーメンもあるから生きていけるよ!大丈夫!多分!
#660[2010/04/25 12:50]  祭歌  URL 

はい。こういうのを、

「嵐の前の静けさ」

と呼ぶんですよね。

この三人の女と女の争いに巻き込まれる波音くんのこれからが非常に楽しみです。

たぶんついでに女性があと一人と男性があと一人介入してくるだろうからそれもまた楽しみです。

波音くん、最終回までに五体満足でいられるのだろうか……?
#658[2010/04/24 17:04]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]

あらら~♪

こんにちは♪

今回も楽しく読ませていただきました♪

アリル母、意外と強烈なキャラでしたね(笑)
大丈夫よ、メイナ。料理ができなくったって生きていけるから。私みたいに(笑)

では次回の更新を楽しみにしておりますね♪
#657[2010/04/24 15:37]  三宅千鶴  URL 














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